片翼の月 弍
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体育祭が近づくにつれ
ショートの顔が険しくなっていく
積極的にクラスメイトとおしゃべり
するタイプでもないが
声をかけられれば応じていた焦凍が
ここ最近はほとんど声を発することはなく
常にピリピリとしていた
そして
明日に体育祭を控えた今日
これまでにないほどの
近寄り難い空気が焦凍を包み込んでいた
クラスメイト達は
挨拶を交わすことすら躊躇うほどだった
『眉間にシワがよってるよショート
かっちゃんみたい〜
ピリピリしちゃってどうしたの?』
焦凍の前に立ち、夜羽がその眉間をつつく
いつも夜羽の傍では
柔らかな空気を醸し出していた焦凍
夜羽に任せておけばきっと
何とかしてくれるだろう
そう思いながらクラスメイト達は
聞き耳を立て
固唾を呑む
「……オヤジが来るらしい」
オヤジ
つまりエンデヴァーが来るのだろう
明日の体育祭に
『へぇ、炎司さん久しぶりに会えるな〜』
「俺は全く来て欲しくない」
『そんなこといわないでさ
体育祭はうちの父さんとじいちゃんも来るからさ!
なんなら炎司さんも一緒にお昼ご飯でも___』
「夜羽……
俺の前でそんな顔しながら
あいつの名前を出すな」
夜羽の言葉をさえぎり
ギロリと睨んで
焦凍は深いため息をついた
「……悪い、しばらくほっといてくれ」
焦凍は夜羽と目も合わせず立ち上がり
そのまま教室を出ていってしまった
焦凍が去った後
教室にほのかな冷気が漂っている
芦戸
「夜羽大丈夫?」
葉隠
「わぁ〜イケメンって怒ると迫力あるなぁ」
クラスメイトたちの焦凍への戸惑いは
分かっていたから
どうにか焦凍を和ませようとした結果がコレだ
余計にこじらせてしまった
“そんな顔”
それはエンデヴァーに会える
嬉しさから来たものだろうか
自分では気が付かなかった
『ごめんねみんな
余計イラつかせちゃったみたい
体育祭が終わればきっと落ちつくと思うから』
やっぱりまだ
溝は埋まってないんだ
焦凍とエンデヴァーのことで
物思いにふけっていると
またいつの間にか
勝己が焦凍の椅子を占拠し
夜羽の目の前まで来ていた
「エンデヴァーすきなんか」
『うんすき!
太陽みたいで』
「おめえ太陽好きだな
てか……この前は俺に言ってただろ」
『八咫烏は太陽に住む導きの神様
太陽の化身とも言われてる
だから、惹かれるのかな
太陽みたいな人に』
「……そうかよ」
『でも、私の最初で一番の太陽は
かっちゃんだよ』
「っ……
そうかよ」
『かっちゃん照れてる?』
「ねーわ」
そう言いながらもそっぽ向く
勝己の耳はほんのり赤い
___________ ໒꒱
初めて手を差し伸べてくれたあの時から
貴方は私の心の在り処で……
貴方は私の太陽で
きっとそれは
今後どんなに眩しいひとが
表れても覆らない