片翼の月 弍
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「Hey鳥ガール
今ちょっといいか〜?」
ヒーロー基礎学もおわり
着替えのない私はみんなより先に
教室に向かっていた所を
プレゼントマイクに声をかけられた
そして学校の中庭にあるベンチに座らせられ
マイク先生は飲み物を買いに行った
「ほいよ、病み上がりなのに悪ぃな」
『いえ、ありがとうございます』
マイク先生はコーヒー
夜羽にはミルクセーキ
横長のベンチに座る夜羽の
隣にどかりと座り
マイク先生はコーヒーを一気に仰いだ
「はぁあぁーー」
よほど喉でもかわいていたのかと
思っていれば
苦い笑みを浮かべ
「ありがとな、イレイザー助けてくれてよ」
『え?』
「あいつがあの程度の怪我で済んだのは
おめぇのおかげだ
だから、ありがとな 」
わざわざ呼び止めて
ジュースまで買ってきてくれて
何を言われるのかと思えば
『私は当たり前のことを
したまでで大したこと……』
「なぁーに謙遜してやがる!」
HAHAHAと笑いながら
グリグリと夜羽の頭を撫でくりまわす
『あうあう』
「とっ捕まえたヴィランはどいつも負傷は最小限
大した外傷もなく気絶してるだけのやつも多かった
骨が折れてたヤツらも
婆さんが言うには綺麗に折れてるから
綺麗に治るっつー話じゃねぇか!
year!イレイザーの生徒は将来有望だなぁ!」
まくし立てるように褒めちぎったかと思えば
HAHAHAと再び笑いながら
グリグリと夜羽の頭を撫でくりまわす
ひとりで随分賑やかな人だと
授業の時から思っていたが
ここまでとは
頭がぐるりぐるりと前後左右に大きく揺れ
もらったミルクセーキすら飲めない
『あうあう』
「また……失わずにすんだよ」
『え……』
揺れる景色の中
サングラスの下に見える
寂しそうな、切なそうななんとも言えない
眼を見たのもつかの間
ペシン
と、何かをはたく音が聞こえたと同時に
プレゼントマイクのグリグリ攻撃がやんだ
「マイク、何やってんだ」
「おーイレイザー!何やってんだこんなとこで!」
「こっちが聞いたんだが……」
2人の後ろに立っていたのは担任の相澤先生
包帯に巻かれ見えはしないが
その声は呆れが滲んでいた
夜羽の隣に座るマイクとは反対の隣に
相澤先生は腰掛けた
「……夜羽怪我は大丈夫か?」
「ミイラ男が何言ってんだか」
実際怪我の治りが早い夜羽の方が
幾分か包帯が取れている
とても同じ日に怪我をしたとは思えない
「見舞いに行ってやれず済まなかったな
まさか一日で退院するとは思わなくてな」
「おめぇだって一日で退院してただろ!」
マイク先生のツッコミの一切を無視し
相澤先生は夜羽を見つめて続けた
「守りきれなくてすまなかった」
『私は…守ってもらうために
雄英に来たわけじゃない…です』
私だからできること
ヒーローと警察の架け橋に
そのために雄英に来た
『私はヒーローとしてはまだまだ半人前ですが
〝1人前〟の八咫烏警察です』
「お前の実力も実績も知っている
けれど今は雄英にいて、俺の受け持つクラスの生徒だ
礼も、謝罪も言わせてくれ」
そう言って相澤先生は
困ったように笑って…見えた
ぽんぽんと夜羽の頭を撫で
「さぁ、次の授業もある、もう行け」
促されるまま夜羽は頷き
翼を広げ去っていった
「一芸だけじゃヒーローにはなれない
警察だってそうさ
あいつは……」
「Heyイレイザー…俺達も授業だぜ」
「…あぁ、行くか」
「イレイザー、〝みんな〟無事で良かったぜぇ」
「あぁ、悪かったな」
「分かってんなら、心配かけさすんじゃねぇよ」
「あぁ」
残すことも残されることもしたくない
私も
彼らも
もう二度と