片翼の月 弍
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彼氏を作る気は無いと
堂々と宣言したものの
芦戸と葉隠の興奮は冷めず
このままでは夜羽を巻き込んで
恋愛話になりそうで
その前にそそくさと教室を出た
そして空腹を満たすため
ランチラッシュの食堂へ
普段はお弁当を作ることもあるだが
さすがにこの怪我では無理なため
今日は学食だ
『えぇっと、親子丼と卵焼きと……あと茶碗蒸しと
トッピングの唐揚げをみっつください』
「はいよ〜」
列に並びながら料理を待っていると
キッチンの奥からいい香りが漂い
お腹がぐぅ、と鳴いた
「はいおまたせ〜」
差し出される料理の乗ったお盆を
受け取ろうと手を伸ばすと
横からひょいっと夜羽のお盆が取られた
『あれ、かっちゃん』
「おめぇほんとに病み上がりか?
よくこんなに食えんな」
昨夜はお粥だけだったのに
とでも言いたげに
お盆の上に乗る料理の品数に
勝己の眉がピクリと動く
夜羽のお盆を奪い取ったのと反対の手には
勝己が頼んだのであろう
マーボーランチ
「おら、行くぞ」
そう言った勝己の後に続くと
取っといてくれたらしい席が2人分
席につき、箸を取ろうと手を伸ばす
すると包帯ぐるぐるの右手が目に入り
いけないいけない、と左手で
親子丼を食べるべくレンゲを握る
「なんだ?今日も食べさせて欲しいんか」
『な、昨日だってひとりで食べれたよ!
かっちゃんが過保護なんでしょ!』
「ほぉ?」
頬を染め、抗議する夜羽を見て
くつくつと満足そうに笑う勝己
親子丼と茶碗蒸しはレンゲで
卵焼きと唐揚げは貰っておいた
フォークで食べられるだろう
なれない手つきで親子丼をれんげですくい
頬張ると卵の甘みとだしの香りが
口いっぱいに広がる
続いてフォークに持ち替え唐揚げに
かじりつく
いかにもけが人である風体の夜羽
けれど、けが人とは思えぬ食べっぷりに
他の学年やクラスの生徒達の目にも
異様な光景として映っていた
「オイあいつら…USJの…」
「1-Aか…確か女子に重傷者がでたって」
「もしかしてあの子か?」
「いや、数日は目覚めないだろうって言われてたからまた別の子だろ…」
「あの子もかなりの怪我みたいだけど
もっと酷い怪我した子がいるのか」
『うーん、美味しい』
「はぁ」
ヒソヒソと話す周囲の事など微塵も気にせず食べる夜羽とその姿にため息つく勝己
ヒソヒソと2人を遠巻きに見つめる視線とは別に
ただじっと2人を見つめる視線には勝己も
夜羽も気づくことは無かった