片翼の月 弍
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朝、目覚ましが鳴る前に目が覚める
モゾモゾと起き上がり
まだ少し痛む体を動かし軽く伸びをする
そしてカーテンを開けると
すぐにでも飛び出したくなるほどの快晴
けれどさすがにまだ空を飛べるほど
回復していない夜羽は
飛ばすに登校するために
早めに家を出る準備を始めた
一通り準備を済ますと
玄関を出て鍵を閉める
そしてちゃんと鍵がかかっていることを再三確認
いつもはベランダから出発するため
あまり玄関からは出かけない
慣れないことをすると
何度も確認したくなってしまう
マンションを出てすぐに勝己の姿を見つけた
『あれ、おはよかっちゃん』
「おう」
短く返事だけして
夜羽からカバンを奪うように取り上げた
『ふふ、ありがとう』
「たまたま通りかかったんだわ」
昨夜は夜羽が寝付くまでそばに居て
帰って寝るのが遅くなっただろう
それでも勝己は
まだ体が痛むことも
飛ばずに登校することも見越して
むかえに来てくれていたのだろう
だからこうして早くから
夜羽を待ってくれていた
照れ屋な幼なじみだ
2人でゆっくり雄英高校までの道のりを歩く
教室の目の前まで着くと
いつもは賑やかで
廊下まで誰かの話し声が聞こえるのに
今日は誰の声も聞こえない
ゆっくり歩いてきたので
早く着きすぎたということもない
まだ誰も来てないという事は
ないだろうに
不思議に思い立ち止まる夜羽に
お構いなく教室に入っていく勝己
それにならい後について
教室に入ると
お通夜でもあったのかと言うほど
皆俯き静まり返っていた
ガタンっと勝己が机に座る音が
妙に教室に響く
このままスルーして机に着くのもいたたまれず
ひとまず原因を聞いてみようかと
みんなに声をかける
『えぇっと…皆おはよう?』
俯いていた皆は顔を上げ
夜羽を見つける
そして目を見開いた
『みんなどうしたの?』
「「「復帰はやー!?!」」」
「うそっ、なんで?」
「夜羽〜」
「心配したんやよー!」
芦戸と麗日がべそをかきながら
駆け寄り思いっきり
夜羽を抱きしめる
『いてて』
「わぁ!ごめん」
「夜羽さんまだお怪我が治っていない
ご様子なのに学校へきて大丈夫なのですか?」
夜羽の腕や足、首元や額等
見えるところはもれなく
包帯が巻かれている
『あはは、これは誰かさんが
心配性なだけだよー』
その誰かさんは夜羽のカバンを机に置いて
すぐさま自分の席に着いていた
次に声をかけたのは
最後あの広場にいた
切島と出久
焦凍はまだ教室に来ていない
「夜羽すまねぇ!
あそこで硬化の俺が動けてたら!
バスで守るなら激強だって褒めてもらったのに…
肝心な時に俺は動けねぇで…!」
「夜羽ちゃん僕も!
あの時オールマイトが危ないって…
考え無しに、飛び出していなければ…!」
『気にしないで2人とも!
私はあのヴィランに誘い出された…
1度見たあの技を自分で
どうにか出来ると思って返り討ちにあったんだから…
むしろ心配かけてごめん!』
「いいや俺が!」
「ぼくが!」
『私が』
そんな私が、俺が、僕がを
繰り返していると
ドサッと何かを落とす音
夜羽が音のなった方へ振り向くと
教室の入口から現れた
焦凍が夜羽を見つけて
駆け寄り
壊れ物を扱うかのように
優しく優しく夜羽を抱きしめた
「夜羽ちゃんっ……!」
クラスメイトが見ている中での
大胆な行動に周りの女子から
短く小さな悲鳴が上がる
「しばらく目覚めないって聞いたから…
僕…今日、お見舞いに行こうって…」
潤む瞳の焦凍
両手は夜羽の肩に置いたまま
そっと身体を離す
『それは、ショートの
お見舞い貰い損ねちゃったねぇ』
右手を焦凍へ伸ばし
目にかかる綺麗な赤髪をそっと掬う
「ねぇねぇあの二人あれでホントに
付き合ってないの?」
「ね!絶対なんかあるよー!
距離感近いもん!」
「ボクっ子の轟くんもいいね」
「っち、半分野郎…」