片翼の月 弍
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「もう大丈夫
私が来た」
扉を開け放つ轟音と共に現れたのは
オールマイト
答えが出ないまま
私の手は届かないまま
何も出来ず空を掴んだこの手の先で
平和の象徴は一瞬で3人と相澤先生を回収
そして4人を担いで夜羽の元へ
「え?!あれ!?速ぇ…!!」
「オールマイトっ!」
「頑張ったね夜羽少女」
何も出来なかった私の
頭をポンポンと撫で
オールマイトは大丈夫、とニカッと笑った
「さあ相澤先生を安全な所へ」
その圧倒的パワーとスピードを
見せつけられ夜羽は
怪我をしていた緑谷と峰田の心配もあり
素直にその指示に従った
『行こう、広場にいたヴィランは
あらかた私と先生で倒したから
最短で13号先生の所までつっきれる』
「はぁ!?あの数のヴィラン
2人だけでやっちまったってのかよ!?」
「僕たちが飛ばされた水難ゾーン
あそこよりも多くのヴィランがひしめき合っていたのに…」
「夜羽ちゃんだけでも怪我がなくて何よりだわ」
夜羽はあくまで冷静を装って3人と
戦線を離脱した
夜羽にはずっと死柄木が呟いていた
言葉が気になって仕方がなかった
「やっぱり本当の話だったのかな?"弱ってる"って話」
あの言葉と、勝利を確信でもしたのか
顔面に付けた手の隙間から見せた不敵な笑み
嫌な予感がする
それに、オールマイトが
〝あとどれくらい〟戦えるのか...
「なんでバックドロップが
爆発みてーになるんだろうな!」
「授業はカンペ見ながらの新米さんなのに」
土煙が晴れた瞬間
再度夜羽は飛び出していた
予感が当たってしまった
後ろから同じように出久が
駆け出したのを感じたがそれを
止める時間すら惜しい
オールマイトの
左脇腹に脳無の指がくい込んでいた
オールマイトの〝弱いところ〟
今度はその手に刀を握る
あの硬さだ、肩や腕は切れないだろう
左脇腹に食い込む指だけを狙い切り落とした
「おー、さっきも思ったけど
思い切りがいいねそこのガキ」
辛うじて指を落とせたが刀は刃こぼれして
もう使い物にならない
『 指だけでどんだけ硬いんだ…』
緑谷
「オールマイトー!!」
緑谷の声と共に
聞こえた爆発音
夜羽が指を切り落としたのとは
反対側に伝う氷
黒霧に容赦なく爆破をくらわせ
地面に叩き付け拘束する勝己
『かっちゃん!ショート!』
「だぁーー、くっそ!いいとこねー!」
「切島くん…!」
「すかしてんじゃねぇぞモヤモブが!!」
「平和の象徴はてめぇらごときにやれねぇよ」
無事脳無の拘束から抜け出せたオールマイト
当の脳無は夜羽が切り落とした指はもちろん
無理に動いて割れて無くなった半身までもが
再生していく
その常軌を逸した再生能力に
これは、終わりが来るのだろうかと
絶望が背を伝う
『…なにあれ』
「脳無、爆発小僧をやっつけろ
出入口の奪還だ」
ニヤリと勝己を見て真っ直ぐ
黒霧を捉えている勝己の元へ襲いかかる
あんなものに襲われればいくら勝己でも無傷ではすまない
『かっちゃん!』
咄嗟に勝己を庇おうと飛びかかるも
謎の浮遊感と共に
私と勝己はいっくん達の傍に一瞬で移動していた
「かっちゃん!?夜羽ちゃん避っ避けたの?!」
「ちげぇよ黙れデク」
『っオールマイト』
「数的優位はこっちにある爆豪、夜羽動けるか」
「あ゙ぁ?誰にきいとんじゃ」
「俺らでオールマイトのサポートすりゃ…」
『いや、この中で1番怪我を負ってるのが
オールマイトだよ
私たちで踏ん張ろう』
ヴィランの狙いはオールマイトだ
彼らがどうオールマイト対策をしてきたかは
分からないが
出久以外はみんなまだ無傷
黒霧が生徒を1人逃したと報告してから
それなりの時間がたった
もういつ増援が来てもおかしくない
連携すれば勝機はあるし
時間も充分に稼げるだけの力が皆にはある
勝機はある
けれど
オールマイトは生徒たちを背に
ただ1人再びヴィランへと向き直る
「ダメだ、大丈夫!
プロの本気を見ていなさい!」
そう言って吐血しているにも関わらず
生徒たちを背にかばい
脳無とオールマイトの
激しい猛攻が繰り広げられた
生徒たちはもちろんのこと
参戦しようとしていた黒霧と死柄木でさえ
その圧に呑まれて動けずにいる
血を吐きながら
それでも
ヒーローとして
その口元に笑みを浮かべて
「私の100%を耐えるなら!!
さらに上からねじ伏せよう!!」
夜羽はその圧倒的パワーを前に
ただただ魅入っていた
「ヒーローとは
常にピンチをぶち壊していくもの!
ヴィランよこんな言葉を知ってるか!!?
Plus ultra!!」
吹っ飛ばされた脳無は
屋根を突き破りUSJ外へ
対オールマイトの脳無は
オールマイト自身が倒してしまった
口から滴る血が痛々しい
脳無に古傷も抉られた
『オールマイト……』
満身創痍でなおも生徒を背に庇う
その拳はまだほどかれていない
死柄木と黒霧
2人のヴィランへと向き直るオールマイトを見
胸が締め付けられた
これだけ自身が傷つけられているのに
なおも生徒を守らんとする姿勢
オールマイトの強さを再認識するたび
胸が締め付けられる
平和の象徴としてただ1人立ち続ける彼の孤独さ
どうすれば彼は
もっと自分を大切に
かえりみてくれるのだろうか
一身に背負う肩の荷を私に、
我々に、分けてくれるのだろうか