片翼の月 短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
勢いに任せて来ると言った手前
渋々来たクラス交流会
モブ共はワイワイガヤガヤと
しょうもない話で盛り上がっている
やっぱ来なきゃ良かった
めんどくせぇ
などと考えながら
唐揚げを頬張る
「(…まぁ、これは美味いな)」
〝これはほぼかっちゃん用だから”
好みの味付けと辛さに仕上げられた唐揚げ
味変用に何種類か追いスパイスも用意されていた
後ろを振り返ると
口いっぱいにたまごサンドを
頬張り幸せそうな顔をしている夜羽の姿
まぁたまにはいいかと
思った矢先
芦戸
「じゃあさ夜羽はどんな人がタイプなの?」
芦戸の夜羽への質問に
ピクリと肩が揺れる
あの鳥頭に恋愛を考える脳みそがあるのだろうか
案の定、女子たちの恋バナには
興味を示さず
八百万の持ってきたお重にあった
だし巻き玉子に夢中だ
予想通りと言えば予想通り
そして食い下がる芦戸や葉隠に押され
〝強いて言うなら自分より強いやつ〟
そう答えるのもまぁ、予想通りの答えだった
想像通りな鳥頭の返答に安堵して
紙コップに入ったお茶をひとくち飲み
俺用の激辛唐揚げにかじりつく
『あと、お茶子ちゃんみたいに
訛りっていいよね』
…………は?
全く予想していなかった
夜羽の言葉に
箸で持っていた残りの唐揚げが落ちる
幸いにも取り皿の上に
訛っているやつ……?
このクラスでは丸顔位だ
そんで夜羽の屋敷、八咫烏警察には……
いや、いない
ほんの数ヶ月前まで山から降りなかった
あいつの交友関係は限られている
いったいどこで、誰に……
そこまで考えて
必死に相手を特定しようとしている自分に驚いた
それ以上に驚いたのは
俺は訛ってねえ
そう考えた思考にだった
「っち」
「おう爆豪、このカップメロンジュースか?
入れとくぜ!」
そう言って元々お茶の入っていた
俺のカップにメロンジュースを注ぐあほ面
キャッキャっとはしゃぐ女どもを尻目に
カップ並々にメロンジュースを入れやがった
あほ面にケリをいれる
上鳴
「ゲフッ……なんで!?」
切島
「爆豪飲み物の入れ間違えくらい許してやれよ」
瀬呂
「切島……今のは多分飲み物じゃなくて……いや
なんでもねぇ」
なにか言いかけたしょうゆ顔は途中で口をつぐみ
丸顔の持ってきた餅を頬張った
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
お茶とメロンジュースの混ざった
飲み物を上鳴に無理やり一気飲みさせ
満足した爆豪は
続けてもうひとつ、と
自分用の唐揚げに箸を伸ばすと
横からひょいっと爆豪用の唐揚げが
持っていかれた
「あ゙?」
なんの断りもなく奪われたそれを
ひと口食べた上鳴の顔が一瞬で真っ赤に
そして変な汗をかきながら目を見開いていた
そして、一拍おき
上鳴
「うおおおぉかれええぇえ!
んだこれもう無理!絶対無理!!残りたべて!」
お茶とメロンジュースを飲まされ
甘ったるくなった口直しをしようと
好奇心のままに爆豪用の唐揚げを食べた
上鳴はたった1口で後悔することになった
瀬呂
「いや、お前のその反応見て食べる勇気わかねぇよ」
上鳴
「切島は!?硬化しながら食ったら
辛いの耐えれるとかねぇの?」
切島
「いや、無理だろ」
上鳴
「爆豪返すよくってくれ」
爆豪
「んでてめえがかじったもん食わなきゃなんねぇんだ」
上鳴
「そう言わずに食ってくれよー
それともあれか?俺が夜羽ちゃんと
デートすることになって嫉妬して
食べてくれねぇのか?」
爆豪
「んなわけあるか」
唐揚げを取られたこと以外に
勝己が機嫌悪くしているのは
まさにその事だった
「(こいつらこともあろうか
俺の目の前でデートの詳細決めやがった)」
昔からそうだが
あいつの考えてることはよく分からん
なんでこんなあほ面と…
俺の取り皿の上に
かじりかけの唐揚げをのせ
ヒーヒー言っているコイツの
どこがいいんだ
アホ面が押し付けてきた激辛唐揚げを
はしでつかむ
上鳴
「かっちゃん…なんやかんや食ってくれるのな!
そうだよな、夜羽ちゃんが作ってくれたものをかっちゃんが残すわけないもんなぁ〜」
ニマニマとムカつく顔をして
肘で俺をつつく
「おらよ」
「むぐっ」
アホ面の口に残りの唐揚げを
無理やりねじ込む
「いってぇえーー!水水みずミズー!!!」
涙目になりあほ面度が増す
目にいっぱい涙をため鼻水を垂らしながら近場に
置いてあった水を一気に飲み干す
瀬呂
「水飲んだら余計に辛くなるらしいぞー」
上鳴
「かんらぁー!」
切島
「はは、辛いものには牛乳がいいらしいぞ?」
上鳴
「ピクニックで牛乳なんて持ってこねぇよおぉ!」
顔を真っ赤に涙と鼻水でグズグズになった
アホ面を見て苛立ちが
ほんの少しだけ気が晴れた気がする
けれどいっそう、なぜこいつなんかと
という疑念が増した