片翼の月
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学校からの下校中
いきなり俺目掛けて
鷲が飛んできた
「うぉ!なんだコイツ…!」
そいつは一瞬俺の肩にとまると
グラリと
力が抜けたように肩から落ちかけ
それをすんでのところでキャッチする
かなりデカいそいつは
よく見れば羽の付け根が
傷ついていて、ガラスの破片も
刺さっていた
綺麗な翼につぅ…と
一筋の血が滴る
「…たく、どうしろってんだ」
ひとまずその鷲を抱えたまま
家まで走った
「…ち、羽がある、ってだけで
あいつがチラつくな…」
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
「…こんなもんか」
とりあえず家に連れて帰ってきた
鷲を手当してやる
「あんたにそんな動物愛護精神があったとはねー」
「うっせぇ!…目の前に落ちてきたんだよ」
刺さっていたガラスや土埃を払い
消毒して包帯をまくと
お袋が茶化すように言った
「勝己、その子明日獣医さんに
見せてきてあげなー
どこか探しといてあげるからー」
「おぉ」
「それにその子もしかしたら
昼間の事件の子かもよ!」
「昼間?」
「ニュース見てみな
今日はその話題で持ち切りだから」
治療を終えた鷲をクッションに乗せて
すやすや眠っているのを確認すると
テレビのチャンネルを変えてみた
確かに、ビルの上階から
鳥が人間を助けたってことで
話題が持ち切りになっている
しかし鳥に変身できるヒーローも
動物を操れるヒーローもその場にはおらず
現場にいた一般人にもそのような
個性を持つものはいなかった
救助された女性の話では
少しではあるが人の言葉を
喋っていた。と
一部報道陣では八咫烏警察では
ないかと憶測も立てられていたが
インタビューで
よく稽古をつけてくれる奴が喋っていた
あのような鷲は我が隊には在籍していない
という返答が
口元はキリッと固く結ばれているが
どこか目元が笑っているようにも見える
…てか鷲見分けられんのかよ
結局正体は分からずじまい
こりゃ数日はニュースで流れるだろうな
と結論づけ
鷲に視線を落とす
「喋る鳥…ねぇ」
おれは夜羽のとこに行くたびに
見ているから驚きはしない
カラスも雀もダチョウもペンギンだって
あいつのところでは人間の言葉を話す
「こいつも、あいつんちの鳥なんか?」
だから俺を見つけて
飛びついて来たのかもしれない
あいつの家で俺を見かけたことが
あるのかもしれない
だがこのニュースの話題になっている
鷲かは分からないし、見分けられない
鷲なんて皆同じ見た目だ
「ま、こいつも喋れるなら明日聞けばわかることか」
そっとクッションごと持ち上げ
自分の部屋に連れて行って
机の上に寝かせてやった
すやすや気持ちよさそうに
安心しきった顔で寝てるそいつを見て
「俺も風呂入って寝るか…」
鷲の顔なんて見分けられるか
そう思っていたのに何故か
目の前にいる鷲が安心して寝ているのは
かわかった…気がする