片翼の月
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裏路地に隠れていたヴィランを足止めする
2人を夜羽はビルの屋上から見ていた
ヴィランは予想通り二手に分かれて
1人は盗品を持ち逃げし
残りのひとりは足止め要員だ
その足止めとして残ったヴィランを
勝己と焦凍に足止めしてもらっているのが現状
ヒーロー免許の有無
それだけで私たちには個性による
攻撃は許されない
だから、今の私たちにできること
それは…
〈カァー〉
肩にとまる一羽のカラスが鳴いた
『うん、行こう』
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
1匹のカラスが鳴いた
それに呼応するように
3匹のカラスが鳴く
その鳴き声が伝染したかのように
どこからともなく無数のカラスの鳴き声が
辺りに響き渡る
「っなんだ?
今日は妙にカラスが多いな気味が悪ぃ」
あまりにも多いカラスの鳴き声に
戦闘中であるにもかかわらず
ヴィランは空を見上げた
その目に飛び込んできた光景は
無数の羽音をたて
辺り一面を覆う黒
そしてその中心に立つ
黒装束の少女
その顔は険しく夜羽の感情に
呼応でもしているかのように
辺りの風が強まる
「新手か」
3対1はさすがに分が悪いと判断したのか
一瞬逃げの姿勢を見せたが
新手もまだ幼い子供であるのを見て
立ち止まり、余裕の笑みを浮かべた
「なんだ、近くで見りゃまたガキか…
なんだ?お嬢ちゃんが相手してくれるのか?」
あまりに大きな体格差
そして相手はまだ幼い少女だということに
相手のヴィランは油断しきっている
数多のカラスをまとい
ゆっくり舞降りてくる夜羽は
『戦うのは私じゃない』
ヴィランを前にニコリと微笑んだ
「は?何を言ってーー」
その続きを言うことは叶わなかった
なぜなら
「やーっと捕まえた!あっちこっち揺らしまくりやがって!」
「お嬢、ヴィランの気ぃ逸らしてくれてありがとな」
「かっちゃんとショート
2人が一緒にいるの初めて見たぜ」
無数のカラスの中から突如現れた
3人組の八咫烏警察
『随分待ったよ』
轟「いつの間に?!」
爆豪「っちぃ、カラスに獣化しとったんか」
「あったり〜!
さ、こいつさっさっと運んで
救助活動に参加しますか〜」
「それにしても戦わずによく我慢したな!」
「まぁ、かっちゃんもショートも戦えば
こん位のヴィラン余裕だったろうな」
「ったりめぇだ!こんな雑魚に
手間取ってたまるか!」
不意打ちとはいえ
巨漢のヴィランを
一瞬で倒した八咫烏警察の3人は
テキパキとヴィランを拘束していく
「それより、もう1人共犯者が」
焦凍が逃げたトンボヴィランのことを
報告するのを夜羽が遮る
『もう、ショートったら
あんな羽虫すぐに追いつくよ』
そう言って夜羽はニヤリと笑い
完全獣化し飛び立った
「なっ…夜羽あの姿…」
「あ?完全獣化だろ?知らんかったんか?」
夜羽の獣化を見て驚く焦凍に
勝己はにやりと笑った
こころなしか焦凍がむっと
しているように見えて
勝己は更に口角をあげる
「…1人で行かせていいのか?」
「あー大丈夫だろ、お嬢だし」
「なーんか企んだ顔してたよねぇ〜!」
「お嬢も“あの人”に気づいてたみたいだし」
「「あの人?」」
カラスを引き連れ飛んでいく
大鷲の後ろ姿を勝己と焦凍は
どちらからともなく追いかけた