片翼の月
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余計なことに巻き込めれまいと
さっさと教室を出ていき
校門をくぐる
地面に散らばる桜の花びらを
俯き踏みつけながら歩いて帰っていると
視線を感じた
するとまだ散りきっていない桜の木の枝に
こちらをじっと見つめるフクロウが1羽
柔らかな色合いをした
茶色の翼に
夕日のような濃いめのオレンジの瞳が
まっすぐ勝己を見つめていた
フクロウと言えば夜行性なイメージのある動物が
夕暮れ前とはいえこんな所に
姿を現すだろうか
1度不自然に思ってしまうと
その鳥が普通の野生の動物に思えなくなって
また、あいつ関連の鳥なのではないかと
勘ぐってしまう
そしてそのフクロウの近くまで歩み寄れば
遠くに逃げることはなく
少し近くの桜の枝に飛び移るだけ
そして着いてこいとでも言うように
またこちらを見つめている
雄英に来てまであいつに振り回されるのか
という思いと
何か面白いことがあるかもしれない
という思いを半々に
特に急ぐでもなく
そのフクロウの行先に着いて行った
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
連れてこられたのは
雄英からさほど離れていないマンション
フクロウは慣れた様子で
部屋番号を押し
インターホンを鳴らす
その様子をマンションの管理人だろうか
受付のオッサンは気にした様子を見せない
『はーい!あ、かっちゃん来てくれたんだ!
あがってあがって〜!1108号室だよ〜』
聞こえてきたのは当たり前ではあるが
あいつの声
俺をここまで案内してきたフクロウは
いつの間にか消えていた
エレベーターに乗り11階へ
言われた通りの部屋のインターホンを押せば
開いてるよー
と中から聞こえるあいつの声
「無防備だな鍵くらい閉めろ」
ガチャりと開けて目に飛び込んできたのは
大量のダンボールの山
『かっちゃんいらっしゃい!来てくれたんだねー』
「なんの説明もなしに
来てくれたんだね、じゃねぇんだわ」
ダンボールをかき分けながら
リビングにたどり着き
嫌味を込めてそういえば
キョトンとする鳥頭
『なんにも言わずにかっちゃん連れてきちゃったの?』
ベランダの方を向きながら声をかけると
そこに居たのは先程のフクロウだった
〔内容はなんであれ、そやつはお嬢の
頼みなら断ることはないだろう
断らんのに説明する必要もあるまい〕
「その鳥喋れんのかよ!」
『私の眷属みたいなものだからねぇ』
今更鳥が喋れる事に驚きはしないが
どうせ断らないからという理由で
ここまで連れてこられたのには腹が立つ
〔お嬢、ワシはそろそろゆくぞ〕
翼を広げて去ってゆくフクロウに
手を振って見送る夜羽
『なんの説明もなかったみたいでごめんねぇ
かっちゃんにはこの荷解き
手伝ってもらえたらなぁって思って!』
「はぁ?」
『本当は今日と土日で終わらせる
予定だったんだけど日曜日予定入っちゃったじゃん?』
「てめぇで入れたんだろーが!この鳥頭!」
『だってー!断れないじゃん!楽しみじゃん!
でも、かっちゃん忙しいなら大丈夫だよ?
ごめんね?』
次はショートに頼んでみよう
そうつぶやく声が聞こえ
「忙しいなんて言ってねぇだろ」
『へ?』
「何して欲しいんだ」
結局フクロウの言う通り
になったことは癪に触ったが
パァっと笑顔になる夜羽を見て
まぁいいか
なんて思ってしまう俺は
つくづくこいつに甘い