片翼の月
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家路につこうとこの無駄に広い家の廊下を歩いていると聞きなれた声が廊下に響く
「おーいかっちゃんじゃねぇか」
「道場寄ってかねぇのか?」
「お嬢がいなきゃ用無しってか?」
「ぃや、やってやろうじゃねぇか」
よく道場で稽古つけてくれる面々だ
明日の試験に備えて
さっさと帰って寝ようと思っていたが
少しくらい体動かしていくか
それに言われた通り、
あいつが居ない中で道場にいくのは
新鮮で初めてな気がした
「お嬢にはもう会ってきたのか?」
「あぁ、縁側で茶あ啜ってたよ」
「ま、さすがに腕を折れてんだから
今日くらいお嬢もゆっくりすればいいさ」
「明日には道場に顔出そうだけどね」
軽く準備運動しながら交わされる会話
あいつ、居なくても話題の中心なんだな
ちょうど気になっていたあの腕の話に
なったのでそれとなく聞こうとしたら
後ろから誰かが肩を組んできた
「そ、れ、よ、り、かっちゃんよぉ〜
お前お嬢とはどうなんだ〜?」
「…はぁ゙?!どうもクソもあるわけねぇだろ!」
「こーんなちっこいころから
ここに通ってた癖に何言ってんだよ!」
「告白は?もうしてんだろ?」
「高校はどうすんだよ八咫高行くのか?」
夜羽がいないからか言いたい放題
むしろ居ないからこそ質問攻めにされている
「い゙、か、ねぇよ!
俺は明日雄英のヒーロー科受けに行くんだよ!」
組まれた肩を無理やり引き剥がして
拘束から逃げる
…あいつ爪たててきやがった
後でぶっ飛ばす…
「「「「え、えええぇえぇ!?」」」」
一緒にだべってた奴らも
周りで聞き耳立ててたやつも
道場にいた連中はもれなく目ん玉かつ開いて驚いていた
「マジかよ!俺らてっきり…!」
「お嬢が目にかけてるからなぁ」
道場の中全員がザワついてるのを見る限り
マジで八咫烏高校への進学を
期待していたらしい
「そういやお嬢、昨日親父さんと
進路のことで話があるって道場に行って、
とんでもない大喧嘩になったんだよな?」
「てっきりかっちゃんをコネで絶対入学
させて!みたいな話かと思ったけど」
「はっ、もしかしたら婿にって話に!?」
「ハァ!好きかって言ってんじゃねぇ!
高校の入試なんてコネなんか使わなくても
合格したるし、付き合ってもねーんだわ!」
喉が痛くなる程の大声量で完全否定が
道場に響き渡った
ここまで言えば勘違いするやつはいないだろう
しかし沈黙は一瞬だった
「そうか…試合で手も足も出ない相手じゃ
恋も手が出せない…ってか?」
「うまい!」
どっと、道場が爆笑の渦に飲み込まれた
プツンと何かがキレる音がした
というかキレた
「うまかねぇ゙んだよこんのクソ鳥頭共がー!」
木刀を投げ捨て
目に映るものを片っ端から爆破していく
「おおっ!とうとうかっちゃんがキレたぞー」
「よーし、かっちゃんヴィラン役な!」
「こんなヴィラン、相手にしたくねーな!」
「俺は!ヴィランじゃなくてヒーローになる男だー!」
さんざん暴れまくり
道場は無傷、3人は爆破で吹っ飛び気を失い
4人は降参、残りの3人に
取り押さえられる形で事態は収まった
「…なんで焦げ目1つつかねぇんだこの道場…」
「はぁ、10人がかりでこれか」
「将来有望株だな!ヴィランの!」
「いや、こんなやつ敵にしたくねぇよ!」
爆豪の頭を取り押さえていた手を離し
身体を起こしてやる
「てんめぇらー」
未だに敵意丸出しの爆豪に
ずっと入口で見てた給仕メガネが止めに入る
「まぁまぁ爆豪くん、そのくらいに
これ以上は明日の入試に差し支えるよ
…あなた達も、若い子をからかうのも
程々になさい」
いつも物腰柔らかな人だが
怒ると恐ろしいのか皆目を合わせず
大人しく従っていた
…もしかするとただの給仕じゃないのかもしれない
「あなた達、もう外も暗いので
爆豪くんをしっかり家まで送ってあげてくださいね」
「おぉ、りょーかいりょーかい
心配しなくても俺らで送り届けるよ」
爆豪を取り押さえていた比較的軽傷な
3人が名乗り出た
給仕メガネは小さくため息をついて
「それじゃあ爆豪くんおやすみなさい」
それだけ言い残して去っていった
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個性なしの武術体術じゃ八咫警プロたちに
遅れをとっているかっちゃんですが
個性を使えばなかなかいい線行くのです