ー死神篇ー
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「藍染達の望みは、何だったんだろう」
「...あの裏切りから、俺の中で東仙隊長の事まだ整理つかなくて、言葉も全て嘘だったと思えないんです。アイツ等の本心なんて、一生理解出来ない」
「そうだよね、でも...東仙が修平に教えた事はきっと嘘じゃないよ。今、修平が此処にいるのは間違えなく東仙の教えがあったからでしょ?...私達の善が必ずしも正しい訳じゃないって今回痛感したよ」
「そうね、ギンがあの時死んでたらと思うと堪ったもんじゃないわ。何も言わないのはギンの悪いとこよ」
「...そうかな?凄く単純だよ。ギンちゃんの行動は全部、乱ちゃんの為。初めて会った時言ってたよ、『死神になったのは、大事な子が泣かない世界にしたいから』って。藍染と刺し違えてでも撃つ事は、乱ちゃんを救う為だったんだよ。乱ちゃんも薄々気付いてるでしょ、ギンちゃんの思いに。だから、乱ちゃんだけはギンちゃんを信じてあげて欲しいな」
「...ギンは言葉が足りないのよ。」
「ふふっ、そこも含めてギンちゃんでしょ?」
今もまだ、あの裏切りを受け入れられない者。市丸に後指をさす者も多くいるが事の本質は当事者達が知っていればいい。
失った物に比べ、得られた物は少ないが、皮肉な事にそれを乗り越えて人は成長する。どんな暗闇にも朝は必ず来てしまうのだ。
「馬鹿者ッ」
しみったれた空気に、突然聞こえるルキアの寝言が響けば顔を見合わせて笑った。
「私、お手洗い行ってくるね」
いい時間だしお開きにしようと、伝票を片手に席を立つ。
個室から出れば、入り口に見える金髪の彼の姿に嬉しくなり走って飛びつく。
「真子っ!」
「なんや、甘えたサンやん」
「うん。会いたかった!」
「えらい楽しそうな声しとったな」
「居たなら声掛けてくれればいいのに...」
「俺はエエんよ。息抜きなったか?」
「みんなすごくいい子達だよ!」
「なら、そろそろ帰るか?」
「うん、帰ろ?」
※
「釣りはとっとき」
「いいよ、私に払わせて!」
「アホか。カッコつけさせろや」
持っていた伝票と奪い、定員さんへ多いくらいのお金を支払った彼は、席に顔を出す気はないらしく、また入り口の方へと足を向ける。
「早よ荷物取ってき」
「...ありがとう。」
※
「お会計済ませたから。ごめんね、先帰るよ?」
個室へと戻り、修平に飲ませまくる乱菊に耳打ちをすれば大喜びで追加の酒を頼む。
「莉音隊長、お帰りですか?」
「うん、ごめんね。先に失礼します」
「ご自宅まで送ります!」
「私は大丈夫だよ、それより乱ちゃんお願い。ね?」
「...分かりました。」
こっそり荷物を持ち、席を立ったのを追いかけてきたのは修平で、外に待たせる平子に申し訳なさを感じつつ、やんわり断れば納得したようだ。
「じゃ...また誘ってね?」
手を振り歩き出せば、後ろから伸びる修平の手に足が止まった。
「あの、先ほどの言葉、救われました。ありがとうございました!」
「そんな、大した事言ってないよ」
「いえ、充分刺さりました。失礼ですが、莉音隊長は恋人などいらっしゃいますか!」
興奮気味に捲し立てる彼へと振り向けば、耳まで真っ赤だ。
「アカンわ。」
戸惑う思考に前から身体を引かれれば、そのまま目の前の胸板へと倒れ込む。
鼻を掠める彼独特の匂いに酷く落ち着いた。
「真子...」
「コイツ、俺のやねん」
ーー莉音...帰るでー
抱き締めるように背中に回された腕に彼を見上げれば耳元で囁かれた声に俯いた。