ー死神篇ー
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次に目覚めれば良い時間で、彼はまだ寝ている。
先に顔を洗い朝食を準備しよう。シャワーはその後だと布団から出る。
洗顔で顔を洗えば、左の頬に冷たい違和感を感じふと手を確認する。
「え、うそ、」
急いで泡を水で流し、眠る彼の元へと走った。
「真子、これ、」
「おはようさん、朝から元気やな」
「ちがうちがう、そーじゃなくて!」
「...気に入ったか?」
「私で...いいの?」
「何遍もいわすなや。お前以外おらんやろ」
頬に感じた違和感は、左手の薬指にはめられた指輪だった。
尸魂界では指輪を送る習慣などない。
いつだったか、現世での結婚に憧れている話をしたのを覚えていたのだろう。
そんな呟き程度の理想を、サプライズで叶えてくれた彼に、溢れ落ちそうになる涙を堪えれば、悪戯が成功した子供のように笑った。
「フラフラしたらアカンで」
「こんなに好きになるの、真子以外いないよ。」
「イケメン真子くんに選ばれてよかったなァ」
「...もう。」
死神が結婚する為には、総隊長や四十六室の許可が必要なようで、今はまだ婚約らしい。
平子曰く、死神に戻ってから、仮面の軍勢の時と違い人目に触れる事が増えた為、指輪は男除けだそうだ。
結婚が正式に受理されれば、一緒に住む約束もし、幸せはまさに有頂天だった。
※
「莉音ちゃんが人妻になってもうた!」
「ちょっ、ギンちゃん声大きい!まだ婚約だから!」
「なんやねん婚約て、結婚と一緒やろ。」
ルンルンで隊舎につけば、目敏く気付いたのは市丸で、何も知らない隊員達から相手のことを根掘り葉掘り聞かれ、午前中だけで話し疲れてしまった。
急いで執務室へと逃げれば、ついて来た市丸へと改めて報告をする。
「真子と、結婚するね。...私、ギンちゃんには1番最初に報告するって決めてたんだ。」
「莉音...ごめんな、よかった」
市丸と、初めて話した日から、私の側を離れず付いてくる彼を、本当の弟のように可愛がっていた。
乱菊の為とは言え、あの日、私や真子を裏切った事を彼はきっと、ずっと後悔しているだろう。
あの頃より離れた2人の距離に、こればかりは時間が解決するのを待つしかない。と諦めもするが、昔のように笑った顔が見たいと俯く彼に身を寄せる。
「隊長はんに、怒られてまうわ」
「平気。ギンちゃんは特別でしょ?だから...生きてて本当に良かった」
彼から聞こえる規則的な心音に、背中に回された腕に安心すれば、ぎゅっと強く抱きしめた。
※
「莉音!結婚おめでとう!」
ノックもせずに隊主室の扉を開ける乱菊に、相変わらず情報が速いと半ば呆れながらも、今日何度目かの説明をする。
「あら、じゃあまだ降谷なのね」
「あ、確かに。これら平子莉音になるのか。ふふっ、なんか変な感じ」
「惚気ちゃってこのこの〜」
「...そう言えばこないだ、大丈夫だった?ちゃんと帰れた?」
「そうだ!莉音、こないだ修平になんかした?あの後アイツ、めちゃくちゃ平子隊長のこと聞いて来たのよ!」
「...実は、あの日、真子と鉢合わせちゃって」
「なに、修平に告白でもされたの?」
「いや、彼氏いるかって聞かれてて、そこで真子が来て」
「やだ、修羅場じゃない!そーゆー面白い事はアタシも呼びなさいよ!」
「当事者は楽しくもなんともないよ」
「ま、だから早々に結婚ね〜。莉音は俺のだってアピール。愛されてるじゃない、良かったわね。羨ましいわ〜」
塩大福を頬張りながら自分の事のように喜んでくれる彼女も、いい加減素直になれば良いのに。
「乱ちゃんにはギンちゃんがいるでしょ?」
「そうやで。市丸にも乱菊ちゃんしかおらんよ」
「真子!びっくりした!」
「午後に総隊長ん所行く言うたやろ。迎えきたで」
「やば、もうそんな時間?...ごめん。乱ちゃん、また十番隊舎に遊び行くね?ちょっと、ギンちゃんに声かけてくる!」
「あら、莉音奪われちゃった。...平子隊長、あの子のこと幸せにしてあげてくださいね」
「当たり前やん」
「お待たせ!行こっか!」