私が代わろうその役目
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ズキンズキン、と頭に痛みが鳴り響く。
ゆっくりと瞼を上げると、そこは見覚えしかないエレベーターのような青い空間。
『……なんで。』
「お目覚めですかな?」
焦点が合うと同時に真正面でこちらを見つめる鼻の長い老人…イゴールと目線がぶつかる。
『どうして私はベルベットルームにいるんだ。』
「おやおや、ご理解が早い。お客人はベルベットルームの事を既にご存知の様だ。面白いですな。」
『ん?お客人?契約なんてどこで……したわ書かされたわ。』
「おや?お客人の魂は少しばかり不安定な所がある様ですな。この世界に定着していないかの様…。さらにベルベットルームの住人の干渉もお見受けしますな。」
『え。』
「心配しなさるな。時間が解決してくれる事でしょう。絆を大切にしなされ。」
良かった…のか?まあ今の所大丈夫ならそれで良いか。
『というか、ここに呼ばれたという事は私もワイルドの素養が?』
「残念ながら、貴方様にはございません。もう一人のお客様にはあるようですが。」
『そうかいエリザベス。通わなくて良いのは喜ばしい事だな。危うくお金が2倍かかる所だった。』
イゴールがこちらを凝視してきた。あの目で見られるとちょっと怖いんだよな…。
「なるほど、貴方様の内なる声は地下の暗黒の神、エレボスですか。不思議な巡り合わせですな。おや、もう一つ眠っている様ですな。いずれこちらもエレボスの様に声が聞こえるでしょう。」
『もう一つペルソナが…。』
「…さて、現実世界では少しばかり時が進んだようです。またお会いしましょう」
強制的に意識が引っ張られる感覚に落ちる。どうやら目覚める時間の様子で。聞きたい事はまだあったけど、理君に言えば連れてってくれそうだからまた今度でいっか。
目が覚めると病院のベッドだった。まぶしい日光に瞬きをしてると右側に人影が動いたのが見えた。
「お、お前! 目が覚めたのか?!」
『…さなだ、さん?』
「ああ、そうだ。はぁ…、よかった。医者は体力の差だとは言っていたが、結城が目覚めてお前だけ眠ったままだったから気が気じゃなかったぞ。」
『ええ!待って真田さん、じゃあ結城君は?!…っう…。』
「急に起き上がるな! 結城は3日前に目覚めて、もう学校に復帰している。ここは辰巳記念病院だ。…あの日、寮の屋上での出来事の後すぐ、お前と結城がぶっ倒れたんだ。」
体力には自信あったけど、初回覚醒でメギドラオンぶっぱなしたら3日追加されるかー。いや、3日ですんだのを喜ぶべきか。さて、ペルソナ覚醒したし運命を変えようじゃないか。
「何も聞かないのか?」
『聞いたって教えてくれなそうですし。結城君も聞かなきゃ二度手間でしょうし。』
「ああ、そうだな。すぐに場を整えるから、しばらく待て。」
『はい。』
「目が覚めたら退院できると医者は言っていた。俺も寮に戻るから、一緒に帰ろう」
明彦さんと寮に帰ってきてラウンジで紅茶を入れながら理君とゆかりちゃんの帰りを待っていた。ちなみに、明彦さんは帰寮後早々に自室でトレーニングをすると言ってすぐに部屋に引き上げていった。
『ゆかりちゃんは部活だろうから理君が先かな。』
玄関の開く音が聞こえた。誰か帰ってきたみたいだ。
「!雪村さん。」
『お!おかえりなさい結城君。』
「…いつ目が覚めたんだ?」
『1時間前?かな、目が覚めたら真田さんが居て一緒に帰ってきて、1人でお茶してたとこ。あとで説明会あるらしいよ?』
「真田さん?」
『あ、結城君はまだ会ったことない? ここの寮に住んでる3年生の男の先輩だよ。』
レアなビックリ顔が見れたと思ったらなんか不満げな顔になってきたな…。なんだろう??
「……もう理って呼んでくれないのか?」
『へ?』
「屋上のあの時呼んでたから。」
『………理君が良いなら。私も玲で良いよ。』
「うん、玲。また後で。」
微笑んで去っていった理君の背中をぼーっと見送ってたらじわじわと顔が熱くなってきた。ほんっと人たらしなんだから!!
