モノクロな日常からヘンテコな世界へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ヨコハマディビジョン 某所
深夜の街を歩く三つの人影。
ヨコハマ界隈を取り仕切るヤクザの若頭『青棺左馬刻』
現役警官の『入間銃兎』
元海軍の『毒島メイソン理鶯』
この三人はヨコハマを代表するラップチーム『MTC』を組んでいるメンバーであり、
この日は近々行われる『ディビジョンバトル』の打ち合わせで集まり、
諸々の話が済んだので外で食事を済ませて帰路についていた。
「たまには中華も美味いな」
「そうだな、新メニューがなかなか斬新だったが美味かった」
「うむ、たまには街での食事も良いものだな」
空腹を満たしてご満悦な三人は歩いて左馬刻の事務所に戻ろうと、
少し冷えた夜風の中を歩いていた。
「む…?」
「どうしました? 理鶯」
「あ? なんだ?」
公園に差し掛かった時、ベンチの側の街灯が点滅しているのに気付いて、
理鶯が何気なくそちらに視線を向けたかと思うと、眉間にシワを寄せて立ち止まった。
つられて銃兎と左馬刻も立ち止まる。
「うん、あそこに人がいる」
「え?」
「あ?」
理鶯に言われて二人もよくベンチの方を注視すると、ベンチに横たわる人影を確認した。
「……ホームレス、か?」
「あの人影は女性だろう」
「ここからよく見えんな理鶯…」
三人がいる位置から見える人影は小さいが、理鶯の常人離れした視力には、相手の性別も判別出来たらしい。
銃兎は職業柄、放っておく訳にもいかず、少し面倒臭そうな溜め息と共にタバコの煙を吐き出しながら、
携帯灰皿にタバコを入れながら人影に近付いて行く。理鶯と左馬刻も続いて一緒に行く。
「……未成年、っぽくねぇか?」
「ですね」
「うん」
点滅する街灯の光に照らされるベンチに横たわる幼さが窺える相手の横顔を覗き込むと、
三人の表情が険しくなった。その理由は、血色の悪い白い肌、目元には濃く深い隈、
ダボっとしたシャツの七分袖から見える細い腕には痣やさまざまな傷、
靴下も履いておらず、裸足。
三人の脳裏に『虐待』の文字が浮かび、顔を見合わせる。
「虐待による家出の線が濃厚だな…」
「ああ…」
「うむ、とりあえず起こすか。事情を聞かねばなるまい」
「そうだな…。――大丈夫ですか? 起きて下さい。もしもし? お嬢さん?」
「………」
「…起きねぇか」
「……顔色は良くないが、脈は正常だな。どうする? 保護するのだろう?」
銃兎が体を揺するが、相手は目を覚ます気配が無い。
理鶯が相手の細い首筋に指を当てて脈をとり、正常であると確認してから銃兎に視線を向ける。
「はぁ…警察署で、と言いたい所だが、この怪我は病院の方が良いか。車こっちに回して来る」
「おん、病院調べとくわ」
「小官は応急処置をしておく」
「頼む」
左馬刻は近くの病院を調べ、銃兎は車を取りに駐車場へ向かい、理鶯がその間に応急処置を施す。
銃兎が戻って来るまでの間、夜風で体を冷やしてはいけないからと、
理鶯がミリタリージャケットを脱いで相手を包む。
「…う……んん…」
「もう少しの辛抱だぞ…」
「今夜は特に冷えてやがるからな…こんな薄着じゃ寒ぃだろ」
寒そうに身を捩る小さな体を理鶯が擦り、さして気にしていない風を装いながらも、
左馬刻は横になっている相手の横に腰掛けて頭を撫でてやる。
左馬刻は幼い頃に父親から家庭内暴力を受けていた過去が脳裏にチラついて、
まるでこの相手が当時の妹のように見えて、グッと奥歯を噛む。
それからすぐに銃兎が戻り、理鶯が車に運ぶために抱き上げる。
「……っ」
「あ? どうした?」
抱き上げた瞬間、ピシ…と理鶯が固まった。
「いや、何でもない。急ごう」
「ん、おう…」
心なしか急ぎ足で車に向かう理鶯に首を傾げながら、左馬刻も続いて車に乗り込んだ。
深夜の街を歩く三つの人影。
ヨコハマ界隈を取り仕切るヤクザの若頭『青棺左馬刻』
現役警官の『入間銃兎』
元海軍の『毒島メイソン理鶯』
この三人はヨコハマを代表するラップチーム『MTC』を組んでいるメンバーであり、
この日は近々行われる『ディビジョンバトル』の打ち合わせで集まり、
諸々の話が済んだので外で食事を済ませて帰路についていた。
「たまには中華も美味いな」
「そうだな、新メニューがなかなか斬新だったが美味かった」
「うむ、たまには街での食事も良いものだな」
空腹を満たしてご満悦な三人は歩いて左馬刻の事務所に戻ろうと、
少し冷えた夜風の中を歩いていた。
「む…?」
「どうしました? 理鶯」
「あ? なんだ?」
公園に差し掛かった時、ベンチの側の街灯が点滅しているのに気付いて、
理鶯が何気なくそちらに視線を向けたかと思うと、眉間にシワを寄せて立ち止まった。
つられて銃兎と左馬刻も立ち止まる。
「うん、あそこに人がいる」
「え?」
「あ?」
理鶯に言われて二人もよくベンチの方を注視すると、ベンチに横たわる人影を確認した。
「……ホームレス、か?」
「あの人影は女性だろう」
「ここからよく見えんな理鶯…」
三人がいる位置から見える人影は小さいが、理鶯の常人離れした視力には、相手の性別も判別出来たらしい。
銃兎は職業柄、放っておく訳にもいかず、少し面倒臭そうな溜め息と共にタバコの煙を吐き出しながら、
携帯灰皿にタバコを入れながら人影に近付いて行く。理鶯と左馬刻も続いて一緒に行く。
「……未成年、っぽくねぇか?」
「ですね」
「うん」
点滅する街灯の光に照らされるベンチに横たわる幼さが窺える相手の横顔を覗き込むと、
三人の表情が険しくなった。その理由は、血色の悪い白い肌、目元には濃く深い隈、
ダボっとしたシャツの七分袖から見える細い腕には痣やさまざまな傷、
靴下も履いておらず、裸足。
三人の脳裏に『虐待』の文字が浮かび、顔を見合わせる。
「虐待による家出の線が濃厚だな…」
「ああ…」
「うむ、とりあえず起こすか。事情を聞かねばなるまい」
「そうだな…。――大丈夫ですか? 起きて下さい。もしもし? お嬢さん?」
「………」
「…起きねぇか」
「……顔色は良くないが、脈は正常だな。どうする? 保護するのだろう?」
銃兎が体を揺するが、相手は目を覚ます気配が無い。
理鶯が相手の細い首筋に指を当てて脈をとり、正常であると確認してから銃兎に視線を向ける。
「はぁ…警察署で、と言いたい所だが、この怪我は病院の方が良いか。車こっちに回して来る」
「おん、病院調べとくわ」
「小官は応急処置をしておく」
「頼む」
左馬刻は近くの病院を調べ、銃兎は車を取りに駐車場へ向かい、理鶯がその間に応急処置を施す。
銃兎が戻って来るまでの間、夜風で体を冷やしてはいけないからと、
理鶯がミリタリージャケットを脱いで相手を包む。
「…う……んん…」
「もう少しの辛抱だぞ…」
「今夜は特に冷えてやがるからな…こんな薄着じゃ寒ぃだろ」
寒そうに身を捩る小さな体を理鶯が擦り、さして気にしていない風を装いながらも、
左馬刻は横になっている相手の横に腰掛けて頭を撫でてやる。
左馬刻は幼い頃に父親から家庭内暴力を受けていた過去が脳裏にチラついて、
まるでこの相手が当時の妹のように見えて、グッと奥歯を噛む。
それからすぐに銃兎が戻り、理鶯が車に運ぶために抱き上げる。
「……っ」
「あ? どうした?」
抱き上げた瞬間、ピシ…と理鶯が固まった。
「いや、何でもない。急ごう」
「ん、おう…」
心なしか急ぎ足で車に向かう理鶯に首を傾げながら、左馬刻も続いて車に乗り込んだ。