――銃兎のマンション

マンションに帰って来て、銃兎は仕事に戻るため警察署へ戻り、左馬刻も事務所に戻って行った。
理鶯は後の予定の特に無いとの事なので、尚とマンションで留守番する事になった。

『じゃあ理鶯、尚さんと留守番お願いしますね。
今日は帰れるか分からないので、理鶯は今晩泊まって行って下さいね』
『うむ、了解した』
『青棺さん、今日はありがとうございました。入間さん、いってらっしゃい』
『ん、またな』
『いってきます』

二人を見送って、理鶯とまったり過ごしていた。
キッチンで飲み物を入れている時に、先ほど一郎からもらった名刺を出して見ていると、
理鶯が声を掛けて来た。

「それは…さっきの山田一郎からもらった物か？」
「はい、何かあったら来て良いって…」
「そうか」
「持っていて良いんでしょうか？　これ…青棺さんと仲があまりよくない人みたいでしたけど…」

尚が一郎からもらった名刺をどうしたらいいのか迷っていると、
理鶯は少し考えてから尚の髪を優しく梳くように撫でた。

「うむ…彼は小官達とは敵対するチームのリーダーではあるが、左馬刻同様に筋を通す青年だ。
女性に乱暴な事もしないだろう。いざという時に頼れる場所が多い方が良いだろうし、
緊急の連絡先として持っていると良い。…だが、彼らの出番は無いだろうが」
「？」
「小官たちがの側にいる内は、尚を危険な目には遭わせない。何者からも守ってみせよう。
…だがまあ、一応の保険として持っておけば良い」
「…ありがとう、ございます」
「うむ、さて…お茶にしよう」
「はい」

新たな人物との出会いは衝撃的で驚いたが、やっぱりこの三人の側が落ち着く気がする…と、
まったりとミルクティーを飲みながら、尚はしみじみと感じた一日だった。