特別編 新時代の風 後篇
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男のクナイが我愛羅に届く前に砂が防ぎ、男を薙ぎ払う。
ズザァッと男が砂地に着地して、我愛羅も同じ地に立つ。
「守羅、後はオレに任せて休め」
「父、様…」
出血で意識が朦朧としている守羅を肩越しに見て、我愛羅は男を見据えた。
「貴様、傀儡職人だな。何故反逆を目論んだ」
「お前らへの報復だ!!お前らがオレ達との取引を断ち切ったがために、オレ達の村は極貧を強いられ、
村人は飢えで次々に死に絶えて行ったのだ!」
「……そうか」
我愛羅は一瞬、表情を曇らせた。
我愛羅が風影を襲名して折、いくらか里の生活は安定し、
それは風の国のあらゆる小さな村や町にも良い影響をもたらしていたが、
全ての村や町が、豊かになったわけではない。
しかし、自分の不甲斐無さから起きた問題とはいえ、妻を攫った相手を許す訳にはいかない…
反逆者を、許す訳にはいかないのだ。
「死して償えッ風影!!」
ボンッと男が巻物を出して印を組むと、中から何体もの鋼鉄製の傀儡が現れ、我愛羅に襲い掛かる。
(ここまでの使い手とは…)
「砂分身!」
男の手腕に感心しながら、我愛羅も傀儡に砂分身で応戦する。
指から何本もチャクラの糸を伸ばし、傀儡を操る男は無防備に近い。
男を仕留めれば傀儡は止まる道理に違いは無い。
地を蹴り、男へ攻撃を仕掛ける我愛羅。それを巧みにかわす男。体術の腕も確かなようだ。
(だが、何だ…?)
砂分身達によって動きが鈍くなる傀儡達。だが、大抵の傀儡は関節に砂が入り込めば完全に動きが止まるはず、
なのにこれらは『鈍くなるだけ』封じ切ることが出来ない。
(いくら頑丈とはいえ、物には限界があるはず…)
男に様々な忍術を繰り出しながら、我愛羅の不信感は募って行く。
瓢箪からの砂が、男の頬に命中すると男が地面に倒れ込む。
「やはり、一筋縄にはいかんか…」
男が上体を起こした時、その頬にビシッと亀裂が入った。
その光景に、我愛羅が微かに瞳を見開く。
「自分自身を…」
我愛羅の呟きに、男は口角を上げた。
「そう、オレはもう…人では無い!」
男が両腕を掲げると、我愛羅の砂分身が消え、傀儡達が宙に浮き、一斉に輝き出した。
傀儡達の輝きは、糸を辿って男に流れて行く。
「オレの傀儡は、チャクラを喰らう!」
「!!」
我愛羅は頭上の傀儡を見上げ、その意味を理解すると、顔をしかめた。
(やられた…!)
傀儡達によって、我愛羅が砂分身達に込めていたチャクラが奪われ、男に吸収されているのだ。
「クククッもう一つ、面白い仕掛けがあるぞ」
ニヤッと男が笑うと同時に、尚の悲鳴が響いた。
「あああああああッ!!」
「尚!?」
バシュッと守羅の砂の拘束が弾け、尚が地面に蹲って苦しんでいる。
よく見ると、尚の項にチャクラ糸が刺さっていて、その糸は男に繋がっている。
「何をした!!」
我愛羅が男を睨むと、男は今まで操っていた傀儡の糸を手放す。足元に山のように落ちる傀儡。
「お前の愛する妻の『生命力』を『チャクラ』に変換したのさ!オレを倒せば糸は消える。
その前にお前の妻がくたばるのが早いかもなァ!」
「貴様ッ…!」
「母様…!」
愕然とする我愛羅を心底楽しそうに笑う男。守羅は我愛羅の砂の盾から出て、
ふらつく足で尚へ駆け寄る。
「うっああああッあああああああ!!」
「母様っ母様!!」
全身を焼け付くような痛みに教われる尚を揺する守羅。
クナイで糸を切ろうとするが全く効果が無かった。
「駄目だっ切れない!」
尚の生命力を吸収した男の戦闘力が飛躍し、我愛羅に猛攻を仕掛ける。
辺りで両者の攻防する音が絶え間なく響き渡る様子を見ながら、守羅は唇を噛んだ。
(オレは、また…見てるだけなのかッ!)
守羅の体力もチャクラも僅か…かといって尚を救う術も無い。
(オレは何の為に、修行して来たんだ…!)
成長など意味が無かったように、今の自分は以前と変わらず無力なまま。苦しむ母も救えない子供…。
「ぐあっ!」
「父様!」
ドシャアッと我愛羅が守羅達の前に叩き付けられ、戦況は我愛羅が押され始めていた。
「ははははッどうだこの力!素晴らしいだろう!!」
「くっ…!」
随分と傷を負った我愛羅が立ち上がり、守羅と尚をその背に庇う。
「はぁ…はぁ…オレの家族を、死なせはしない…!」
「!」
(父様…)
我愛羅は数々の術を使い、チャクラを消耗し、傷を負いながらも、その瞳はまだ光を失ってはいない。
父の背を見上げながら、守羅が拳を握る。そんな中、我愛羅が一気に勝負に出る。
残りのチャクラを込めて、大量の砂を操り男を何重にも砂で覆う。
「――砂瀑送葬」
大量の砂が男を締め上げて行く。砂の圧に、男の体が軋み出す。
「ぐうああああッ」
最後まで力を込める我愛羅だが、男は更に尚から生命力を奪い、
己の力を高めていく。男の腕が強引に砂の呪縛を振り解こうともがく。
(このままでは、チャクラが尽きる…!)
我愛羅の背に冷たいものが伝い出した時、男を捕える我愛羅の砂に加勢する様に、
更に砂が男を呑み込んで行く。
ズザァッと男が砂地に着地して、我愛羅も同じ地に立つ。
「守羅、後はオレに任せて休め」
「父、様…」
出血で意識が朦朧としている守羅を肩越しに見て、我愛羅は男を見据えた。
「貴様、傀儡職人だな。何故反逆を目論んだ」
「お前らへの報復だ!!お前らがオレ達との取引を断ち切ったがために、オレ達の村は極貧を強いられ、
村人は飢えで次々に死に絶えて行ったのだ!」
「……そうか」
我愛羅は一瞬、表情を曇らせた。
我愛羅が風影を襲名して折、いくらか里の生活は安定し、
それは風の国のあらゆる小さな村や町にも良い影響をもたらしていたが、
全ての村や町が、豊かになったわけではない。
しかし、自分の不甲斐無さから起きた問題とはいえ、妻を攫った相手を許す訳にはいかない…
反逆者を、許す訳にはいかないのだ。
「死して償えッ風影!!」
ボンッと男が巻物を出して印を組むと、中から何体もの鋼鉄製の傀儡が現れ、我愛羅に襲い掛かる。
(ここまでの使い手とは…)
「砂分身!」
男の手腕に感心しながら、我愛羅も傀儡に砂分身で応戦する。
指から何本もチャクラの糸を伸ばし、傀儡を操る男は無防備に近い。
男を仕留めれば傀儡は止まる道理に違いは無い。
地を蹴り、男へ攻撃を仕掛ける我愛羅。それを巧みにかわす男。体術の腕も確かなようだ。
(だが、何だ…?)
砂分身達によって動きが鈍くなる傀儡達。だが、大抵の傀儡は関節に砂が入り込めば完全に動きが止まるはず、
なのにこれらは『鈍くなるだけ』封じ切ることが出来ない。
(いくら頑丈とはいえ、物には限界があるはず…)
男に様々な忍術を繰り出しながら、我愛羅の不信感は募って行く。
瓢箪からの砂が、男の頬に命中すると男が地面に倒れ込む。
「やはり、一筋縄にはいかんか…」
男が上体を起こした時、その頬にビシッと亀裂が入った。
その光景に、我愛羅が微かに瞳を見開く。
「自分自身を…」
我愛羅の呟きに、男は口角を上げた。
「そう、オレはもう…人では無い!」
男が両腕を掲げると、我愛羅の砂分身が消え、傀儡達が宙に浮き、一斉に輝き出した。
傀儡達の輝きは、糸を辿って男に流れて行く。
「オレの傀儡は、チャクラを喰らう!」
「!!」
我愛羅は頭上の傀儡を見上げ、その意味を理解すると、顔をしかめた。
(やられた…!)
傀儡達によって、我愛羅が砂分身達に込めていたチャクラが奪われ、男に吸収されているのだ。
「クククッもう一つ、面白い仕掛けがあるぞ」
ニヤッと男が笑うと同時に、尚の悲鳴が響いた。
「あああああああッ!!」
「尚!?」
バシュッと守羅の砂の拘束が弾け、尚が地面に蹲って苦しんでいる。
よく見ると、尚の項にチャクラ糸が刺さっていて、その糸は男に繋がっている。
「何をした!!」
我愛羅が男を睨むと、男は今まで操っていた傀儡の糸を手放す。足元に山のように落ちる傀儡。
「お前の愛する妻の『生命力』を『チャクラ』に変換したのさ!オレを倒せば糸は消える。
その前にお前の妻がくたばるのが早いかもなァ!」
「貴様ッ…!」
「母様…!」
愕然とする我愛羅を心底楽しそうに笑う男。守羅は我愛羅の砂の盾から出て、
ふらつく足で尚へ駆け寄る。
「うっああああッあああああああ!!」
「母様っ母様!!」
全身を焼け付くような痛みに教われる尚を揺する守羅。
クナイで糸を切ろうとするが全く効果が無かった。
「駄目だっ切れない!」
尚の生命力を吸収した男の戦闘力が飛躍し、我愛羅に猛攻を仕掛ける。
辺りで両者の攻防する音が絶え間なく響き渡る様子を見ながら、守羅は唇を噛んだ。
(オレは、また…見てるだけなのかッ!)
守羅の体力もチャクラも僅か…かといって尚を救う術も無い。
(オレは何の為に、修行して来たんだ…!)
成長など意味が無かったように、今の自分は以前と変わらず無力なまま。苦しむ母も救えない子供…。
「ぐあっ!」
「父様!」
ドシャアッと我愛羅が守羅達の前に叩き付けられ、戦況は我愛羅が押され始めていた。
「ははははッどうだこの力!素晴らしいだろう!!」
「くっ…!」
随分と傷を負った我愛羅が立ち上がり、守羅と尚をその背に庇う。
「はぁ…はぁ…オレの家族を、死なせはしない…!」
「!」
(父様…)
我愛羅は数々の術を使い、チャクラを消耗し、傷を負いながらも、その瞳はまだ光を失ってはいない。
父の背を見上げながら、守羅が拳を握る。そんな中、我愛羅が一気に勝負に出る。
残りのチャクラを込めて、大量の砂を操り男を何重にも砂で覆う。
「――砂瀑送葬」
大量の砂が男を締め上げて行く。砂の圧に、男の体が軋み出す。
「ぐうああああッ」
最後まで力を込める我愛羅だが、男は更に尚から生命力を奪い、
己の力を高めていく。男の腕が強引に砂の呪縛を振り解こうともがく。
(このままでは、チャクラが尽きる…!)
我愛羅の背に冷たいものが伝い出した時、男を捕える我愛羅の砂に加勢する様に、
更に砂が男を呑み込んで行く。