特別編 新時代の風 前篇
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(この子をこの手で殺すぐらいなら、いっそここでっ!)
自分の舌を噛み切って命を絶つ。それが唯一の手段だと、尚が歯に力を込め始めた時…
「母様ッ!!」
「っ!」
はっとして瓦礫から這い出て来た息子を見た途端に、尚は目を見開いた。
「オレが、必ず助けるからっ…」
元々、父親似だからとか…そういう事じゃなく。強い眼光が、表情が、我愛羅のそれと重なった。
『諦めるなッ!!』
「………」
(守羅…)
強い意思と覚悟を宿して、守羅が猛然と駆けだした。
「!」
構えを取る尚より速く、守羅が素早く瓢箪から砂を出して尚を拘束する。
「うっ!ぐ…っ」
「術者を倒すまでそこにいて!」
ヒュンッと脇を通り過ぎて、守羅が起爆札付きのクナイを壁に放つ。
ドォンッと数回起爆札が爆発して、岩の壁から尚を攫った男が現れた。
「チィッ!」
「そこか!!」
上へ飛び上がった守羅が、腰の短刀を抜刀して男に襲い掛かる。
「くそっ!」
指から伸びたチャクラ糸は、尚に繋がり伸びている。
砂の拘束で使え無いと判断した男が尚から糸を切り離す。
巻物から新たな傀儡を出して、即座に守羅に対応した。
人型にサソリの尻尾を生やしたような傀儡が、クナイで守羅の短刀を受け止めた。
――ギイィンッ!
「お前か!母様を攫ったのはっ何者だ!」
守羅の問いに、男は不適に笑う。
「クククッこれは驚いた。まさか息子の方が釣れるとは!手間が省けたわ!!」
傀儡が受け止めた守羅を薙ぎ払う。宙で態勢を立て直した守羅が、構えたまま地面に着地する。
「オレは砂の里の片隅にある小さな村の傀儡職人!長い間、オレは風影の血族を滅ぼす機会を狙っていた!!」
「…恨みか」
冷静な守羅に、男は更に口角を引き上げた。
「左様!オレ達職人の造る傀儡は精密かつ高性能!!先代風影はオレ達の傀儡で戦争に有利になれた!
なのに、戦争が終わると用済みだと言わんばかりにオレ達と取引をしなくなった!
『自里に優秀な職人と傀儡使いを育成したから、もう取引する理由はない』とな!
先代が亡くなった後、風影を襲名した我愛羅にも、オレ達は見放された!
『もう傷付け合う兵器は必要無い』とな!!
買い手が無く、収入を得られないオレ達の生活は一気に貧しくなった!!
老人や子供は飢えや病で次々に死に堪え、
その日食べて行くのも困難な極貧ッ貴様らには分かるまい!!」
血走った目が、守羅に向く。
「だから、お前らにも思い知らせてやる!大切なモノを失う悲しみを!絶望をっ!!」
男の傀儡が、守羅を襲う。恐らく鋼鉄製の傀儡、一撃が通常の傀儡より重く強力だ。
「ぐっ…風影の血族を根絶やしても、里の上役達が黙っていない!どの道お前も滅びるだけだ!」
砂で傀儡の攻撃を防ぎつつ、傀儡の関節部分を攻めると、鈍い音を立てて手足が外れて落ちて行く。
手足を失った傀儡の胴体と、散らばる手足を砂で捕らえ、守羅が一気に勝負に出る。
瓢箪の砂を総動員し、男を追い詰める。しかし相手も手練れ、素早く砂を避け、急所に飛んでくる砂もかわす。
「ははははっ!その程度でこのオレを捕えようとは見くびられたモノだな!!
五代目風影の息子はとんだ落ちこぼれと見えるっ!血の恩恵は受けられなかったようだな!!」
上手く捕らえきれない男の嘲りに、守羅の眉間にシワが刻まれる。
「忍の質は、血筋じゃないッ!!」
ギュンッと砂が男の四方を囲む。
「!?」
守羅の口角が上がる。守羅はワザと攻撃をかわさせ、男を捕えやすい場所に誘導していたのだ。
「砂漠柩!」
グバアッと広がる砂に瞬く間に男を捕え、体の自由を奪う。
「ぐっああああッ!!」
全身を締め上げる圧の籠った砂が男の骨ごと砕き、呑み込んで行く。
これで終結かと思われた時、男が煙になって消えた。
――ボフンッ!
「!」
(しまったっ分身か!!)
守羅が気付いたと同時に、背後に人の気配が飛んで来た。振り返って見えたのは、捕えた筈の男の歪む口元…。
――ザシュッ!!
「うああああッ!!」
額をクナイで切られ、出血しながら広く砂が広がった地面に叩き付けられる。
カラン…!と、守羅の額当てが外れ、落ちる音が響いた。
「守羅!!」
遠くで母の声を聞きながら、守羅は上体を起こした。視界の半分を鮮血が伝う。
(くそぉ…!!)
「クククク…未熟未熟!あまりにもお粗末だなお坊ちゃんよぉ!」
勝ち誇った笑みで見下ろす男に、守羅は足元の砂にチャクラを込める。
ゴアアアッと渦を巻いて巻き上がる大量の砂が、男を包囲する。
「まだだ!」
ぐばっと口を開けた砂が閉じる前に、男が起爆札で上へ飛翔し回避し、守羅に突進する。
「くっ!」
「動きがトロイ!チャクラを無駄に消費したなぁ!!」
――バキィッ!
「がはっ!!」
男の拳に貫かれて、守羅の体が宙へ飛ぶ。痛みに意識が掻き消されそうな守羅に、男がクナイを放つ。
クナイが守羅を貫こうとした時、守羅の体を砂が包み守った。
地面に刺さるクナイ。守羅が薄く瞼を開くと、砂の壁の隙間から、大きな背中が見えた。
「かなり、出遅れてしまったようだな…」
「五代、目…」
「我愛羅…っ!」
「風影ぇ!!」
砂に乗って現れた我愛羅が、男を見下ろす。
「尚を攫ったのは、貴様か」
「…待っていた。待っていたぞ!風影 我愛羅ッ!!」
弾丸の如く我愛羅に向かって行く男と、戦闘の構えを取る我愛羅。
戦局は、第二戦へ転じて行く…。
自分の舌を噛み切って命を絶つ。それが唯一の手段だと、尚が歯に力を込め始めた時…
「母様ッ!!」
「っ!」
はっとして瓦礫から這い出て来た息子を見た途端に、尚は目を見開いた。
「オレが、必ず助けるからっ…」
元々、父親似だからとか…そういう事じゃなく。強い眼光が、表情が、我愛羅のそれと重なった。
『諦めるなッ!!』
「………」
(守羅…)
強い意思と覚悟を宿して、守羅が猛然と駆けだした。
「!」
構えを取る尚より速く、守羅が素早く瓢箪から砂を出して尚を拘束する。
「うっ!ぐ…っ」
「術者を倒すまでそこにいて!」
ヒュンッと脇を通り過ぎて、守羅が起爆札付きのクナイを壁に放つ。
ドォンッと数回起爆札が爆発して、岩の壁から尚を攫った男が現れた。
「チィッ!」
「そこか!!」
上へ飛び上がった守羅が、腰の短刀を抜刀して男に襲い掛かる。
「くそっ!」
指から伸びたチャクラ糸は、尚に繋がり伸びている。
砂の拘束で使え無いと判断した男が尚から糸を切り離す。
巻物から新たな傀儡を出して、即座に守羅に対応した。
人型にサソリの尻尾を生やしたような傀儡が、クナイで守羅の短刀を受け止めた。
――ギイィンッ!
「お前か!母様を攫ったのはっ何者だ!」
守羅の問いに、男は不適に笑う。
「クククッこれは驚いた。まさか息子の方が釣れるとは!手間が省けたわ!!」
傀儡が受け止めた守羅を薙ぎ払う。宙で態勢を立て直した守羅が、構えたまま地面に着地する。
「オレは砂の里の片隅にある小さな村の傀儡職人!長い間、オレは風影の血族を滅ぼす機会を狙っていた!!」
「…恨みか」
冷静な守羅に、男は更に口角を引き上げた。
「左様!オレ達職人の造る傀儡は精密かつ高性能!!先代風影はオレ達の傀儡で戦争に有利になれた!
なのに、戦争が終わると用済みだと言わんばかりにオレ達と取引をしなくなった!
『自里に優秀な職人と傀儡使いを育成したから、もう取引する理由はない』とな!
先代が亡くなった後、風影を襲名した我愛羅にも、オレ達は見放された!
『もう傷付け合う兵器は必要無い』とな!!
買い手が無く、収入を得られないオレ達の生活は一気に貧しくなった!!
老人や子供は飢えや病で次々に死に堪え、
その日食べて行くのも困難な極貧ッ貴様らには分かるまい!!」
血走った目が、守羅に向く。
「だから、お前らにも思い知らせてやる!大切なモノを失う悲しみを!絶望をっ!!」
男の傀儡が、守羅を襲う。恐らく鋼鉄製の傀儡、一撃が通常の傀儡より重く強力だ。
「ぐっ…風影の血族を根絶やしても、里の上役達が黙っていない!どの道お前も滅びるだけだ!」
砂で傀儡の攻撃を防ぎつつ、傀儡の関節部分を攻めると、鈍い音を立てて手足が外れて落ちて行く。
手足を失った傀儡の胴体と、散らばる手足を砂で捕らえ、守羅が一気に勝負に出る。
瓢箪の砂を総動員し、男を追い詰める。しかし相手も手練れ、素早く砂を避け、急所に飛んでくる砂もかわす。
「ははははっ!その程度でこのオレを捕えようとは見くびられたモノだな!!
五代目風影の息子はとんだ落ちこぼれと見えるっ!血の恩恵は受けられなかったようだな!!」
上手く捕らえきれない男の嘲りに、守羅の眉間にシワが刻まれる。
「忍の質は、血筋じゃないッ!!」
ギュンッと砂が男の四方を囲む。
「!?」
守羅の口角が上がる。守羅はワザと攻撃をかわさせ、男を捕えやすい場所に誘導していたのだ。
「砂漠柩!」
グバアッと広がる砂に瞬く間に男を捕え、体の自由を奪う。
「ぐっああああッ!!」
全身を締め上げる圧の籠った砂が男の骨ごと砕き、呑み込んで行く。
これで終結かと思われた時、男が煙になって消えた。
――ボフンッ!
「!」
(しまったっ分身か!!)
守羅が気付いたと同時に、背後に人の気配が飛んで来た。振り返って見えたのは、捕えた筈の男の歪む口元…。
――ザシュッ!!
「うああああッ!!」
額をクナイで切られ、出血しながら広く砂が広がった地面に叩き付けられる。
カラン…!と、守羅の額当てが外れ、落ちる音が響いた。
「守羅!!」
遠くで母の声を聞きながら、守羅は上体を起こした。視界の半分を鮮血が伝う。
(くそぉ…!!)
「クククク…未熟未熟!あまりにもお粗末だなお坊ちゃんよぉ!」
勝ち誇った笑みで見下ろす男に、守羅は足元の砂にチャクラを込める。
ゴアアアッと渦を巻いて巻き上がる大量の砂が、男を包囲する。
「まだだ!」
ぐばっと口を開けた砂が閉じる前に、男が起爆札で上へ飛翔し回避し、守羅に突進する。
「くっ!」
「動きがトロイ!チャクラを無駄に消費したなぁ!!」
――バキィッ!
「がはっ!!」
男の拳に貫かれて、守羅の体が宙へ飛ぶ。痛みに意識が掻き消されそうな守羅に、男がクナイを放つ。
クナイが守羅を貫こうとした時、守羅の体を砂が包み守った。
地面に刺さるクナイ。守羅が薄く瞼を開くと、砂の壁の隙間から、大きな背中が見えた。
「かなり、出遅れてしまったようだな…」
「五代、目…」
「我愛羅…っ!」
「風影ぇ!!」
砂に乗って現れた我愛羅が、男を見下ろす。
「尚を攫ったのは、貴様か」
「…待っていた。待っていたぞ!風影 我愛羅ッ!!」
弾丸の如く我愛羅に向かって行く男と、戦闘の構えを取る我愛羅。
戦局は、第二戦へ転じて行く…。