特別編 新時代の風 前篇
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(くっ…仕方無い!)
我愛羅はたまたま任務帰りで近くにいた自身の弟子であるマツリに愛花を預け、
窓から砂に乗って守羅の後を追って夜空を駆けた。
(守羅…!)
その頃、守羅もまた砂に乗って空にいた。
父の執務室での話が終わらない内に家へ駆け戻り、自室から砂の入った予備の瓢箪を全て持ち出して
腰のホルスターに収めると、そのまま空へと飛び出した。
「あそこか…」
守羅が少量の砂で目を作り、視神経を繋ぐ。父も使う『第三の目』だ。
視界に小さく見える遺跡の中を探るため、守羅は目を送り込む。母を攫った輩が潜伏していないとも限らない。
移動した可能性もあるが、まずは遺跡を探ってからだ。
自身も遺跡に向かいながら、目から伝わる情景を確認する。
遺跡の出入口で、影分身を二体出しておき、分かれて捜索を開始した。
(人の気配が無い…別の場所に移ったか。
あるいは上手く隠れているか…そろそろ父様もこっちに向かってるだろうな)
携帯用の簡易ライトで照らしながら、慎重に辺りを警戒し進むが、誰かがいる気配は感じられない。
「ここにはいないのか…?」
遂に奥の突き当りまで来てしまい、踵を返そうとした時、微かに足元から風を感じた。
(風…?地下があるのか)
ガコッと床の岩を持ち上げると、そこからやはり微風が来る。
分身を一旦消して、目を呼び戻し先行させて下へ向かう。
暗くカビ臭い階段を進みながら、守羅の脳裏には家族の顔が浮かんでいた。
幼い頃から『風影の息子』として危険な思いをしたことも多々あった。
けれど、いつでも父が、母が、オレ達を守ってくれた。
身を挺して、命懸けで…
オレは母様が好きだ。尊敬もしてる。オレ達が危険な時は、何を置いても駆け付けてくれた。
今でも、覚えてる…あの背中を。オレが、下忍になりたての頃…上忍クラスの抜け忍が、里を襲った。
砂鉄を操るその抜け忍は、影分身を大勢送り込んで、里内を混乱させた。
突然の襲撃に、オレ達下忍も戦闘を余儀なくされた。
でも、やはり下忍。経験や技術、実力での差は圧倒的で、オレ達は歯が立たなかった…。
同じ下忍の中でも、それなりに戦えるつもりでいたオレの自信は、あっけなく砕かれた。
それでも屈する訳にはいかなかった。
全身傷だらけで足元に蹲るオレを、奴は嗤った。
そうかと思うと、突然地響きがして目前に無数の大蛇のような黒い蛇が迫っていた。
『っ…!!』
既に体力も尽きていたオレは、きつく目を閉じて両腕を前に組んで身構えた。
――ガギイィィンッ!! ドドッ!!
『……!』
いつまでも来ない衝撃に、恐る恐る目を開けるとオレを背に庇う母様の姿があった。
『か、母さ、ま…』
『っゴフ…!守羅、大丈夫…?』
『あ…!』
ゴボッと、母様の口から血が大量に零れ落ちるのを見て、オレはやっと気付いた。
短刀と鞘で数匹、そして四肢に数匹、胴体に二匹。れぞれに砂鉄の大蛇が深く噛み付いていることに…。
白い服が、真っ赤に染まっていく姿にオレは固まってしまった。
『母様、オレっオレのせいで…ッ』
『守羅、しっかりしなさい。今はそんな事を言ってる場合じゃないはずでしょう?
立って、里へ戻りなさい。もう既に、里内の混乱は治まりつつある…
あなたは、里内で傷付いた人達を救助して。ここは…お母さんに任せて』
そう言って肩越しに微笑む母様。その足元には真っ赤な水溜りが広がっていく…。
『で、でもっ母様…!』
『はははははッ満身創痍の状態で、オレに勝てるつもりか我愛羅の妻!!』
男の声に、母様はいつもと違う不敵な笑みを向けた。
『この程度で、私が降参するとでも?舐めないでッ!』
ドォンッと母の足元と周囲が爆発した。いつのまに仕込んだのか、数枚の起爆札が作動した。
爆発で蛇が吹き飛ぶ。母様はその隙を突いて、爆風に乗って男の頭上を抑えていた。
『くっ小賢しい!!』
――キイィィンッ!!とクナイと短刀のぶつかり合う音が響く。
爆風が治まり掛けた頃には、辺りに刃物がぶつかり合う音が色んな方向から響いていた。
目にも留まらない速さの刃と体術の応酬に、オレは茫然とその場に座り込んでいた。
我愛羅はたまたま任務帰りで近くにいた自身の弟子であるマツリに愛花を預け、
窓から砂に乗って守羅の後を追って夜空を駆けた。
(守羅…!)
その頃、守羅もまた砂に乗って空にいた。
父の執務室での話が終わらない内に家へ駆け戻り、自室から砂の入った予備の瓢箪を全て持ち出して
腰のホルスターに収めると、そのまま空へと飛び出した。
「あそこか…」
守羅が少量の砂で目を作り、視神経を繋ぐ。父も使う『第三の目』だ。
視界に小さく見える遺跡の中を探るため、守羅は目を送り込む。母を攫った輩が潜伏していないとも限らない。
移動した可能性もあるが、まずは遺跡を探ってからだ。
自身も遺跡に向かいながら、目から伝わる情景を確認する。
遺跡の出入口で、影分身を二体出しておき、分かれて捜索を開始した。
(人の気配が無い…別の場所に移ったか。
あるいは上手く隠れているか…そろそろ父様もこっちに向かってるだろうな)
携帯用の簡易ライトで照らしながら、慎重に辺りを警戒し進むが、誰かがいる気配は感じられない。
「ここにはいないのか…?」
遂に奥の突き当りまで来てしまい、踵を返そうとした時、微かに足元から風を感じた。
(風…?地下があるのか)
ガコッと床の岩を持ち上げると、そこからやはり微風が来る。
分身を一旦消して、目を呼び戻し先行させて下へ向かう。
暗くカビ臭い階段を進みながら、守羅の脳裏には家族の顔が浮かんでいた。
幼い頃から『風影の息子』として危険な思いをしたことも多々あった。
けれど、いつでも父が、母が、オレ達を守ってくれた。
身を挺して、命懸けで…
オレは母様が好きだ。尊敬もしてる。オレ達が危険な時は、何を置いても駆け付けてくれた。
今でも、覚えてる…あの背中を。オレが、下忍になりたての頃…上忍クラスの抜け忍が、里を襲った。
砂鉄を操るその抜け忍は、影分身を大勢送り込んで、里内を混乱させた。
突然の襲撃に、オレ達下忍も戦闘を余儀なくされた。
でも、やはり下忍。経験や技術、実力での差は圧倒的で、オレ達は歯が立たなかった…。
同じ下忍の中でも、それなりに戦えるつもりでいたオレの自信は、あっけなく砕かれた。
それでも屈する訳にはいかなかった。
全身傷だらけで足元に蹲るオレを、奴は嗤った。
そうかと思うと、突然地響きがして目前に無数の大蛇のような黒い蛇が迫っていた。
『っ…!!』
既に体力も尽きていたオレは、きつく目を閉じて両腕を前に組んで身構えた。
――ガギイィィンッ!! ドドッ!!
『……!』
いつまでも来ない衝撃に、恐る恐る目を開けるとオレを背に庇う母様の姿があった。
『か、母さ、ま…』
『っゴフ…!守羅、大丈夫…?』
『あ…!』
ゴボッと、母様の口から血が大量に零れ落ちるのを見て、オレはやっと気付いた。
短刀と鞘で数匹、そして四肢に数匹、胴体に二匹。れぞれに砂鉄の大蛇が深く噛み付いていることに…。
白い服が、真っ赤に染まっていく姿にオレは固まってしまった。
『母様、オレっオレのせいで…ッ』
『守羅、しっかりしなさい。今はそんな事を言ってる場合じゃないはずでしょう?
立って、里へ戻りなさい。もう既に、里内の混乱は治まりつつある…
あなたは、里内で傷付いた人達を救助して。ここは…お母さんに任せて』
そう言って肩越しに微笑む母様。その足元には真っ赤な水溜りが広がっていく…。
『で、でもっ母様…!』
『はははははッ満身創痍の状態で、オレに勝てるつもりか我愛羅の妻!!』
男の声に、母様はいつもと違う不敵な笑みを向けた。
『この程度で、私が降参するとでも?舐めないでッ!』
ドォンッと母の足元と周囲が爆発した。いつのまに仕込んだのか、数枚の起爆札が作動した。
爆発で蛇が吹き飛ぶ。母様はその隙を突いて、爆風に乗って男の頭上を抑えていた。
『くっ小賢しい!!』
――キイィィンッ!!とクナイと短刀のぶつかり合う音が響く。
爆風が治まり掛けた頃には、辺りに刃物がぶつかり合う音が色んな方向から響いていた。
目にも留まらない速さの刃と体術の応酬に、オレは茫然とその場に座り込んでいた。