特別編 新時代の風 前篇
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母様は『光』なんだと、オレは痛感した。母様がいない家は灯りがついているのに暗くて、寒い。
今日も、帰ったらいつの通りに母様が、あのいつもの大好きな優しい笑顔で
『お帰り』って言ってくれるんだと、疑わなかった。
ボルトと別れて薄暗くなりだした帰り道で、夕飯は何かな?とか思いながら家に入ると、
愛花が居間で独りで泣いていて、母様はいなかった…。
「愛花、どうした?母様は?」
オレは自分でも驚くぐらいに冷静な声で、愛花の肩を軽く揺すった。何となく、予感がしていた…。
「うっぐすっ母さま、夜には帰るって…言ってたのっ薬草、里の外れに採りに行くって…
上忍の人もいっしょだから、大丈夫ってっでも、でもっ帰って来ないの…! う、うああああっ!」
バラバラと、愛花の目から無泪石が床に落ちて転がって行く。オレはしがみつく愛花の背中を撫でながら、
本能的に直感した『母様に、なにかあったんだ』と。
「愛花、父様のとこ行こう」
愛花の手を引いて、オレは父様のいる執務室へ向かった。
着いてみると、執務室の中から父様とカンクロウ叔父さんの声が聞こえて、オレは扉の近くで足を止めた。
「では、尚はその砂嵐に巻き込まれ、行方が分からなくなった。ということか…」
尚に付き添っていた上忍の一人が、全身を負傷しながら我愛羅の下に駆け込んで緊急事態を知らせていた。
「はい、申し訳…ありませんっ我々が着いていながら、尚様を…ぐっ!」
深手を負った傷を押さえて呻く部下を、カンクロウが支えてやる。
「もういい、喋るな。すぐに病院へ連れて行ってやってくれ」
「ああ」
カンクロウが退室し、我愛羅は頭の中で情報を整理する。
(報告によると、砂嵐は何者かの術の可能性が高い。意図的に尚を護衛を分断したのだとしたら、
目的は尚自身。いや…オレに何らかの恨みを持つ者が、オレを誘き出すために攫ったか)
眉間に力が入るのを感じながら、我愛羅は部下が持ち帰って来た尚のマントと短刀に視線を向ける。
(尚…)
薄汚れてしまった白いマントを胸に抱くと、ふわりと優しい香りが微かに香る。
(オレは、また…お前をオレの過去の罪に、巻き込んでしまったのか…っ)
数秒、最愛の妻の香りに抱かれていた我愛羅が顔を上げる。その瞳は強く、光を湛えていた。
マントを机に置いたのと、執務室の扉が壊れる勢いで開かれたのは同時だった。
「父さまあぁぁぁッ!!」
「愛花」
弾丸の如く勢いで真っ直ぐ駆け込んで来た愛花を、我愛羅は屈んで抱き止める。
「うっうう…母さま、どこ行ったの?悪い人に捕まったのっ?か、母さま…もう帰って来ないのっ?」
「心配するな。父様がな必ず、母様を悪い奴から助けるから、お前は守羅と一緒に…」
ふと、我愛羅は辺りを見渡した。
「愛花、守羅はどうした?一緒にここまで来たんだろう?」
愛花を一人にするはずがない守羅の姿が見えない事に、我愛羅は嫌な予感がして背筋が冷たくなるのを感じた。
くすんっと鼻を鳴らしながら、愛花が不思議そうに扉を振り返る。
「兄さま、父さま達の話聞いて、どっか走って行っちゃった…」
「…まさか」
予感的中。
守羅は我愛羅と部下の話を聞いて、尚が攫われたとされる遺跡の場所を特定し、
単身で母を救いに向かったに違いない。
我愛羅の顔から血の気が引く。すぐさま暗部数名と守羅を追いたいが、暗部を招集している時間が惜しい。
今日も、帰ったらいつの通りに母様が、あのいつもの大好きな優しい笑顔で
『お帰り』って言ってくれるんだと、疑わなかった。
ボルトと別れて薄暗くなりだした帰り道で、夕飯は何かな?とか思いながら家に入ると、
愛花が居間で独りで泣いていて、母様はいなかった…。
「愛花、どうした?母様は?」
オレは自分でも驚くぐらいに冷静な声で、愛花の肩を軽く揺すった。何となく、予感がしていた…。
「うっぐすっ母さま、夜には帰るって…言ってたのっ薬草、里の外れに採りに行くって…
上忍の人もいっしょだから、大丈夫ってっでも、でもっ帰って来ないの…! う、うああああっ!」
バラバラと、愛花の目から無泪石が床に落ちて転がって行く。オレはしがみつく愛花の背中を撫でながら、
本能的に直感した『母様に、なにかあったんだ』と。
「愛花、父様のとこ行こう」
愛花の手を引いて、オレは父様のいる執務室へ向かった。
着いてみると、執務室の中から父様とカンクロウ叔父さんの声が聞こえて、オレは扉の近くで足を止めた。
「では、尚はその砂嵐に巻き込まれ、行方が分からなくなった。ということか…」
尚に付き添っていた上忍の一人が、全身を負傷しながら我愛羅の下に駆け込んで緊急事態を知らせていた。
「はい、申し訳…ありませんっ我々が着いていながら、尚様を…ぐっ!」
深手を負った傷を押さえて呻く部下を、カンクロウが支えてやる。
「もういい、喋るな。すぐに病院へ連れて行ってやってくれ」
「ああ」
カンクロウが退室し、我愛羅は頭の中で情報を整理する。
(報告によると、砂嵐は何者かの術の可能性が高い。意図的に尚を護衛を分断したのだとしたら、
目的は尚自身。いや…オレに何らかの恨みを持つ者が、オレを誘き出すために攫ったか)
眉間に力が入るのを感じながら、我愛羅は部下が持ち帰って来た尚のマントと短刀に視線を向ける。
(尚…)
薄汚れてしまった白いマントを胸に抱くと、ふわりと優しい香りが微かに香る。
(オレは、また…お前をオレの過去の罪に、巻き込んでしまったのか…っ)
数秒、最愛の妻の香りに抱かれていた我愛羅が顔を上げる。その瞳は強く、光を湛えていた。
マントを机に置いたのと、執務室の扉が壊れる勢いで開かれたのは同時だった。
「父さまあぁぁぁッ!!」
「愛花」
弾丸の如く勢いで真っ直ぐ駆け込んで来た愛花を、我愛羅は屈んで抱き止める。
「うっうう…母さま、どこ行ったの?悪い人に捕まったのっ?か、母さま…もう帰って来ないのっ?」
「心配するな。父様がな必ず、母様を悪い奴から助けるから、お前は守羅と一緒に…」
ふと、我愛羅は辺りを見渡した。
「愛花、守羅はどうした?一緒にここまで来たんだろう?」
愛花を一人にするはずがない守羅の姿が見えない事に、我愛羅は嫌な予感がして背筋が冷たくなるのを感じた。
くすんっと鼻を鳴らしながら、愛花が不思議そうに扉を振り返る。
「兄さま、父さま達の話聞いて、どっか走って行っちゃった…」
「…まさか」
予感的中。
守羅は我愛羅と部下の話を聞いて、尚が攫われたとされる遺跡の場所を特定し、
単身で母を救いに向かったに違いない。
我愛羅の顔から血の気が引く。すぐさま暗部数名と守羅を追いたいが、暗部を招集している時間が惜しい。