特別編 新時代の風 前篇
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「だから、あんまり無理言いたくないんだ…」
「……それは、お前んとこはそうかもしんないけど、オレのとこは…」
「それに、母様が言うんだよ」
「?」
「『あんまり帰って来れないけど、二度と会えないよりずっと良いじゃない』って…」
「なんだよそれ?」
首を傾げるボルトに、守羅も曖昧な顔をする。
「オレもよく知らないけど、オレ達が生まれる前に大きな戦争があって、母様は忍じゃないから
一緒に戦えなかったから、ずっと父様が戦争から帰って来るのを一人で待ってたんだって…
いつまで待ってれば良いのか分からなくて、父様が生きて帰って来るかも分からなくて、
母様、すごく不安で怖かったって言ってたんだ。それにくらべれば、仕事で遅くなるぐらい、
数日帰って来ないぐらい何でも無いって笑ってたんだ…」
その母の笑顔は、どこか影のあるもので、守羅の脳裏に強く焼き付いた。
「だから、オレ達も耐えないと。忍とは忍び耐える者だって言われただろ?」
「…そんな話、ずりーってばさ」
むうっとするボルトに、守羅がニッと笑う。
「素直になりなよボルト」
「うっせ、ちょっとオレより強いからって先輩ぶんなってばさ!」
「はいはい」
小さな二つの背中を、温かな風が撫でて行く…
その頃、我愛羅はというと…
「でよぉ口を開けばクソ親父!ってさぁ…そりゃあオレも家にいないのが悪いけど、あんまりだってばよ~
そのくせ、イタズラばっかしてるし…」
「お前の気を引きたいのだろう」
「分かるけどよ~お前のとこは良いよなぁそう言う事無いんだろ?」
「まぁ…今の所はな」
会談後に、風影の執務室で火影、ナルトの愚痴を聞いていた。
「最近、ヒマワリまでなんかよそよそしい気がしてさぁ…
あああっこのままヒナタにまで愛想尽かされたら…オレ死ぬ」
がっくりと項垂れる親友に、我愛羅はあの夜の自分を投影した。
(オレも、ああだったんだろうな…)
「相当参っているな」
「そりゃあそうだってばよ…」
「だろうな。これは尚からの受け売りだが、親なら誰もが通る道なんだそうだ。
反抗期はオレ達に構って欲しい思いからの行動だと…」
「う~…その気持ちも分かんだけどさ、オレも昔そうだったから…」
「血は争えんな」
トントンっと机で書類を軽く整えて、微笑する我愛羅。
「はあぁぁっ今は耐えるしかねぇって事か…」
「出来る限り、時間を取るように努めるしかないな」
「だよなぁ」
一度深く息を吐いて、パンッと膝を打って立ち上がるナルト。その顔は吹っ切れた様子だ。
「んっ!今度の休みは、ぜってー休みが取れるようにするってばよ!我愛羅もそう思ってんだろ?」
「ああ、最近二人の寝顔しか見れていないからな…休みを取って、存分に我が儘に付き合ってやりたいんだ」
頷く我愛羅にナルトも笑って頷き返した。同じ父として、抱える悩みも似ている。
こうして相談しあえる友がいるのは、互いに嬉しいことだ。
風影宅では、尚が出掛ける支度をしていた。
「母様、どこ行くの?」
アカデミーから帰った愛花が、居間でマントを羽織る母の側へ寄る。
「ん?ちょっと里の外れにある薬草を採って来るの。まだ数が少ないからストックしとかないとね」
「いつ帰る?」
「そうだねぇ…夜ご飯までには帰って来るよ。お兄ちゃんが帰って来たら一緒に待ってて」
「うん…」
一人で留守番は出来るが、やはり寂しいのか俯く愛花に、尚はその小さな頭を撫でる。
「今日はお父さん、早く帰れるって言ってたから皆で一緒にご飯食べようね」
その言葉に、愛花がパッと顔を上げた。
「父様、帰って来るのっ?」
「ええ、夜は一緒に過ごせるって」
ぱああっと瞳を輝かせる愛花に、尚が微笑んで玄関へ向かう。
「じゃあ行って来ます。お留守番お願いね」
「母様、一人で行くの?」
母の後ろを小走りで追って問うと、母は首を横に振る。
「上忍の人が三人付いて来てくれるの。だから大丈夫よ」
「母様、強いもんね!」
「ふふっそうだね。行って来ます」
「いってらっしゃい!」
白いマントをはためかせる母を笑顔で見送って、愛花はホクホクしながら部屋に戻った。
「ナルト、今日はもう帰るのか?」
我愛羅が問うと、ナルトは苦笑して頷く。
「ああ、山積みの仕事片付けねぇと帰してもらえねぇからよ」
「そうか、では今度は家族と休暇に来い。家に泊まると良い。子供達も尚も喜ぶ」
「おう!そうする!んじゃあな」
「ああ」
片手を挙げて、ボルトを迎えに行くナルト。その背を見送って、
我愛羅も『もうひと踏ん張り』すべく仕事に向かうのだった。
「……それは、お前んとこはそうかもしんないけど、オレのとこは…」
「それに、母様が言うんだよ」
「?」
「『あんまり帰って来れないけど、二度と会えないよりずっと良いじゃない』って…」
「なんだよそれ?」
首を傾げるボルトに、守羅も曖昧な顔をする。
「オレもよく知らないけど、オレ達が生まれる前に大きな戦争があって、母様は忍じゃないから
一緒に戦えなかったから、ずっと父様が戦争から帰って来るのを一人で待ってたんだって…
いつまで待ってれば良いのか分からなくて、父様が生きて帰って来るかも分からなくて、
母様、すごく不安で怖かったって言ってたんだ。それにくらべれば、仕事で遅くなるぐらい、
数日帰って来ないぐらい何でも無いって笑ってたんだ…」
その母の笑顔は、どこか影のあるもので、守羅の脳裏に強く焼き付いた。
「だから、オレ達も耐えないと。忍とは忍び耐える者だって言われただろ?」
「…そんな話、ずりーってばさ」
むうっとするボルトに、守羅がニッと笑う。
「素直になりなよボルト」
「うっせ、ちょっとオレより強いからって先輩ぶんなってばさ!」
「はいはい」
小さな二つの背中を、温かな風が撫でて行く…
その頃、我愛羅はというと…
「でよぉ口を開けばクソ親父!ってさぁ…そりゃあオレも家にいないのが悪いけど、あんまりだってばよ~
そのくせ、イタズラばっかしてるし…」
「お前の気を引きたいのだろう」
「分かるけどよ~お前のとこは良いよなぁそう言う事無いんだろ?」
「まぁ…今の所はな」
会談後に、風影の執務室で火影、ナルトの愚痴を聞いていた。
「最近、ヒマワリまでなんかよそよそしい気がしてさぁ…
あああっこのままヒナタにまで愛想尽かされたら…オレ死ぬ」
がっくりと項垂れる親友に、我愛羅はあの夜の自分を投影した。
(オレも、ああだったんだろうな…)
「相当参っているな」
「そりゃあそうだってばよ…」
「だろうな。これは尚からの受け売りだが、親なら誰もが通る道なんだそうだ。
反抗期はオレ達に構って欲しい思いからの行動だと…」
「う~…その気持ちも分かんだけどさ、オレも昔そうだったから…」
「血は争えんな」
トントンっと机で書類を軽く整えて、微笑する我愛羅。
「はあぁぁっ今は耐えるしかねぇって事か…」
「出来る限り、時間を取るように努めるしかないな」
「だよなぁ」
一度深く息を吐いて、パンッと膝を打って立ち上がるナルト。その顔は吹っ切れた様子だ。
「んっ!今度の休みは、ぜってー休みが取れるようにするってばよ!我愛羅もそう思ってんだろ?」
「ああ、最近二人の寝顔しか見れていないからな…休みを取って、存分に我が儘に付き合ってやりたいんだ」
頷く我愛羅にナルトも笑って頷き返した。同じ父として、抱える悩みも似ている。
こうして相談しあえる友がいるのは、互いに嬉しいことだ。
風影宅では、尚が出掛ける支度をしていた。
「母様、どこ行くの?」
アカデミーから帰った愛花が、居間でマントを羽織る母の側へ寄る。
「ん?ちょっと里の外れにある薬草を採って来るの。まだ数が少ないからストックしとかないとね」
「いつ帰る?」
「そうだねぇ…夜ご飯までには帰って来るよ。お兄ちゃんが帰って来たら一緒に待ってて」
「うん…」
一人で留守番は出来るが、やはり寂しいのか俯く愛花に、尚はその小さな頭を撫でる。
「今日はお父さん、早く帰れるって言ってたから皆で一緒にご飯食べようね」
その言葉に、愛花がパッと顔を上げた。
「父様、帰って来るのっ?」
「ええ、夜は一緒に過ごせるって」
ぱああっと瞳を輝かせる愛花に、尚が微笑んで玄関へ向かう。
「じゃあ行って来ます。お留守番お願いね」
「母様、一人で行くの?」
母の後ろを小走りで追って問うと、母は首を横に振る。
「上忍の人が三人付いて来てくれるの。だから大丈夫よ」
「母様、強いもんね!」
「ふふっそうだね。行って来ます」
「いってらっしゃい!」
白いマントをはためかせる母を笑顔で見送って、愛花はホクホクしながら部屋に戻った。
「ナルト、今日はもう帰るのか?」
我愛羅が問うと、ナルトは苦笑して頷く。
「ああ、山積みの仕事片付けねぇと帰してもらえねぇからよ」
「そうか、では今度は家族と休暇に来い。家に泊まると良い。子供達も尚も喜ぶ」
「おう!そうする!んじゃあな」
「ああ」
片手を挙げて、ボルトを迎えに行くナルト。その背を見送って、
我愛羅も『もうひと踏ん張り』すべく仕事に向かうのだった。