もう一度、始めよう
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思考に疲れた我愛羅が、軽い仮眠を取っていると、段々と室内を美味しそうな香りが包む。
「……ん」
半分眠っている我愛羅が、のそりと立ち上がりふらふらと尚の背後に近付いて行く。
――ぎゅっ!
「きゃあっ!?」
「………」
急に背後から抱き締められて、尚は驚いて振り返ると、そこには首筋に顔を埋めて微睡んでいる我愛羅がいた。
「ち、ちょ…我愛羅っ?」
「んん…」
「寝惚けてる?後になって怒らないでよ?我愛羅から抱き付いてるんだからね」
「………」
我愛羅の記憶が失われて以来、こういった触れ合いがなくなっていたので、尚は戸惑った。
我愛羅は、無意識に尚の首筋に擦り寄って、心地良い感覚に身を委ねている。
(甘い、香り…花?)
「ん…」
すぅ…と芳しい香りを確かめる様に吸い込むと、心が満たされるような幸福感に我愛羅は酔いしれる。
「が、我愛羅?」
ぎゅうううっと腕に力を込めて、もっと…と本能のままに尚の香りを求める。
(落ち着く…心地良い…)
我愛羅が微睡んでいると、ふと脳裏に声が鮮明に響いた。
『――…我愛羅』
「っ!?」
はっとして、目を開くと赤面している尚の顔が間近にあって、一瞬固まる。
「……、っ何をしている!?」
勢いよく離れる我愛羅に、尚は真っ赤な顔のままで声を上げた。
「こっちの台詞ですッ!何してるの我愛羅!」
「っ……」
明らかに自分が尚を抱きすくめていた事実に、我愛羅は珍しく動揺した。
(オレは、何をっ!いや、さっきの声は…)
脳裏に響いた声。女の声だった…。
一瞬だけ姿が見えた気がしたが、もう思い出せない…。
(この女の声に、似ていた様な気がするが…)
記憶の断片を掴み掛けた歯痒さに、横目で尚を見ると
「何なのもう…」と零しながら鍋を混ぜている。
腕に残る温かく柔らかな感触、心地良い香り。
(この感覚を、オレは知っている…)
今までに感じた事の無いはずの幸福感は、確かに覚えのあるものだった。
(オレは本当に、この女を愛していたのか…?)
『愛など幻想だ』と切り捨てた自分が、本気で他人に『愛』を抱いていたのかと。
確実に変わりつつある心にどうすべきなのか分からないが、
何処かで悪くないと思っている事に
我愛羅は困惑した。
(全てを明らかにした時、オレがこの女を本当に愛していたのか。その答えも分かるのか…?)
尚の背中を見詰めながら、我愛羅は胸が締め付けられる様な感覚を覚えた…。
(お前は本当に、オレを愛しているのか…?)
全ては、失った記憶に答えがある。
この数年後の自分が何を得たのか、周りとどう接して来たのか、
子供や尚との関係性も知りたい真実は全て。
我愛羅はただ、純粋に知りたいと、そう思った…。
何故こうも、『尚』と言う女性の側は居心地が良いのか、その理由も。
我愛羅は知らない、失った記憶の中にいる影と、
今自分の側にいる女性が同一人物で、自分が『二度目の恋』をしている事を…。
「……ん」
半分眠っている我愛羅が、のそりと立ち上がりふらふらと尚の背後に近付いて行く。
――ぎゅっ!
「きゃあっ!?」
「………」
急に背後から抱き締められて、尚は驚いて振り返ると、そこには首筋に顔を埋めて微睡んでいる我愛羅がいた。
「ち、ちょ…我愛羅っ?」
「んん…」
「寝惚けてる?後になって怒らないでよ?我愛羅から抱き付いてるんだからね」
「………」
我愛羅の記憶が失われて以来、こういった触れ合いがなくなっていたので、尚は戸惑った。
我愛羅は、無意識に尚の首筋に擦り寄って、心地良い感覚に身を委ねている。
(甘い、香り…花?)
「ん…」
すぅ…と芳しい香りを確かめる様に吸い込むと、心が満たされるような幸福感に我愛羅は酔いしれる。
「が、我愛羅?」
ぎゅうううっと腕に力を込めて、もっと…と本能のままに尚の香りを求める。
(落ち着く…心地良い…)
我愛羅が微睡んでいると、ふと脳裏に声が鮮明に響いた。
『――…我愛羅』
「っ!?」
はっとして、目を開くと赤面している尚の顔が間近にあって、一瞬固まる。
「……、っ何をしている!?」
勢いよく離れる我愛羅に、尚は真っ赤な顔のままで声を上げた。
「こっちの台詞ですッ!何してるの我愛羅!」
「っ……」
明らかに自分が尚を抱きすくめていた事実に、我愛羅は珍しく動揺した。
(オレは、何をっ!いや、さっきの声は…)
脳裏に響いた声。女の声だった…。
一瞬だけ姿が見えた気がしたが、もう思い出せない…。
(この女の声に、似ていた様な気がするが…)
記憶の断片を掴み掛けた歯痒さに、横目で尚を見ると
「何なのもう…」と零しながら鍋を混ぜている。
腕に残る温かく柔らかな感触、心地良い香り。
(この感覚を、オレは知っている…)
今までに感じた事の無いはずの幸福感は、確かに覚えのあるものだった。
(オレは本当に、この女を愛していたのか…?)
『愛など幻想だ』と切り捨てた自分が、本気で他人に『愛』を抱いていたのかと。
確実に変わりつつある心にどうすべきなのか分からないが、
何処かで悪くないと思っている事に
我愛羅は困惑した。
(全てを明らかにした時、オレがこの女を本当に愛していたのか。その答えも分かるのか…?)
尚の背中を見詰めながら、我愛羅は胸が締め付けられる様な感覚を覚えた…。
(お前は本当に、オレを愛しているのか…?)
全ては、失った記憶に答えがある。
この数年後の自分が何を得たのか、周りとどう接して来たのか、
子供や尚との関係性も知りたい真実は全て。
我愛羅はただ、純粋に知りたいと、そう思った…。
何故こうも、『尚』と言う女性の側は居心地が良いのか、その理由も。
我愛羅は知らない、失った記憶の中にいる影と、
今自分の側にいる女性が同一人物で、自分が『二度目の恋』をしている事を…。