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我愛羅が風影の業務をこなせる状況ではないので、簡単な書類はカンクロウが片づけていた。
すっかり昔の残忍さが戻った弟に、どうしたもんかと頭を抱えるが、
もう一つの心配事は、尚だ。
一見いつもと変わらなく見える。笑顔で家事をこなして、守羅と愛花と遊んだりして…。
だが、無理をして笑っているのは分かる。
我愛羅と距離が出来るのはどうしようもないが、
明らかに尚自身、正直なところはすぐにでも泣き崩れたいだろうに。
涙も見せず、弱音も一切口にしない尚を、カンクロウは見ていられなかった…。
泣けば良いのに笑って、誰よりも愛している旦那が別人同然になっても、それでも我愛羅を愛し、
我愛羅と添い遂げる覚悟を決めた尚に、言葉が出なかった。
女は、母親は、そこまで強くなれるものなのだろうか…?それとも尚、だからなのか…。
心から想い、盲目的に尚を愛していた我愛羅はもう、何処にもいない。
我愛羅の心に、もう尚も、子供達もいないのに、それでも愛し続けると言った
尚の心は、どれほど悲しく、辛いだろうか…。
愛した人が戻らない不安と恐怖の中で、尚はいつまで精神を保てるだろうか…。
我愛羅が家族に攻撃しないとは言い切れない。危険性はかなり高い。
我愛羅と家族を引き離すことも考えたが、尚はそれだけは駄目だと、頑として聞き入れなかった。
だったら、自分が出来ることは一つ。何としてでも術を解く方法を探し出す!
あの弟夫婦の幸せを、笑顔を、もう一度取り戻す為に…。
我愛羅の異変は、一部の者にのみ知らされ、里の住人達には伏せられた。
しかし、今の我愛羅が暴走しないとも言い切れない状況を危惧した上層部は、
暗部数名に警戒態勢をとらせ、我愛羅の暴走に備えた。
だが、意外にも我愛羅の精神は安定していた。言動こそ荒れているが、
砂で理不尽に誰かを傷つける事も無く、静かに家にいる。
それは、尚と子供達の影響が大きいと考えられた。
今も我愛羅は変わらず、家族と共に暮らしている。何をするでも無く、窓辺に座って外を眺めるだけだが、
最近になってある変化があった。
それはある日の夜の、守鶴との会話がきっかけだった。
「おう我愛羅よぉ、お前本当に尚の事を忘れたんだな」
精神の中の世界で、我愛羅は忌々し気に守鶴を睨み上げる。
「フン…砂の化け物が、知った風な事を言うな」
「ケッ…あんなに四六時中、『尚はオレの全てだ』だの、
尚がいなければ今のオレはいない』だの言ってたくせによ。
忘れりゃあ、あっけねぇモンだなぁ。ま、お前のアイツへの『愛』だの『想い』だのは
結局その程度だったってことだな!ざまぁねぇぜ!」
そう鼻で笑う守鶴に、我愛羅は眉をひそめる。
「そんな事をオレが言うか。貴様のくだらん妄想にオレを巻き込むな。誰があんな妙な女など…」
我愛羅の言葉に、守鶴が吹き出す。
「妙な女か…確かになぁ!アイツ、オレ様に初めに会った時に何て言ったと思う?
『可愛い』なんてほざきやがったんだぜ?笑っちまうよなぁ!」
「………」
「……けどなぁ、初めてだったんだよ。オレ様にそんな口利いてくる奴も、
『友達になろう』なんて言って来た奴も…」
「友、だと?貴様とか?」
意外な話に、我愛羅が聞き返すと守鶴は昔に想いを馳せた。
「ああ、お前と結婚する女だけあるよな。マジで言って来やがって…能天気にへらへらして、
なんも考えてない馬鹿かと思ったら、そうでもなくてよ、アイツで二人目だ…
オレ様の『孤独』に気付いて、対等に接して来た人間は…」
(孤独…)
「なぁ我愛羅よぉ、お前本当に今の自分に違和感無ぇのか?何かが違うって感じないのか?」
「!」
守鶴の言葉に、内心ぎくりとした。ここ数日、正直違和感を感じていたからだ。
何かが違うと思うのに、何が違うのか分からなくて、ただただ苛立つ日々。
苛立つのに、何故かいつもの様に気晴らしに誰かを襲う気にもなれない。
何故か心がざわつくと、尚を探してしまう…。
尚を視界に入れると、不思議と苛立ちが引いて、心が落ち着く。
ずっと遠い昔に、同じ様な気持ちを感じた気がするが、頭に靄が掛かったように思い出せない。
すっかり昔の残忍さが戻った弟に、どうしたもんかと頭を抱えるが、
もう一つの心配事は、尚だ。
一見いつもと変わらなく見える。笑顔で家事をこなして、守羅と愛花と遊んだりして…。
だが、無理をして笑っているのは分かる。
我愛羅と距離が出来るのはどうしようもないが、
明らかに尚自身、正直なところはすぐにでも泣き崩れたいだろうに。
涙も見せず、弱音も一切口にしない尚を、カンクロウは見ていられなかった…。
泣けば良いのに笑って、誰よりも愛している旦那が別人同然になっても、それでも我愛羅を愛し、
我愛羅と添い遂げる覚悟を決めた尚に、言葉が出なかった。
女は、母親は、そこまで強くなれるものなのだろうか…?それとも尚、だからなのか…。
心から想い、盲目的に尚を愛していた我愛羅はもう、何処にもいない。
我愛羅の心に、もう尚も、子供達もいないのに、それでも愛し続けると言った
尚の心は、どれほど悲しく、辛いだろうか…。
愛した人が戻らない不安と恐怖の中で、尚はいつまで精神を保てるだろうか…。
我愛羅が家族に攻撃しないとは言い切れない。危険性はかなり高い。
我愛羅と家族を引き離すことも考えたが、尚はそれだけは駄目だと、頑として聞き入れなかった。
だったら、自分が出来ることは一つ。何としてでも術を解く方法を探し出す!
あの弟夫婦の幸せを、笑顔を、もう一度取り戻す為に…。
我愛羅の異変は、一部の者にのみ知らされ、里の住人達には伏せられた。
しかし、今の我愛羅が暴走しないとも言い切れない状況を危惧した上層部は、
暗部数名に警戒態勢をとらせ、我愛羅の暴走に備えた。
だが、意外にも我愛羅の精神は安定していた。言動こそ荒れているが、
砂で理不尽に誰かを傷つける事も無く、静かに家にいる。
それは、尚と子供達の影響が大きいと考えられた。
今も我愛羅は変わらず、家族と共に暮らしている。何をするでも無く、窓辺に座って外を眺めるだけだが、
最近になってある変化があった。
それはある日の夜の、守鶴との会話がきっかけだった。
「おう我愛羅よぉ、お前本当に尚の事を忘れたんだな」
精神の中の世界で、我愛羅は忌々し気に守鶴を睨み上げる。
「フン…砂の化け物が、知った風な事を言うな」
「ケッ…あんなに四六時中、『尚はオレの全てだ』だの、
尚がいなければ今のオレはいない』だの言ってたくせによ。
忘れりゃあ、あっけねぇモンだなぁ。ま、お前のアイツへの『愛』だの『想い』だのは
結局その程度だったってことだな!ざまぁねぇぜ!」
そう鼻で笑う守鶴に、我愛羅は眉をひそめる。
「そんな事をオレが言うか。貴様のくだらん妄想にオレを巻き込むな。誰があんな妙な女など…」
我愛羅の言葉に、守鶴が吹き出す。
「妙な女か…確かになぁ!アイツ、オレ様に初めに会った時に何て言ったと思う?
『可愛い』なんてほざきやがったんだぜ?笑っちまうよなぁ!」
「………」
「……けどなぁ、初めてだったんだよ。オレ様にそんな口利いてくる奴も、
『友達になろう』なんて言って来た奴も…」
「友、だと?貴様とか?」
意外な話に、我愛羅が聞き返すと守鶴は昔に想いを馳せた。
「ああ、お前と結婚する女だけあるよな。マジで言って来やがって…能天気にへらへらして、
なんも考えてない馬鹿かと思ったら、そうでもなくてよ、アイツで二人目だ…
オレ様の『孤独』に気付いて、対等に接して来た人間は…」
(孤独…)
「なぁ我愛羅よぉ、お前本当に今の自分に違和感無ぇのか?何かが違うって感じないのか?」
「!」
守鶴の言葉に、内心ぎくりとした。ここ数日、正直違和感を感じていたからだ。
何かが違うと思うのに、何が違うのか分からなくて、ただただ苛立つ日々。
苛立つのに、何故かいつもの様に気晴らしに誰かを襲う気にもなれない。
何故か心がざわつくと、尚を探してしまう…。
尚を視界に入れると、不思議と苛立ちが引いて、心が落ち着く。
ずっと遠い昔に、同じ様な気持ちを感じた気がするが、頭に靄が掛かったように思い出せない。