貴方の隣に在る為に…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうしたんですか?改まって…」
「ヒナタちゃん、私に体術を教えて」
「ええ!?体術、ですかっ?」
突然の申し出に、ヒナタは驚いた。
火影、ナルトの妻であるヒナタは、尚と仲の良い、所謂『ママ友』である。
木の葉で『最強』と謳われる日向の血統であるヒナタに、体術指南を頼みこんだのだ。
「で、でも…どうして急に体術を?」
戸惑いながらも真意を問うヒナタに、尚は正直に思いを語った。
「私、今まで危なくなったらいつも、我愛羅に頼って来た。
我愛羅が助けてくれるのを待ってた…けど、それじゃダメだって、思って」
「………」
切なげに、それでも確かな強い思いを感じ、ヒナタは静かに聞いている。
「いつまでも、我愛羅の背中に守られているんじゃ子供と変わらない。私は強くなりたい!
我愛羅の大切なものを、一緒に守れる様に…我愛羅が家を、里を空けても、
安心して帰って来れる様に…我愛羅と、並んで立つ為に…!」
「!」
尚の言葉に、ヒナタはかつての自分の影を見た。
ナルトの背中を追い続けた日々を。強くなることを決意した日を。
愛する人と、肩を並べる強さを求めた日を…。
(そうか…尚さんも今、大切な人に追い付こうとしてるんだ)
固い意思を、覚悟を感じたヒナタは、申し出を受ける事にした。
「分かりました。一緒に頑張りましょう!」
「お願いします!」
こうして、ヒナタの体術指南が始まった。
――バシッ パシッ! ドッ!
「もっと速く!強く踏み込んで!」
「っはい!」
バシッ ビシッ!
特訓を始めて数か月。初めは全く動けなかったが、今ではなかなか板について来ていた。
尚に応戦しながら、ヒナタは内心驚いていた。
(凄い、尚さん…この短期間でここまで成長するなんて。
もともと物事の飲み込みが速い人なんだわ…もう下忍のレベルを越えつつある…)
拳が交わる乾いた音が響く中、ヒナタは頬を緩めた。
日向家の『柔拳』とよく似た構えではあるが、白眼を持たない尚の為にと、ヒナタが考案した独自の構え。
我愛羅から貰った小刀を用いた戦闘方法も、尚は既にモノにしている。
ヒナタの分身数体との模擬戦闘もこなし、確実にスキルを上げていく尚を、心から尊敬した。
体中を傷だらけにしながらも、愛する人の為に懸命に努力する姿は美しかった。
「はぁ、はぁ…休憩にしましょう」
「っは、はぁ…ええ」
構えを解いて、体を休める。
二人は並んで腰を下ろした。
「凄いですよ尚さん!こんなに上達するなんて!」
「ありがとう、ヒナタちゃんの教え方が良いからだよ」
「いえ そんな…尚さんの努力の成果ですよ!
この調子でいけば、その内 中忍や上忍の忍にも劣らない実力になりますよ!」
「あははっ褒めすぎだよヒナタちゃん」
「嘘じゃないです!相手をしている私が言うんですから間違いないですよ!」
「ふふふっありがとう」
家族には内緒で特訓している二人。お互いの里に行き来しながら、
あるいは自主トレしてきた成果が、着実に実を結ぼうとしていた。