我愛羅、17歳。

ナルトと出会いを経て、我愛羅は自分の周囲を呪い、

壊すばかりでは何も変える事が出来ないと知った。

独り、孤独な道に逃げ…周りとの繋がりを断ち切っていては、

自分はまた大きな孤独と苦痛に襲われる。

諦めず、逃げずに自ら切り拓いて行く以外に孤独から解放される術はないと学び、

我愛羅はナルトのように仲間に慕われるように、誰かに必要とされる存在になりたいと、

自ら険しい道を選んだ。

自分を疎んでいる上役達ばかりの部隊へ入り、

努力に努力を重ね、自分を変え、周囲の視線も徐々に変わって行った…。

『兵器』としてではなく、里と人を守る。

『風影』を志してひたすらに努力し続けた。

そして五年の月日を経て、ついにその時が来た。

我愛羅が五代目風影を襲名（しゅうめい）する日が…。

「っ我愛羅！良かったな！ほんとにっ…」

「おめでとう、我愛羅」

感動のあまり涙を零す兄、カンクロウと我愛羅の風影となった姿に、

優しく微笑む姉、テマリ。

「ああ、ありがとう。皆（みな）のおかげだ…」

「なに言ってんだ！我愛羅が頑張ったから、里の皆も認めてくれたんだ。胸を張れ！」

ニッと笑うテマリに、我愛羅は微笑む。

昔、あんなにも不仲だった姉弟も、今では嘘のように仲が良い。

今となっては我愛羅にとって二人は自分の良き理解者だ。

無事に就任式も終えて、側近となったバキに我愛羅が視線を向ける。

「さっそくなんだが…」

「はっ！何なりとお申し付け下さい」

バキが頭を下げる。

「腕利きの暗部を数名、ここに召集してくれ」

「暗部を…？理由を伺っても…？」

怪訝な顔をするバキに、我愛羅は微かに瞳を伏せる。

「ある者を、探してほしい…」

『！』

我愛羅の言葉に、テマリとカンクロウが目を見開いた。