「こいつもチャクラが尽きたんだろう…」

サクラが解放されたことで気が抜けたのか、ナルトはそのまま意識を手放した…。

「そ、そうか…っ」

我愛羅の前にテマリとカンクロウが降り立ち、サスケたちを見据える。

「もういい…やめだ」

「我愛羅…」

疲弊しきった我愛羅の姿に、テマリとカンクロウは驚いた。

（こんなに弱り切った我愛羅は、初めて見るじゃん…）

「…分かったよ」

カンクロウが我愛羅に肩を貸し、三人は去って行った。

木の枝から枝へ飛び移りながら、我愛羅にある想いが芽生えていた。

（うずまきナルトか…いつか、オレにも…）

ナルトに出会って、自分の中の何かが変わり始めたような気がした。

そして我愛羅は、普段決して言わない言葉を口にする。

「テマリ、カンクロウ…」

『ん？』

「すまない…」

「え…？」

「……！？」

思わずテマリと顔を見合わせたカンクロウが、驚き、戸惑いながら。

「べ、別にいいって…」

と、ぶっきらぼうに返す。

我愛羅は頬を撫でる風を感じながら、ナルトに対する憧れの感情と、

もう一つの自分の中にあった想いに気付く。

（尚、オレとお前の縁は…まだ繋がっているだろうか…。
もしもまだ間に合うのなら、オレは…もう一度、お前に会いたい）

話したい事はたくさんある。だが、まずは自分の間違いを正していかなければいけないと、我愛羅は思った。

その間違いを正し、自分が本当の意味で強くなった時、尚にも巡り会えると感じた。

（ああ…今無性に、尚に会いたい…）

心の中の尚が、いつもより一層、優しい笑顔を浮かべていた…。