狂花の呪縛 前篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何が『愛してる』だ!それじゃペットと同じだろうが!」
「なんとでも?愛の形は一つじゃない。俺には俺の愛し方があるんだ」
吠えるカンクロウを、男が鼻で笑う。
「尚は渡さん…!」
ゴアアァッと大量の砂が男に襲い掛かるが、砂は男を捕えることなくすり抜けた。
「何!?」
「ククク…無駄だよ」
目を見開く我愛羅達を尻目に、男は再び手をかざすと
花の模様が輝いて我愛羅達の体が吹き飛び、壁にめり込む。
「ぐっ…!!」
「ああっ!!」
「がはっ…!!」
まるで分厚い空気の壁を押し付けられているような圧迫感に、
三人は身動きが取れない。
「があ、ら…!みんなっ…」
激痛に襲われながら、尚が三人に視線を向けると、
その側に男が降り立った。
「俺というものがいるのに、他の男に現を抜かすのはいけないなぁ…」
「っ!!」
氷のような冷たい声と視線に、縫い付けられたように固まる尚の頭上で、
男が手をかざすと、今まで以上に強く、花が光り、
その花の模様が尚の首輪に現れ、首輪が締まり出す。
「かはっ…!ぐっあああ!」
ぎりぎりと首を絞められながら、尚の体が宙に浮き、
男の手に吸い寄せられる。
首輪を掴んで、身を捩る尚を引き寄せる。
「全く…世話の焼ける奥さんだな」
「孔明(こうめい)っ…!」
顔を近付ける男、孔明を苦悶の表情で睨み付けるが、孔明はそれにただ微笑む。
「さぁ、帰ろう。帰ったら結婚式を挙げようね…」
「う…あ、あぁ…っ」
酸欠で朦朧とする意識の中で、
尚は孔明の向こうで、壁に押し付けられる我愛羅に視線を向ける。
(我愛羅…っ)
滲む涙で我愛羅の姿が霞む…。
「尚っ…!」
何とか腕を伸ばそうとするが、孔明の放った空気の壁がそれを許さない。
「じゃあ、お邪魔したね。我々はこれでおいとまするよ。さようなら」
すうぅ…っと蜃気楼のように、二人は闇の中へ消えていった…。
「尚―――ッ!!」
我愛羅の叫びが、空しく部屋に響いた…。