貴方の幸せが、私の幸せ…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
チヨバアは、ナルトと我愛羅の顔を見て頬を綻ばせた。
脳裏にカカシの言葉がよぎる。
『ナルトには、不思議な力があるんですよ。
交わす言葉は少なくても、アイツは誰とでも、すぐに友達になってしまうんです』
砂も木の葉も関係なく、純粋に友を、人を思う事が出来るナルトと我愛羅。
「…くだらぬ年寄り共がつくった、この忍の世界に、
お前達のような者が現れてくれて嬉しい」
『…?』
突然チヨバアが語り出したので、ナルトも我愛羅もきょとんとチヨバアを見詰める。
「かつてワシのしてきた事は間違いばかりじゃった…
しかし、最後になって正しいことがやっと出来そうじゃ」
チヨバアが、二人の顔を交互に見る。
「砂と、木の葉…これからの未来は、ワシらの時とは違ったものになろう…
カカシの言っていたお前の不思議な力、その力が未来を大きく変えるじゃろう。
今までにない『火影』になってな…」
「………」
「そして我愛羅」
「!」
「我愛羅よ、尚が愛しいか?」
チヨバアに、我愛羅は深く頷く。
「そうか…なら大切にすることじゃ、
これほどお前を想い、深く愛してくれる女は、何処にもおらんぞ?」
「分かっている…」
「最愛の相手を定めたなら、男は脇見をせずに、
その一人を愛し続けるもんじゃ…生涯、命を掛けてな」
「ああ…」
チヨバアの言葉を噛み締める我愛羅。
「ナルトよ、ババアからの願いじゃ…」
「!」
「お前は我愛羅の痛みを知ってやる事が出来る数少ない存在じゃ…
我愛羅もお前の痛みを知っておる…我愛羅を、助けてやってくれ…」
「…おう、分かったてばよ!」
我愛羅は、ふっとナルトと顔を見合わせて笑い合う。
この二人の絆がやがて大きな輪となって、
忍の世界をより良いものにするだろうと、チヨバアは確信した…。
可能性を秘めた、若い世代に…。
尚は白の空間を彷徨っていた。
「はぁぁ、言っちゃった…我愛羅困ってるだろうなぁ…」
消える間際に想いを告げた尚は、苦笑した。
「さて、どうしようかな…」
白だけの世界で、とりあえず歩いていると前に人影が見えて立ち止まる。
それはあまりに懐かしい人だった…。
「大きくなったわね、尚ちゃん…」
「せん、せい…? 先生!」
幼い頃に亡くなった恩師に、駆け寄って抱き付く。
「先生っ先生!」
「あらあら、甘えん坊な所は変わってないのねぇ」
そう言って優しく頭を撫でてくれる先生に、
尚は腕に力を込めて、頬を摺り寄せる。
落ち着いてから、先生は切り出した。
「良かったの?彼を置いて来て…」
「…はい。悪いとは思いますけど、
私はどうしても我愛羅に生きて欲しかったから。
それにもう我愛羅には姉弟も、友達も、仲間だっていますから、
大丈夫ですよ」
「それはどうかしらねぇ…」
「え?」
意味深に苦笑する先生に、尚は怪訝に首を傾げた。
すると、先生は後ろをじっと見ていた。
尚が振り向くと、幼い我愛羅がうずくまって泣いていた。
「我愛羅?」
「どうやら、彼には貴女が必要みたいね?」
「でも、私…」
「行ってあげなさい。貴女も、ここへ来るには早過ぎたのよ…」
背中を押されて、尚は我愛羅の側へ駆け寄った。
「うぅっひぐ…うっ…!」
「我愛羅、どうしたの?」
幼い我愛羅前に屈むと、我愛羅は心臓の辺りに手を当てた。
「い、痛いんだ…ここが、すごく痛い…!」
そう言って泣き出す我愛羅に、尚は我愛羅の、少し離れたところに
ナルト達がいるのに気付いた。
「…我愛羅、それはあっちに行けば、皆の所に行けば治るよ。
行っておいで?」
尚が背中を擦って促すが、我愛羅は首を振って動こうとしない。
「だめなんだ…」
「え?」
「ダメなんだ…」
「!」
幼かった我愛羅が、少し成長した少年に姿を変えた。
尚が知らない頃の我愛羅だ。
「姉弟との絆を取り戻しても、友に出会っても、仲間に慕われても…
この心の傷は治らない。尚がいなくては…」
「尚がいなくては駄目なんだ…尚でなくては治せないんだ…」
「…我愛羅」
少年の我愛羅が、今度は青年の姿になった。
尚が唖然としていると、我愛羅は尚を抱き締める。
「言い逃げして消えるなんて、随分だな…」
「え?あ…だって」
「それにお前は勘違いをしている」
「な、何を?」
「オレがいつ、お前を母様の代わりだと言った?」
「それは…」
「昔は母様がいればこんな感じかとは思ったが、
母様の代わりにしようなどと思ったことはない」
我愛羅の腕の中で、尚は少しむっとした。
「じゃあ、私の事…何だと思ってたの?」
「たった一人の、愛する女性(ひと)…」
「え…!?」
「尚、もう離さない…」
――愛してる…。
その言葉と同時に、突然白の世界が光り出した。
あまりの眩しさに尚は瞳を閉じる。
「ん、んん…?」
ふと、唇に柔らかい感触があってそろっと瞼を開くと、
視界一面に我愛羅の顔があった。
「!?」
ちゅっ…と可愛らしいリップ音と共に、我愛羅の顔が離れていく。
「え、え?」
気が付くと、草原に戻っていて、周りには木の葉と砂の忍達が、自分達を囲んでいた。
…目を見開いて言葉を失っている者や、赤面している者、うっとりとしている者と、
様々な表情が並んでいる。
あまりのことに尚は絶句していたが、はっと我に返って辺りを見渡す。
「私、死んだんじゃ…?」
「チヨバア様だ…」
「え?」
「チヨバア様が、禁術を使ってお前を生き返らせてくれた」
我愛羅の言葉に、尚は側でサクラに抱かれたチヨバアを見詰めた。
「なん、で…チヨバア様っどうして私を!」
尚がチヨバアの手を握ると、サクラが静かに言った。
「チヨバア様は、我愛羅君には貴女が必要だと…だからっ」
「………」
安らかに、若い世代にこれからの忍の世界の希望を託して、チヨバアは逝った…。
くのいちとして、最高の最期だった…。
「皆、チヨバア様に、祈りを…」
我愛羅の言葉に、全員がチヨバアに黙とうを捧げる。
(チヨバア様、ありがとうございます。
貴女から頂いた命、大切にします…)
尚は深く深く、チヨバアに頭を下げた。
そして風影、我愛羅はナルト達と共に砂の里へと帰還した。
里中の誰もが我愛羅の帰りを喜んだ。
数日後、チヨバアの葬儀が行われた。
ナルト達はすぐに木の葉へ帰らなければならないらしく、
我愛羅達は見送りに出た。
分かれの握手を照れるナルトに、
我愛羅はそっと砂でナルトの手を取って自分の手へ誘導する。
照れ笑いしながら、ナルトは我愛羅としっかりと握手を交わし、
帰路についた。
「道中気を付けて」
「ああ、尚の姉ちゃん、元気でな!」
「ナルト君もね」
「今度は木の葉に遊びに来てくれよな!」
「ええ、いつか行かせてもらうよ」
笑顔で分かれて、我愛羅と尚はナルト達の背中が見えなくなるまで見送った…。
脳裏にカカシの言葉がよぎる。
『ナルトには、不思議な力があるんですよ。
交わす言葉は少なくても、アイツは誰とでも、すぐに友達になってしまうんです』
砂も木の葉も関係なく、純粋に友を、人を思う事が出来るナルトと我愛羅。
「…くだらぬ年寄り共がつくった、この忍の世界に、
お前達のような者が現れてくれて嬉しい」
『…?』
突然チヨバアが語り出したので、ナルトも我愛羅もきょとんとチヨバアを見詰める。
「かつてワシのしてきた事は間違いばかりじゃった…
しかし、最後になって正しいことがやっと出来そうじゃ」
チヨバアが、二人の顔を交互に見る。
「砂と、木の葉…これからの未来は、ワシらの時とは違ったものになろう…
カカシの言っていたお前の不思議な力、その力が未来を大きく変えるじゃろう。
今までにない『火影』になってな…」
「………」
「そして我愛羅」
「!」
「我愛羅よ、尚が愛しいか?」
チヨバアに、我愛羅は深く頷く。
「そうか…なら大切にすることじゃ、
これほどお前を想い、深く愛してくれる女は、何処にもおらんぞ?」
「分かっている…」
「最愛の相手を定めたなら、男は脇見をせずに、
その一人を愛し続けるもんじゃ…生涯、命を掛けてな」
「ああ…」
チヨバアの言葉を噛み締める我愛羅。
「ナルトよ、ババアからの願いじゃ…」
「!」
「お前は我愛羅の痛みを知ってやる事が出来る数少ない存在じゃ…
我愛羅もお前の痛みを知っておる…我愛羅を、助けてやってくれ…」
「…おう、分かったてばよ!」
我愛羅は、ふっとナルトと顔を見合わせて笑い合う。
この二人の絆がやがて大きな輪となって、
忍の世界をより良いものにするだろうと、チヨバアは確信した…。
可能性を秘めた、若い世代に…。
尚は白の空間を彷徨っていた。
「はぁぁ、言っちゃった…我愛羅困ってるだろうなぁ…」
消える間際に想いを告げた尚は、苦笑した。
「さて、どうしようかな…」
白だけの世界で、とりあえず歩いていると前に人影が見えて立ち止まる。
それはあまりに懐かしい人だった…。
「大きくなったわね、尚ちゃん…」
「せん、せい…? 先生!」
幼い頃に亡くなった恩師に、駆け寄って抱き付く。
「先生っ先生!」
「あらあら、甘えん坊な所は変わってないのねぇ」
そう言って優しく頭を撫でてくれる先生に、
尚は腕に力を込めて、頬を摺り寄せる。
落ち着いてから、先生は切り出した。
「良かったの?彼を置いて来て…」
「…はい。悪いとは思いますけど、
私はどうしても我愛羅に生きて欲しかったから。
それにもう我愛羅には姉弟も、友達も、仲間だっていますから、
大丈夫ですよ」
「それはどうかしらねぇ…」
「え?」
意味深に苦笑する先生に、尚は怪訝に首を傾げた。
すると、先生は後ろをじっと見ていた。
尚が振り向くと、幼い我愛羅がうずくまって泣いていた。
「我愛羅?」
「どうやら、彼には貴女が必要みたいね?」
「でも、私…」
「行ってあげなさい。貴女も、ここへ来るには早過ぎたのよ…」
背中を押されて、尚は我愛羅の側へ駆け寄った。
「うぅっひぐ…うっ…!」
「我愛羅、どうしたの?」
幼い我愛羅前に屈むと、我愛羅は心臓の辺りに手を当てた。
「い、痛いんだ…ここが、すごく痛い…!」
そう言って泣き出す我愛羅に、尚は我愛羅の、少し離れたところに
ナルト達がいるのに気付いた。
「…我愛羅、それはあっちに行けば、皆の所に行けば治るよ。
行っておいで?」
尚が背中を擦って促すが、我愛羅は首を振って動こうとしない。
「だめなんだ…」
「え?」
「ダメなんだ…」
「!」
幼かった我愛羅が、少し成長した少年に姿を変えた。
尚が知らない頃の我愛羅だ。
「姉弟との絆を取り戻しても、友に出会っても、仲間に慕われても…
この心の傷は治らない。尚がいなくては…」
「尚がいなくては駄目なんだ…尚でなくては治せないんだ…」
「…我愛羅」
少年の我愛羅が、今度は青年の姿になった。
尚が唖然としていると、我愛羅は尚を抱き締める。
「言い逃げして消えるなんて、随分だな…」
「え?あ…だって」
「それにお前は勘違いをしている」
「な、何を?」
「オレがいつ、お前を母様の代わりだと言った?」
「それは…」
「昔は母様がいればこんな感じかとは思ったが、
母様の代わりにしようなどと思ったことはない」
我愛羅の腕の中で、尚は少しむっとした。
「じゃあ、私の事…何だと思ってたの?」
「たった一人の、愛する女性(ひと)…」
「え…!?」
「尚、もう離さない…」
――愛してる…。
その言葉と同時に、突然白の世界が光り出した。
あまりの眩しさに尚は瞳を閉じる。
「ん、んん…?」
ふと、唇に柔らかい感触があってそろっと瞼を開くと、
視界一面に我愛羅の顔があった。
「!?」
ちゅっ…と可愛らしいリップ音と共に、我愛羅の顔が離れていく。
「え、え?」
気が付くと、草原に戻っていて、周りには木の葉と砂の忍達が、自分達を囲んでいた。
…目を見開いて言葉を失っている者や、赤面している者、うっとりとしている者と、
様々な表情が並んでいる。
あまりのことに尚は絶句していたが、はっと我に返って辺りを見渡す。
「私、死んだんじゃ…?」
「チヨバア様だ…」
「え?」
「チヨバア様が、禁術を使ってお前を生き返らせてくれた」
我愛羅の言葉に、尚は側でサクラに抱かれたチヨバアを見詰めた。
「なん、で…チヨバア様っどうして私を!」
尚がチヨバアの手を握ると、サクラが静かに言った。
「チヨバア様は、我愛羅君には貴女が必要だと…だからっ」
「………」
安らかに、若い世代にこれからの忍の世界の希望を託して、チヨバアは逝った…。
くのいちとして、最高の最期だった…。
「皆、チヨバア様に、祈りを…」
我愛羅の言葉に、全員がチヨバアに黙とうを捧げる。
(チヨバア様、ありがとうございます。
貴女から頂いた命、大切にします…)
尚は深く深く、チヨバアに頭を下げた。
そして風影、我愛羅はナルト達と共に砂の里へと帰還した。
里中の誰もが我愛羅の帰りを喜んだ。
数日後、チヨバアの葬儀が行われた。
ナルト達はすぐに木の葉へ帰らなければならないらしく、
我愛羅達は見送りに出た。
分かれの握手を照れるナルトに、
我愛羅はそっと砂でナルトの手を取って自分の手へ誘導する。
照れ笑いしながら、ナルトは我愛羅としっかりと握手を交わし、
帰路についた。
「道中気を付けて」
「ああ、尚の姉ちゃん、元気でな!」
「ナルト君もね」
「今度は木の葉に遊びに来てくれよな!」
「ええ、いつか行かせてもらうよ」
笑顔で分かれて、我愛羅と尚はナルト達の背中が見えなくなるまで見送った…。