貴方の幸せが、私の幸せ…
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我愛羅SIDE
何もない。誰もいない。ただの白の空間を漂いながら
オレは『我愛羅とは何か』ずっと考えていた…。
誰かに必要とされたがっていた。そのために努力して来た。
…だが、何故それを望んだのか。
何故、それを望む存在だったのか…分からない。
『我愛羅』とは、何だ?
ふと、目の前に手が現れた。
どうせまた、オレの手なんだろうと思ったが、何かが違う。
(オレの手は、指は、こんなに細くない…なら、この手は誰だ?)
「我愛羅」
顔を上げると、尚が手を差し出していた。
ああ、尚の手だったのか…。
「こんな所にいたんだね。帰ろう?」
微笑む尚に、オレは首を傾げた。
「帰る?何処へ…?」
そう言うと、尚がすっと、オレの後ろを指した。
すると、尚の指した先から声が聞こえた。
「我愛羅――!!」
あれは、ナルトの声…。
「あっちが、我愛羅の行くべき道だよ」
声に誘われるように、フラフラと歩き出して足を止める。
「尚も一緒に…、!」
帰ろう。そう言おうと振り向くと、尚の体が少しずつ
砂塵になって消え掛けていて、慌てて近付くと、尚は苦笑した。
「ごめんね我愛羅、私が行くべき道は別にあるの…」
「尚?」
さらさらと、尚が消えて行く…。
不安に駆られてオレが触れようとすると、尚がオレの手を握った。
「我愛羅、貴方はもう独りぼっちじゃない。
姉弟も友達も仲間も、これからは皆が我愛羅の側にいてくれる。
だから、もうお母さん代わりは要らないよね?」
「尚…?」
尚の微笑みに、ザワッと心が騒ぎ出した。嫌な予感がする…。
このままではダメだと直感したが、体が金縛りにあったように動けない。
声が、喉の奥に詰まったように出て来ない。焦りと恐怖だけが膨らんでいく。
「私、我愛羅に会えて良かった…。
辛いことも多かったけど、我愛羅と一緒にいられて、すごく楽しかった。
幸せだった…」
やめろっそれ以上は…。
何故だか分からないが、尚から言葉が紡がれる度に、
尚が離れていくようで、オレは強く尚の手を握る。
「尚、止せ…もう何も言うなっ」
尚は寂し気に微笑んで、首を振る。
「私に幸せをくれた貴方を、死なせたくない…だから生きて?」
――私の分まで…。
「ッ尚!」
我愛羅の声と同時に、尚の体が一気に砂塵に変わって、
みるみるうちに風に攫われていく…。
「我愛羅、愛してる。貴方だけを…ずっと」
「!?」
「ずっと、愛してる。だからどうか…幸せになってね、さようなら…」
握っていた尚の手が、さらりと砂になってオレの手をすり抜ける。
消える間際、尚は涙を零して笑っていた。
その涙は石になることなく消えた。
「待てッ尚! オレはっオレはお前を…!」
腕を伸ばすオレの肩に、誰かの手が置かれた。振り返ると…。
「我愛羅!」
「ナ、ルト…?」
辺りを見渡すと、そこにはナルトや木の葉の忍、
そして砂の忍達が、我愛羅の周りに集っていた。
「これは…」
「お前を助けるために、皆走ってたんだってばよ!」
我愛羅が放心していると、マツリが駆け寄って来た。
「我愛羅様!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ…」
呆気にとられたまま頷くと、マツリと砂の忍達から歓喜の声が上がった。
「………」
「世話かけやがって…」
目覚めた我愛羅に、ナルトが言うとカンクロウが笑った。
「全くだ、心配かけやがる弟じゃんよ」
そんな二人にテマリが鼻で笑う。
「何だお前ら!我愛羅は風影なんだぞ!…はっ生意気な口利いてんな下っ端共!」
『………』
実際、下っ端なのでぐうの音も出ないナルトとカンクロウ。
ナルトを押し退けて、テマリが我愛羅の顔を覗き込む。
「我愛羅、気分はどうだ?」
「…尚は?」
「!」
我愛羅が尚の名を出した途端、テマリの表情が曇った。
そして、テマリが視線を向けた方を見ると、
少し離れた場所でチヨバアの腕に抱かれているのを見付けた。
何もない。誰もいない。ただの白の空間を漂いながら
オレは『我愛羅とは何か』ずっと考えていた…。
誰かに必要とされたがっていた。そのために努力して来た。
…だが、何故それを望んだのか。
何故、それを望む存在だったのか…分からない。
『我愛羅』とは、何だ?
ふと、目の前に手が現れた。
どうせまた、オレの手なんだろうと思ったが、何かが違う。
(オレの手は、指は、こんなに細くない…なら、この手は誰だ?)
「我愛羅」
顔を上げると、尚が手を差し出していた。
ああ、尚の手だったのか…。
「こんな所にいたんだね。帰ろう?」
微笑む尚に、オレは首を傾げた。
「帰る?何処へ…?」
そう言うと、尚がすっと、オレの後ろを指した。
すると、尚の指した先から声が聞こえた。
「我愛羅――!!」
あれは、ナルトの声…。
「あっちが、我愛羅の行くべき道だよ」
声に誘われるように、フラフラと歩き出して足を止める。
「尚も一緒に…、!」
帰ろう。そう言おうと振り向くと、尚の体が少しずつ
砂塵になって消え掛けていて、慌てて近付くと、尚は苦笑した。
「ごめんね我愛羅、私が行くべき道は別にあるの…」
「尚?」
さらさらと、尚が消えて行く…。
不安に駆られてオレが触れようとすると、尚がオレの手を握った。
「我愛羅、貴方はもう独りぼっちじゃない。
姉弟も友達も仲間も、これからは皆が我愛羅の側にいてくれる。
だから、もうお母さん代わりは要らないよね?」
「尚…?」
尚の微笑みに、ザワッと心が騒ぎ出した。嫌な予感がする…。
このままではダメだと直感したが、体が金縛りにあったように動けない。
声が、喉の奥に詰まったように出て来ない。焦りと恐怖だけが膨らんでいく。
「私、我愛羅に会えて良かった…。
辛いことも多かったけど、我愛羅と一緒にいられて、すごく楽しかった。
幸せだった…」
やめろっそれ以上は…。
何故だか分からないが、尚から言葉が紡がれる度に、
尚が離れていくようで、オレは強く尚の手を握る。
「尚、止せ…もう何も言うなっ」
尚は寂し気に微笑んで、首を振る。
「私に幸せをくれた貴方を、死なせたくない…だから生きて?」
――私の分まで…。
「ッ尚!」
我愛羅の声と同時に、尚の体が一気に砂塵に変わって、
みるみるうちに風に攫われていく…。
「我愛羅、愛してる。貴方だけを…ずっと」
「!?」
「ずっと、愛してる。だからどうか…幸せになってね、さようなら…」
握っていた尚の手が、さらりと砂になってオレの手をすり抜ける。
消える間際、尚は涙を零して笑っていた。
その涙は石になることなく消えた。
「待てッ尚! オレはっオレはお前を…!」
腕を伸ばすオレの肩に、誰かの手が置かれた。振り返ると…。
「我愛羅!」
「ナ、ルト…?」
辺りを見渡すと、そこにはナルトや木の葉の忍、
そして砂の忍達が、我愛羅の周りに集っていた。
「これは…」
「お前を助けるために、皆走ってたんだってばよ!」
我愛羅が放心していると、マツリが駆け寄って来た。
「我愛羅様!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ…」
呆気にとられたまま頷くと、マツリと砂の忍達から歓喜の声が上がった。
「………」
「世話かけやがって…」
目覚めた我愛羅に、ナルトが言うとカンクロウが笑った。
「全くだ、心配かけやがる弟じゃんよ」
そんな二人にテマリが鼻で笑う。
「何だお前ら!我愛羅は風影なんだぞ!…はっ生意気な口利いてんな下っ端共!」
『………』
実際、下っ端なのでぐうの音も出ないナルトとカンクロウ。
ナルトを押し退けて、テマリが我愛羅の顔を覗き込む。
「我愛羅、気分はどうだ?」
「…尚は?」
「!」
我愛羅が尚の名を出した途端、テマリの表情が曇った。
そして、テマリが視線を向けた方を見ると、
少し離れた場所でチヨバアの腕に抱かれているのを見付けた。