「っ尚！やっと、やっと…見つけた！すまない、長い間…辛い思いをさせた」

ぎゅっと力強く抱き締められて、尚は混乱し固まった。

（我愛羅が、大きくなってる…何で？）

結界の中にいた尚はまさか12年もの時が経っている事を知らない。

「が、あら…わた、し」

ふっと脱力していく尚を、我愛羅は受け止める。

恐らく気か抜けたのと、今までの疲労が一気に押し寄せたのだろう。

気を失った尚をそっと抱き上げる。

既に観客たちの捕縛は完了していた。彼らの処罰は後日協議にかけられるだろう。

もちろん、進行の男と、会食に来ていた男も。

「ご苦労…」

『尚！』

テマリとカンクロウが我愛羅に抱かれた尚に駆け寄る。

「尚…こんなに痩せてっ」

「ひでぇじゃん…っ」

痛々しい姿に変わり果てた尚に、表情を曇らせる二人。

「捕えた者達は砂へ収容する。審議は後日だ」

暗部たちに指示を出す我愛羅に、テマリが。

「我愛羅、ここは私達で十分だ」

「だが…」

カンクロウも頷く。

「そうそう、ここは良いから、
お前は砂に乗って早く尚を里の医療班に診せてやれよ」

「…すまない」

少し考えて、我愛羅は二人の言葉に甘えることにした。

本当はすぐにでも里へ向かいたかったが、

現場を放棄できないと思っていたのだが、二人にはお見通しだったようだ。

砂に乗って我愛羅は空を駆けた。大切な人を腕に抱いて…。