待ち焦がれた再会
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「あ、あの…いかがいたしました?」
進行の男が愛想笑いを浮かべて我愛羅を伺う。
我愛羅は腕を組んで男を鋭い眼光で射抜く。
「彼女を放してもらおう」
我愛羅の声が場内に響く。男は数秒固まってから、引きつった笑顔で。
「いえ…その、こちらは商品でございまして…
気に入られたのでしたらお手元の札を挙げて、金額を…ぐええっ!!」
我愛羅の砂が素早く男を拘束し、じわじわと締め付ける。
「オレは『放せ』と言ったんだ」
「ぐっうう!!」
静かに、冷淡に砂を操る我愛羅に、徐々に場内のさわめきが大きくなる。
「風影だ!」
「砂の里の風影が何故こんな場所に!?」
我愛羅の事を知っている者もいるようだった。
それがわかるやいなや、場内が大混乱に陥った。
皆、我愛羅から逃れようとあちこちの出入口へ走り出すが、我愛羅が二階にいるテマリたちに指示を出す。
「逃がすな!」
我愛羅の声と同時に、二人が二階から飛び立った。
「ここからは私達が指示を出す!」
「一人も逃がすんじゃねぇぞ!」
『はっ!!』
客席上空でジャキンッと扇を広げるテマリと、
二体の傀儡、烏と黒蟻を器用に操るカンクロウの声に、場内のいたるところかに潜んでいた砂の暗部が、
ぞくぞくと姿を現し、あっという間に観客たちを捕えて行く。
カンクロウ達に観客たちの捕縛を任せ、我愛羅は気を失っているのか、ぴくりともしない尚へ歩み寄る。
「……っ」
一瞬、尚の頬へ伸ばした両手を、あと少しのところで止めた。
何年も待ち焦がれ、探し求めた女性(ヒト)
いざ目の前にすると、今まで何人も殺めたこの手で、彼女に触れても良いのだろうかと躊躇してしまう。
だが、我愛羅は意を決して痩せ細った痛々しくなった尚の頬を、優しくそっと包み…
項垂れる尚の顔をゆっくりと上げる。
「尚…」
「………」
反応がない。
我愛羅は込み上げてくる涙を堪えて、尚を縛る鎖を千切り、尚の細すぎる体を抱きしめる。
「尚、尚…!目を…開けてくれっ」
「…っ」
我愛羅の声と温もりに、尚の肩がぴくりと動いた。
(あったかい…だれかに、抱きしめられてる?)
「ん…」
「尚?」
うっすらと開かれた瞳を、我愛羅が覗き込むと尚の目が徐々に見開かれる。
(え…?この人、誰かに似て
…赤い髪、翡翠の瞳、それにこの目のクマは…我愛羅!?)
「が…ら、?」
掠れた声で、確かに呼ばれて我愛羅の瞳から堪えきれなかった涙が零れた。
進行の男が愛想笑いを浮かべて我愛羅を伺う。
我愛羅は腕を組んで男を鋭い眼光で射抜く。
「彼女を放してもらおう」
我愛羅の声が場内に響く。男は数秒固まってから、引きつった笑顔で。
「いえ…その、こちらは商品でございまして…
気に入られたのでしたらお手元の札を挙げて、金額を…ぐええっ!!」
我愛羅の砂が素早く男を拘束し、じわじわと締め付ける。
「オレは『放せ』と言ったんだ」
「ぐっうう!!」
静かに、冷淡に砂を操る我愛羅に、徐々に場内のさわめきが大きくなる。
「風影だ!」
「砂の里の風影が何故こんな場所に!?」
我愛羅の事を知っている者もいるようだった。
それがわかるやいなや、場内が大混乱に陥った。
皆、我愛羅から逃れようとあちこちの出入口へ走り出すが、我愛羅が二階にいるテマリたちに指示を出す。
「逃がすな!」
我愛羅の声と同時に、二人が二階から飛び立った。
「ここからは私達が指示を出す!」
「一人も逃がすんじゃねぇぞ!」
『はっ!!』
客席上空でジャキンッと扇を広げるテマリと、
二体の傀儡、烏と黒蟻を器用に操るカンクロウの声に、場内のいたるところかに潜んでいた砂の暗部が、
ぞくぞくと姿を現し、あっという間に観客たちを捕えて行く。
カンクロウ達に観客たちの捕縛を任せ、我愛羅は気を失っているのか、ぴくりともしない尚へ歩み寄る。
「……っ」
一瞬、尚の頬へ伸ばした両手を、あと少しのところで止めた。
何年も待ち焦がれ、探し求めた女性(ヒト)
いざ目の前にすると、今まで何人も殺めたこの手で、彼女に触れても良いのだろうかと躊躇してしまう。
だが、我愛羅は意を決して痩せ細った痛々しくなった尚の頬を、優しくそっと包み…
項垂れる尚の顔をゆっくりと上げる。
「尚…」
「………」
反応がない。
我愛羅は込み上げてくる涙を堪えて、尚を縛る鎖を千切り、尚の細すぎる体を抱きしめる。
「尚、尚…!目を…開けてくれっ」
「…っ」
我愛羅の声と温もりに、尚の肩がぴくりと動いた。
(あったかい…だれかに、抱きしめられてる?)
「ん…」
「尚?」
うっすらと開かれた瞳を、我愛羅が覗き込むと尚の目が徐々に見開かれる。
(え…?この人、誰かに似て
…赤い髪、翡翠の瞳、それにこの目のクマは…我愛羅!?)
「が…ら、?」
掠れた声で、確かに呼ばれて我愛羅の瞳から堪えきれなかった涙が零れた。