「何っ！？尚がオークションに出品されるだと！？」

「テマリ、まだ尚だって決まってねぇじゃんよ」

「分かっている！それで、そのオークションに行くのか我愛羅…」

「ああ、本当かどうか確かめたい。お前達にもオレの護衛として同行してもらうぞ」

「ああ、もちろんだ！」

「任せろって！」

風影邸へ戻った我愛羅が、テマリとカンクロウにオークションへの同行を頼むと、二人は力強く頷いた。

（もしもその女が尚だったら、見つけた事は嬉しいが、手放しで喜べる状況ではないな…）

我愛羅は複雑な心境で、当日を待った。

何せ、オークションに出される品物は、

どれもこれも『特殊な能力を有した人間』なのだ。

奴隷、兵器、落札されればその者達は死ぬまで飼い主の言いなりに地獄を味わうことになる。

人として扱われることなどなく、物として…死ねばすぐに捨てられ、代わりが宛がわれる。

弄ばれるためだけに生かされる。

まさに地獄。

そんなことに尚が陥っているなんて考えたくない。

尚であって欲しいが尚であって欲しくない…。

そうこうしている内に、オークション当日を迎えた。