里長として…父として…
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風影の執務室。
「お話とは何でしょうか?」
「うむ、非常に言い辛いのだが…上役達との協議に置いて、
君には近い内に他里へ移ってもらうことが決まった」
「…そうですか」
驚くかと思った羅砂が、微かに目を見開く。
「驚かんのか?」
「いえ、先日…偶然上役の方々が話しているのを聞いてしまったので…」
「…そうか、無論こちらから、君が移る里の長に不自由のない暮らしが出来る様にと頼んである。
今まで子供達が世話になったせめてもの礼だ」
「お気遣いありがとうございます。ですが…」
「?」
尚の真剣な表情に、羅砂は尚を見据える。
「私は今まで、我愛羅に対する貴方がたの態度がずっと気になっていました」
「…というと?」
「守鶴を宿された人柱力という立場は、我愛羅本人が望んだものではないにも関わらず、
里にいる誰もが、彼を避け、化け物と虐げ、姉兄たちも、父親の貴方まで、我愛羅をきちんと見ていない」
尚の言葉に、羅砂の眉間にシワが寄る。
「心外だな、オレはアイツをしっかりと管理しているが?」
その言葉に、今度は尚の眉間にシワが寄った。
「それは『兵器として』でしょう?私は父親の貴方に言っているんです」
普段温厚な尚の顔に、明らかな怒りが宿っている。
そんな尚を、羅砂は鼻で笑った。
「君は、アイツの…我愛羅の母親にでもなったつもりか?情が移るのは分かるが、勘違いをするな
お前はただの世話係に過ぎん、オレに意見出来る立場かどうか、よく考える事だな」
「だからこそ、血縁でないからこそ、彼の孤独が理解出来ます」
羅砂の眼光に射抜かれても、尚は臆さずに続ける。
「貴方の奥さんは、貴方に最期に言わなかったんですか?」
「何?」
「子供達を、我愛羅を愛し、守ってくれと言わなかったんですかと言っているんですよッ!!」
「っ!?」
バァンッと尚がデスクを叩く。
羅砂の目に、愛する妻 加瑠羅の姿が尚に重なって見えた。
まるで加瑠羅が目の前にいて、自分に本当に怒鳴っている様だ…。
「貴方は、里の長としては誰もが誇る人でしょうが、父親としては最低ですよ!!」
我が子に尾獣を宿し、母を奪い、姉兄たちを遠ざけ、
里の皆からの繋がりをも奪い、自ら我愛羅と向き合うことも、愛することも放棄した。
「親はどうあっても子供より先に死ぬ。
死んでから『ちゃんと愛してあげれば良かった』なんて思っても遅いんですよ!?」
「…っ」
(加瑠羅…っ)
「私がここを出た後、夜叉丸さんにばかりに任せきりにせずに、
きちんと家族で、あの子と向き合って下さい!!」
苦い顔のままの羅砂に、尚は呆れ顔で退室した。
「お話とは何でしょうか?」
「うむ、非常に言い辛いのだが…上役達との協議に置いて、
君には近い内に他里へ移ってもらうことが決まった」
「…そうですか」
驚くかと思った羅砂が、微かに目を見開く。
「驚かんのか?」
「いえ、先日…偶然上役の方々が話しているのを聞いてしまったので…」
「…そうか、無論こちらから、君が移る里の長に不自由のない暮らしが出来る様にと頼んである。
今まで子供達が世話になったせめてもの礼だ」
「お気遣いありがとうございます。ですが…」
「?」
尚の真剣な表情に、羅砂は尚を見据える。
「私は今まで、我愛羅に対する貴方がたの態度がずっと気になっていました」
「…というと?」
「守鶴を宿された人柱力という立場は、我愛羅本人が望んだものではないにも関わらず、
里にいる誰もが、彼を避け、化け物と虐げ、姉兄たちも、父親の貴方まで、我愛羅をきちんと見ていない」
尚の言葉に、羅砂の眉間にシワが寄る。
「心外だな、オレはアイツをしっかりと管理しているが?」
その言葉に、今度は尚の眉間にシワが寄った。
「それは『兵器として』でしょう?私は父親の貴方に言っているんです」
普段温厚な尚の顔に、明らかな怒りが宿っている。
そんな尚を、羅砂は鼻で笑った。
「君は、アイツの…我愛羅の母親にでもなったつもりか?情が移るのは分かるが、勘違いをするな
お前はただの世話係に過ぎん、オレに意見出来る立場かどうか、よく考える事だな」
「だからこそ、血縁でないからこそ、彼の孤独が理解出来ます」
羅砂の眼光に射抜かれても、尚は臆さずに続ける。
「貴方の奥さんは、貴方に最期に言わなかったんですか?」
「何?」
「子供達を、我愛羅を愛し、守ってくれと言わなかったんですかと言っているんですよッ!!」
「っ!?」
バァンッと尚がデスクを叩く。
羅砂の目に、愛する妻 加瑠羅の姿が尚に重なって見えた。
まるで加瑠羅が目の前にいて、自分に本当に怒鳴っている様だ…。
「貴方は、里の長としては誰もが誇る人でしょうが、父親としては最低ですよ!!」
我が子に尾獣を宿し、母を奪い、姉兄たちを遠ざけ、
里の皆からの繋がりをも奪い、自ら我愛羅と向き合うことも、愛することも放棄した。
「親はどうあっても子供より先に死ぬ。
死んでから『ちゃんと愛してあげれば良かった』なんて思っても遅いんですよ!?」
「…っ」
(加瑠羅…っ)
「私がここを出た後、夜叉丸さんにばかりに任せきりにせずに、
きちんと家族で、あの子と向き合って下さい!!」
苦い顔のままの羅砂に、尚は呆れ顔で退室した。