同じ痛みを知っている
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「こ、怖く…ないの?」
「え?何が?」
「ボ、ボクのこと…怖くないの?砂、操ったんだよ?」
我愛羅の言葉に、尚はきょとんっとした後で苦笑した。
「それが怖いなら、私なんて目から石が出るんだよ?…それに、どうして怖いなんて思わないといけないの?」
「だって…!」
「私を助けてくれたのに…?」
「でも…っ」
我愛羅の頭から手を放して、尚は丘を見上げる。
「あんな高さから落ちたら、怪我どころじゃ済まなかった。
我愛羅が助けてくれなかったら、私は死んでたかも知れないんだよ?」
我愛羅の小さな両手を握って、尚は微笑む。
「怖くなんてないよ。こんなに優しい貴方を怖がれって方が無理だよ」
くすくすと笑う尚に、我愛羅はツンっと鼻の奥が痛くなって、段々と視界が歪み出す。
「うっ…ふ、うぅ…ぐすっ!」
ボロボロと大きな翡翠の瞳から零れる涙に、尚は我愛羅が幼い心に溜め込んでいる何かが分かった。
(この子は怖いんだ…誰かに拒絶されることが、昔の私のように…
誰かとの繋がりと、何より『愛情』に飢えてる…)
泣き続ける我愛羅をそっと抱き締めて、背中を擦る。
(先生…私は、少しでもこの子の孤独を癒せるでしょうか。貴女が私にそうしてくれたように…)
かつての恩師を想いながら、尚は我愛羅を抱いて帰路についた。