我愛羅が外にいる頃、尚もお使いを頼まれて外に出ていた。

「頼まれた物はこれで全部かな？　よしっ帰ろう！」

今日はいつもより風が強く、砂も舞っているからとお店の店主が買い物かごに薄い布を掛けてくれた。

「明日返さないとね…」

飛ばされない様に片手で布を押さえる。

砂漠どころか、ほとんど外を知らない尚には、目に写るものすべてが新鮮だった。

「暑いなぁ…わぁっ！？」

照りつける太陽の日差しに目を細めると、一際強い風に、かごの布がさらわれた。

「えぇ！？　ち、ちょっと待って～ッ！！」

（よりにもよって、他人（ひと）から借りたもの無くせないよ～！？）

「はぁ、はぁ…はっ…！」

風に乗って空を舞う白い布を必死に追い掛けて、辿り着いたのは丘の上。

丁度、末端付近に布が落ちていた。

息を整えて慎重に末端へ進んでいく。