16年の孤独
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――カシャン…
暗闇の、湿気の含んだカビ臭い地下牢に微かに響く鎖の揺れる音…。
最奥の牢に、壁に縫い付けられるように枷を嵌められ鎖に繋がれた一人の女性。尚だ。
5歳から21歳までの16年間を、富を生み出す道具として手段を選ばず、
様々な虐待を受け無理矢理に晶泪石を出さされ続けた。
だが、20歳になった時、無泪石以外の晶泪石が出なくなった。
尚がこの国に、国民に、『なんの感情も抱かなくなった』からだ。
『愛』も『絶望』も無く。蓄積された痛みと悲しみに、ただ『無』の石が流れ落ちる…。
そもそも16年生きていたことが奇跡に近い。
月巫女の生命力を治癒力の高さが、尚の命を繋いでいるのだが、尚にとっては有難迷惑な状態だ。
治癒力が高いといっても、傷が完全に癒えるわけでは無く、
時間が経つにつれて薄くなるので立て続けに傷を負っている尚の体は治癒が追い付かなくなっていた。
最低限、死なないために点滴をさされ、体の汚れは頭から水を被されるだけ。
繰り返される王からの虐待に、心身ともに疲弊しきっていた。
そして今、国の金が底をつきはじめ、同時にはじまった近隣諸国との戦争。
軍資金も無い国は、瞬く間に劣勢に追い込まれた。
暗闇の、湿気の含んだカビ臭い地下牢に微かに響く鎖の揺れる音…。
最奥の牢に、壁に縫い付けられるように枷を嵌められ鎖に繋がれた一人の女性。尚だ。
5歳から21歳までの16年間を、富を生み出す道具として手段を選ばず、
様々な虐待を受け無理矢理に晶泪石を出さされ続けた。
だが、20歳になった時、無泪石以外の晶泪石が出なくなった。
尚がこの国に、国民に、『なんの感情も抱かなくなった』からだ。
『愛』も『絶望』も無く。蓄積された痛みと悲しみに、ただ『無』の石が流れ落ちる…。
そもそも16年生きていたことが奇跡に近い。
月巫女の生命力を治癒力の高さが、尚の命を繋いでいるのだが、尚にとっては有難迷惑な状態だ。
治癒力が高いといっても、傷が完全に癒えるわけでは無く、
時間が経つにつれて薄くなるので立て続けに傷を負っている尚の体は治癒が追い付かなくなっていた。
最低限、死なないために点滴をさされ、体の汚れは頭から水を被されるだけ。
繰り返される王からの虐待に、心身ともに疲弊しきっていた。
そして今、国の金が底をつきはじめ、同時にはじまった近隣諸国との戦争。
軍資金も無い国は、瞬く間に劣勢に追い込まれた。