krk長編以外はこの変換で設定できます。
無頼派
ゆめうつつ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
無自覚な恋
こちらの続編ですが、単品でも読めます。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
うちの司書は、あまり身なりを気にしないのかと思っていた。
だって…朝は寝癖がついたままの日もある。
襟が変な方向に折れてる日もある。
化粧だって、いつも目元は薄い茶色のアイシャドウしか使ってないし、口紅も自然なベージュかピンクだ。
色白だし、さらさらしてそうな髪の毛だし、もっとお洒落したらいいんじゃないかなって思ってた。
けど、確かにこの図書館にいると出会いはあまりないよね。
俺たちみたいな文豪は揃いも揃ってイケメンだけど(勿論、俺が1番男前だと思う)、そんな俺たちと結婚したり恋愛したりすることは多分ないだろうし。
アルケミストとしての仕事が忙しくて、図書館業務にはあまり回れないから、一般の利用者の人とは会わないだろうし。
「だざ…修治さん!このドレス、どうですか?」
お洒落なんて興味ないのかと思ってたのに。
キラキラした顔で振り返る司書は、全然そんなことなさげで、とっても可愛かった。
「いいじゃん!やっぱり司書…じゃなかった、牡丹には赤が似合う!」
「だ、修治さんの仰る通りでしたね。私が選ぶものより、選んでいただいたものの方が華やかに見えます」
にっこりと司書が笑う。
俺が選んで試着してもらった赤色のドレスは、想像以上に彼女に似合っていて、自分でも驚いてしまった。
白い肌に赤が映える。
「私、これにしますね」
「ありがとうございます~。本当にお似合いですよ!彼氏さんの髪色とお揃いですね!」
近くで見ていた店員が寄ってきて、司書に話しかける。
「あっ、えっと…えへへ、ありがとうございます」
チラッと司書がこちらを見た。
「お2人並ぶと本当に映えますね!
こちらのドレス、派手すぎない赤で人気なんですよ~」
いくつか言葉を交わし、司書は再び試着室に戻る。俺が選んだドレスに決めたそうだ。
「彼女さん、本当にお似合いでしたね」
「え、あ…そうですね。俺が選んだから尚更良かったです!」
「センスいいですね~。その赤い髪も素敵です~」
×××
「しゅ…だっ、太宰先生!ありがとうございました!」
図書館に帰る道を一緒に歩いていると、司書がそう言った。
「礼には及ばないぜ、なんせ天才小説家の俺が選んだんだからな!」
「…怪しまれないようにカップルを装うのも、修治さんって呼ぶのも照れちゃいました。ご迷惑をおかけしました…」
ほんのり頬を染める司書に不覚にもドキッとした。
「仕方ないって!天才 太宰治が街に現れたらファンに囲まれちゃうからな」
「あはは、確かにそうですね!」
図書館までの帰り道はなんだか心地良くて、ずっと続けばいいのになんて思ってしまった。
×××
-翌朝-
「太宰先生!おはようございます」
「あ、司書。おは…どうしたの」
「あれ、やっぱり変ですか?」
振り返るといつものように司書がいた。
けれど、いつもと違った。
目元はいつもよりキラキラしてて、俺好みの艶のある赤い口紅。制服も今日はきちんと着ていた。
「いや、超似合ってる!」
「わ、ありがとうございますッ」
思わず、司書の肩を掴んでいた。
「昨日、太宰先生に選んでいただいた赤が忘れられなくて、久しぶりに赤い口紅をつけてみました」
「絶対そっちの方がいいって!」
「本当ですか?」
「ああ、俺が言うんだから間違いない!」
りんご飴のような赤い口紅を塗った、形の良い唇に釘付けになってしまう。綺麗だ。
「太宰クンにおっしょはん、おはようさん」
「あ、オダサク先生。おはようございます」
「オダサクおはよう」
「あら、おっしょはん!普段より可愛らしいなぁ」
「え、ありがとうございます!」
オダサクにも褒められて、司書が嬉しそうに笑う。
「普段の口紅よりも顔色良う見えるで」
「本当ですか?これからはこっちにしますね」
にこにこと顔を見合わせて、仲良さそうに喋る2人に少しモヤッとした。
「と、とりあえず食堂行こうぜ!朝食の時間に遅れちまうぞ!」
「せやなぁ。おっしょはんも行きましょか」
「そうですね!お腹空きました!」
オダサク、司書と並んで食堂まで行く。
心を許している2人と喋るのはとても楽しい。
けれど、オダサクが彼女を褒めるのはなんだか嬉しくない。
司書が褒められるのは嬉しいけど、彼女の赤は俺の赤なのに。なんて思ってしまう俺がいた。
×××
-おまけ-
「太宰はまだ無自覚なのか?」
「せやねぇ、まだ気付いてないみたいやったわ」
「顔には出てるのにな、太宰のヤツ自分のことには鈍感だな」
朝食後、微笑みつつそんなことを言いながら中庭を歩く坂口と織田がいた。
.
無自覚な恋
こちらの続編ですが、単品でも読めます。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
うちの司書は、あまり身なりを気にしないのかと思っていた。
だって…朝は寝癖がついたままの日もある。
襟が変な方向に折れてる日もある。
化粧だって、いつも目元は薄い茶色のアイシャドウしか使ってないし、口紅も自然なベージュかピンクだ。
色白だし、さらさらしてそうな髪の毛だし、もっとお洒落したらいいんじゃないかなって思ってた。
けど、確かにこの図書館にいると出会いはあまりないよね。
俺たちみたいな文豪は揃いも揃ってイケメンだけど(勿論、俺が1番男前だと思う)、そんな俺たちと結婚したり恋愛したりすることは多分ないだろうし。
アルケミストとしての仕事が忙しくて、図書館業務にはあまり回れないから、一般の利用者の人とは会わないだろうし。
「だざ…修治さん!このドレス、どうですか?」
お洒落なんて興味ないのかと思ってたのに。
キラキラした顔で振り返る司書は、全然そんなことなさげで、とっても可愛かった。
「いいじゃん!やっぱり司書…じゃなかった、牡丹には赤が似合う!」
「だ、修治さんの仰る通りでしたね。私が選ぶものより、選んでいただいたものの方が華やかに見えます」
にっこりと司書が笑う。
俺が選んで試着してもらった赤色のドレスは、想像以上に彼女に似合っていて、自分でも驚いてしまった。
白い肌に赤が映える。
「私、これにしますね」
「ありがとうございます~。本当にお似合いですよ!彼氏さんの髪色とお揃いですね!」
近くで見ていた店員が寄ってきて、司書に話しかける。
「あっ、えっと…えへへ、ありがとうございます」
チラッと司書がこちらを見た。
「お2人並ぶと本当に映えますね!
こちらのドレス、派手すぎない赤で人気なんですよ~」
いくつか言葉を交わし、司書は再び試着室に戻る。俺が選んだドレスに決めたそうだ。
「彼女さん、本当にお似合いでしたね」
「え、あ…そうですね。俺が選んだから尚更良かったです!」
「センスいいですね~。その赤い髪も素敵です~」
×××
「しゅ…だっ、太宰先生!ありがとうございました!」
図書館に帰る道を一緒に歩いていると、司書がそう言った。
「礼には及ばないぜ、なんせ天才小説家の俺が選んだんだからな!」
「…怪しまれないようにカップルを装うのも、修治さんって呼ぶのも照れちゃいました。ご迷惑をおかけしました…」
ほんのり頬を染める司書に不覚にもドキッとした。
「仕方ないって!天才 太宰治が街に現れたらファンに囲まれちゃうからな」
「あはは、確かにそうですね!」
図書館までの帰り道はなんだか心地良くて、ずっと続けばいいのになんて思ってしまった。
×××
-翌朝-
「太宰先生!おはようございます」
「あ、司書。おは…どうしたの」
「あれ、やっぱり変ですか?」
振り返るといつものように司書がいた。
けれど、いつもと違った。
目元はいつもよりキラキラしてて、俺好みの艶のある赤い口紅。制服も今日はきちんと着ていた。
「いや、超似合ってる!」
「わ、ありがとうございますッ」
思わず、司書の肩を掴んでいた。
「昨日、太宰先生に選んでいただいた赤が忘れられなくて、久しぶりに赤い口紅をつけてみました」
「絶対そっちの方がいいって!」
「本当ですか?」
「ああ、俺が言うんだから間違いない!」
りんご飴のような赤い口紅を塗った、形の良い唇に釘付けになってしまう。綺麗だ。
「太宰クンにおっしょはん、おはようさん」
「あ、オダサク先生。おはようございます」
「オダサクおはよう」
「あら、おっしょはん!普段より可愛らしいなぁ」
「え、ありがとうございます!」
オダサクにも褒められて、司書が嬉しそうに笑う。
「普段の口紅よりも顔色良う見えるで」
「本当ですか?これからはこっちにしますね」
にこにこと顔を見合わせて、仲良さそうに喋る2人に少しモヤッとした。
「と、とりあえず食堂行こうぜ!朝食の時間に遅れちまうぞ!」
「せやなぁ。おっしょはんも行きましょか」
「そうですね!お腹空きました!」
オダサク、司書と並んで食堂まで行く。
心を許している2人と喋るのはとても楽しい。
けれど、オダサクが彼女を褒めるのはなんだか嬉しくない。
司書が褒められるのは嬉しいけど、彼女の赤は俺の赤なのに。なんて思ってしまう俺がいた。
×××
-おまけ-
「太宰はまだ無自覚なのか?」
「せやねぇ、まだ気付いてないみたいやったわ」
「顔には出てるのにな、太宰のヤツ自分のことには鈍感だな」
朝食後、微笑みつつそんなことを言いながら中庭を歩く坂口と織田がいた。
.