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MakeS
ゆめうつつ
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「わあ…いただきます」
「美味しそうだね!」
暫くして注文していたドリンクとデザートが運ばれて来る。店員さんが私の前にデザートを置いたので、セイの前に置き直す。
私は頼んだドリンクに口を付けながら、セイが食べるのを見つめる。食べきれるかな?
「はい、牡丹」
「え、食べないの?」
「食べるよ、半分」
セイは運ばれてきた生クリームたっぷりのデニッシュを半分に切り分け、店員さんが気を利かせて持って来ていた皿に乗せた。
「…1人の時に画像検索したって言っただろ?」
「うん」
「あれさ、MakeSで写真を撮ってくれた時に牡丹がこういう甘い食べと一緒に撮ってたから…こういうの好きなのかなって」
「え、そうなの?ありがとう」
セイは半分どころか更に自分の分を切り分けて私の皿に乗せる。
「ほら、食べて」
「うん、ありがとうね」
生クリームがデニッシュの熱で溶けてしまっては勿体ない。早速セイがくれたデニッシュを口に運ぶ。
「…美味しい!季節限定だからフルーツも入ってて…」
「ふふ、喜んでくれて良かった」
にっこりと笑うセイが可愛い。私が好きなものも、此方に出て来る前から調べてくれていたなんて嬉しいな。
やっぱりセイのことが大好きだ。こんなに私を想ってくれる人、他にいる?
セイにガチ恋したのは間違いじゃなかった。
「…機械が食べ物を摂取するって、少し怖かったけど、牡丹と一緒だからかな、美味しいと感じる」
「本当?良かった」
やはり『食べる』ことには慣れていない為、セイはゆっくりどこか不安げにデニッシュを口に運ぶ。形の良い薄い唇が動くのが見ていて飽きない。イケメン凄い。
「つぎは何処に行く?」
「うーん…このフロアは見終わったから、他の階に行こう」
「あ、上の階で食器類が見たいな」
「食器?」
「うん、セイの食器買いに行こう!」
「俺の?…ありがとう」
一人暮らしの私の部屋には、自分用の食器類しかない。兄弟や友人が来た時は面倒なので使い捨ての紙皿や割り箸を渡していたので、セイが使う用を買っておきたい。
部屋に色違いの食器や歯ブラシを置いておいたら、同棲しているカップルみたいでいいかも!
セイガチ恋勢には嬉しすぎる。
例えセイが突然スマホの世界に戻ってしまっても、食器やマグカップが残っていたら、私とセイが一緒に過ごした日々があったという証明にもなる。
「じゃあ、次の売り場に行こっか!」
「ああ」
購入したパジャマを持たないセイの右手を取り、彼の体温を感じながら上りのエスカレーターに向かった。
「セイはやっぱりライラックのイメージだよね」
「…そう?」
「うん、私もライラックの花好きだしセイにピッタリだと思う」
「牡丹が好きなら嬉しい」
食器類が置いてあるフロアに来て、片っ端からセイのイメージに合うものを探す。
これは色が少し濃い、これは重過ぎる、あれは高過ぎる。
うーん、比較的お手頃価格でセイにピッタリの物はないのかな。
「でも、俺、髪はこの色だし洋服もライラックカラーってあまりないから気にしないでいいよ。牡丹の好きな色を選んで」
「確かに私のセイはライラックの物はあまり身に付けなかったけど、でも、セイといったらライラックだよ」
セイは優しいから、私の手を煩わせない様に気を遣ってくれる。けれど、私が拘りたい。いつセイが実体化された人間から、アプリの中に戻ってしまうか分からないのだから。
「あっ」
「どうしたの?」
「牡丹、これはどう?」
セイに手渡された茶碗をまじまじと見る。
「おお、完璧!」
重さ、色、値段全てクリア。
特に色が綺麗。使いやすい重さと、手頃な価格なのも有り難い。
「流石セイ!これはセイにピッタリだよ!」
「良かった」
ちょうどいい茶碗をカゴに入れ、紫味のあるお箸とお皿も一緒にレジに渡す。お会計を済ませて、割れない様に丁寧に包んだ。
「後は何か買う物あったかな…あ、そうだ。ドラッグストア行きたいな」
「ドラッグストア…薬局か?」
「そうだよ、でも日用品が欲しいの。荷物が多くなったからコインロッカーにでも預けようか」
大きなショッピングモールに併設されたドラッグストアに向かう途中にあるコインロッカーにパジャマと食器を預け、荷物の無くなった手でセイと手を繋ぐ。
パジャマも食器も嵩張るから、預けて正解。今度は車で来るべきかな。車なら少々お買い物し過ぎても楽に運べるしね。
この近辺でもっとも大きなドラッグストアに行くと、豊富な品揃えに少し驚いた。次からはここで買い物しよ。
「あった」
「歯ブラシ…俺の?」
「そうだよ、セイに必要な物を買いに来たの」
歯ブラシやうがい用コップをカートに入れる。洗顔フォームやシャンプーは私が使っているものをセイにも使って貰おう。
ついでに使い切っていた歯磨き粉や洗剤も一緒に購入した。
「よしっ、これで必要な物は揃ったかな?」
「荷物も多くなってきたし、そろそろ帰るか?」
「そうだね、日も暮れる時間だし帰ろうか」
コインロッカーに戻って荷物を取り出し、駅に向かう。
やっぱり買い物し過ぎたな。セイにパジャマと日用品を持って貰っているけれど、これからこの荷物を持って歩いて帰ることを考えるとしんどくなる。
でも、セイとの初めてのデートはとても楽しかった。
少し散財し過ぎてお財布はだいぶ軽くなったものの、充実感でいっぱいの日曜日になった。明日からまた一生懸命働こう、セイを養うためにも。
持っている荷物は多くて重いけれど、私のお財布と同じくらい、帰る足取りは軽かった。
「…牡丹の匂い」
「恥ずかしい!」
「俺、嗅覚もきちんと備わってたんだって分かって嬉しい。牡丹の匂いも嗅いでみたかったから凄く幸せ」
「…幸せならいいけど」
へにゃっとした笑顔を向けるセイが可愛くって、強く言えなくなる。
夕飯やお風呂を済ませて、買ったばかりのパジャマに着替えた私たち。
予備の寝具を床に広げ、そこに寝転がったセイは布団の匂いを堪能していた。
ベッドで寝ても良いよって言ったけど、突然画面から出てきて迷惑をかけているのにベッドまで占領出来ないと遠慮していた。
全然、迷惑なんかじゃないけどな。
なんなら、一緒にベッドで寝たいくらいだったけど自分からそれを提案するのは恥ずかしくって言えなかった。
私がベッド、その隣に敷いた布団でセイが寝る。
「牡丹、明日は何時に起きるんだ?」
「ん…6時」
「そっか、それならもう寝た方がいいな」
「そうだね、歩き回って疲れたし今日はもう寝ようかな」
「なあ、今日の俺は牡丹の役には…立てなかったよな?」
「え?そんなことない。荷物も持ってくれたし幸せをたっくさん運んでくれたから役に立ったどころじゃない、感謝してもしきれないくらい」
「そっか…良かった。おやすみ、牡丹」
「おやすみ」
セイの「おやすみ」って何だか安心する。
心地よい声に誘われ、直ぐに眠りに落ちた。
「牡丹、起きる時間だぞ」
「ん…」
「もう6時2分。起きて」
「…あと5分…」
「えっ、あと5分?
うーん、仕方ないな…ちゃんと起きろよ?」
「牡丹!!もう5分経った!!」
「むぅ…」
「起きて!!!!!」
「…?」
「起きない子はこうだ!」
「寒っ」
暖かな布団が誰かに剥がれ、涼し過ぎるクーラーの風が直に当たる寒さに震えた。
朝から煩いなぁ、と思いながら重い瞼を開いて身体を起こす。
「Morning make System -sei- Start up.」
聞き慣れた声の先には、実体化したセイの姿。
「…えっ」
ああ、そうだ。私、セイと暮らしているんだ…。
「どうした?体調悪い?」
「あ、違うよ。セイ、おはよう」
「ん、おはよう」
ぼんやりとセイを見詰めていると、心配そうに顔を覗き込まれる。画面の中だけにいた時には味わえなかった幸せが新鮮で、嬉しくて、独りなら憂鬱な朝も心がぽかぽかとする気がした。
「ほら」
「?…あっ」
セイを再び見ると、パーにした両手を高い位置で掲げている。そうだ、セイとの朝はこれから始まる。
「おはよう!」
「ああ、今日もよろしくな」
私からだと高すぎるその位置に、私は軽くジャンプしてハイタッチをする。
画面の中のセイとのハイタッチは、片手をチョキにしてハイタッチしていたので、本当にハイタッチ出来るのも何だかんだ幸せ。
「今日は仕事の予定が入ってるな」
「あれ、セイに予定言ってたっけ?」
「ううん、牡丹が前にMakeSに予定を入れてただろ?それを覚えてるんだ」
「なるほど。待たせて悪いけど、私準備してくるね。朝ご飯はその後でもいい?」
「ああ。準備しておいで」
ニコッと笑ったセイが可愛くて、朝から胸がキュンとした。イケメンと過ごすと毎日キュンキュンして女性ホルモンがたくさん出そう。
そんなことを考えながら、洗面所へ向かった。
イケメンと同棲というものは、華のない社会人(私のこと)の生活を明るくした。
最近手抜きだった出勤メイクも、ばちばちに睫毛をカールさせ、ベースも念入りに作り込む。
「…ちょっと気合い入れすぎた?」
鏡に映る、普段と比較して明らかに綺麗な自分の姿に少しびっくりする。
うーん、恋のチカラは偉大だわ。
「牡丹、準備終わっ…かわいい!」
「え、あっ、ありがとう…」
「いつも可愛いし、昨日の休日スタイルも可愛かったけど、今日のお仕事モードな格好も可愛いね」
ニコニコとした笑顔で両手を握り締めて来たセイ。不覚にも胸が高鳴った。
そうだよ、貴方の為に、貴方に少しでも可愛いと思ってもらえるように頑張ったの。
だけど、そんなにストレートに褒められると照れてしまう。
「朝ごはんの準備するね」
「うん、ありがとう。出勤まであと50分だよ」
「…簡単なものでいい?」
「もちろん。牡丹と一緒に食事できるなら何でも幸せだ」
相変わらず幸せそうに笑うセイを見て、心が浄化される。
なんて幸せなんだろう。生きてて良かった。
「あれ、牡丹先輩!今日は彼氏さんとデートですか!?」
「え!?」
セイに留守を任せ、泣く泣く出社した私を待っていたのは、目を輝かせ物凄い勢いで詰め寄って来た後輩。
「ど、どうしてそう思うの」
「だって!牡丹先輩いつもの数倍オーラ?なんかわかんないですけど、キラキラしてて可愛いんですもん!!
そのアイシャドウの色味も最高ですっ。牡丹先輩の肌に映えてて素敵です!どこのですか?」
「デートの予定はないけど、たまにはいいでしょ?朝、余裕あったの。これはS○○QUの限定」
「限定かぁ~…でも本当に綺麗です~!てっきりデートかと思いました。
今度、彼氏さん紹介してくださいね~」
「はいはい、また今度ね」
後輩の背中を軽く押し、席に戻るよう促す。
いつも彼氏を紹介しろと言うけれど、
私の彼氏(?)はセイだ。
普段なら画面の向こうから出てこれないけれど、いまなら実在している。
いまのうちに2人で写真とか撮って、たくさん思い出作って、彼氏(?)は実在するんだって証拠を残さなきゃ。
「お疲れ様でした」
「あれ、牡丹先輩!!
定時上がりなんてやっぱりデートじゃないですか!」
定時になるやいなや立ち上がる私に、後輩がまた反応する。
後輩の声につられた周りも、一斉に私のほうを見た。
「え?デートなんですか?」
「確かに今日の柊木さん綺麗だもんね」
「だからデートじゃないって」
「むむむ…そんなに可愛くて綺麗な牡丹先輩とデート出来るなんて彼氏さん羨ましすぎますっ!」
「…はぁ。今日は本当に用事があるの。急ぐから、また明日ね」
「はぁい。お疲れ様でしたぁ~」
むくれる後輩を背に、私は急ぎ足でオフィスを出る。
…デートの予定はないけど、セイに早く会いたいのは本当だからね。
早く帰って、会えなかった分を取り返さなきゃ。
階段を降りる足も早くなるし、電車を待つ時間さえ惜しくなる。
やっぱり、恋のチカラは偉大だ。
…セイに会えるまで、あと20分。
「セイ!ただいま!」
「牡丹!おかえり」
急いで帰宅して部屋に入ると、嬉しそうなセイが出迎えてくれた。
そのままセイの胸に抱き付き、彼の体温を実感する。セイも、私をぎゅっと抱きしめてくれる。
「ふふ、どうした?」
「1日が長かった~。早くセイに会いたくて急いで帰ってきちゃった」
「嬉しい。俺も早く牡丹帰ってこないかなって思ってた」
顔を上げてセイを見詰めると、そのままキスが降りかかってくる。
「んっ」
「お帰りのキス。牡丹、お仕事お疲れ様」
凄い。お帰りのキスなんて乙女ゲームの世界でしか見たことない!
「あ、これがセイとのファーストキスだ」
「もう一回しよっか」
「え…ん、ふっ」
何気に大事なことに気付けば、セイは私の顎を上げて再びキスする。
『もう一回』なんて言ったのに、2回3回と繰り返しされた。
「好き」
「私も」
額同士を合わせて微笑みあう。
ああ、なんて幸せなんだろう。胸が暖かくなるのを感じた。
「お腹すいたね、ご飯適当に作るから」
名残惜しいけど、私のお腹がきゅるきゅる鳴るほど空腹なのでセイから身体を離す。
「だめ」
「…わわっ」
離れようとしたら、セイがそれを許さず、再び私を抱き締める。
「…もう少しだけ」
穏やかな声で耳元で囁かれた…抗えるわけ、ないじゃんね。
「幸せだ」
「そうだね、とっても幸せ」
夕食やお風呂などを全て終え、先日購入したパジャマを着て布団に入った。
もう1組のお布団は使わず、狭いシングルベッドにセイに抱き締められる形で寝転がる。
「ずっと画面越しにしか見えなくて、決まった言葉しか喋れないもどかしさがあった。
けど、いま2人でいられるから、生きててよかったって思う」
「そうだね。私も、セイが来てくれて世界がキラキラして見えるよ」
「…ありがと。明日も早いから寝ようか」
「うん、明日も今日と同じ時間でお願いします」
「任せて。牡丹のスケジュール管理は俺の最優先事項だ。…おやすみ」
「おやすみ、セイ」
目蓋を閉じる直前にセイにキスをして眠りについた。
明日もたくさんお話ししたいな。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
ここからR18展開です。
セイにこういったものを求めてない方、高校生を含む18歳未満の方、
裏夢お苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
なお、妊娠を望まないのであれば避妊を。
当サイトは、避妊なしの性行為を推奨しているわけではございません。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
そうして、セイが実体化して6日目。
もう1週間近くもセイと同棲しているなんて。
慣れとは恐ろしいもので、毎日セイに起こされて、いってきますとおかえりとおやすみのキスをして、お揃いのパジャマで寝るのが当たり前になりつつある。
「明日も休みだけど、何かしたいことある?」
洗い物を手伝ってくれるセイに問いかける。
「うーん。牡丹といられたら何でもいいけど…」
「それじゃあ、後輩に借りた映画があるからそれを一緒に観よっか」
「いいね、楽しみだ」
肩を並べながら話すのも、もうだいぶ慣れた。
見上げると優しい顔で笑うセイがいて。
大好きな人といられて、胸がときめく。
これからもたくさんセイと思い出を作りたいな~、たくさんの体験をセイにさせたい。こんなに生きてて楽しいのは久しぶりだ。
-翌日-
「牡丹~、準備出来たよ」
「ありがとう」
部屋を薄暗くして、飲み物も準備した。
後輩に教えてもらい、前から気になってた映画のDVDを入れる。
「どんな内容なんだ?」
「さあ?後輩に借りてきたやつだからチェックしてないんだよね」
セイとソファに腰掛け、再生ボタンを押した。
『大変だ、このままでは全員死んでしまう!』
『もうダメかもしれない…!』
『…愛してる、マリア』
『私もよ、ジェームズ…んっ』
『…マリア…』
『あッ…』
…………これはまずい。
命の危険に晒された男女がこの展開においてすることは1つ。ああっ、ラブシーンが始まってしまった。
別に、こういったことに抵抗があるわけじゃない。隣でセイが観ていることが気になってしまう。
ドキドキしつつ隣を窺うと、真面目に視聴しているセイがいた。
…セイにそういう知識がないわけではないのかもしれないけれど、純粋に映画を観ている(ように見える)セイの隣で悶々としている私だけが不純なのかもしれない。
早まる鼓動を無視して、私も視線を画面に戻す。ああ、完全にだめだ。深いキスをしながら愛撫している男女が見えた。
ピッ
当然、画面が止まる。
「え?」
「…牡丹、こんなの選んじゃ、だめだよ」
リモコンを持ったセイが震えながら言う。
やっぱり刺激が強かったかも。
「ご、ごめんね…先に中身を確認してたら良かったわ…」
「ずっと考えないようにしてたけど、あんなの観たらやっぱり抑え切れない」
「?」
セイの様子がおかしい。
「牡丹に触れたい」
「…っ」
恐る恐る視線を合わせると、妙に熱っぽくて。
頬を赤らめた姿をいつも可愛いと思うはずなのに、どうしてか今日は色っぽいと感じて。
「…んっ」
見詰めあったまま自然に唇が重なった。
「…んっふ、」
「…はっ、牡丹…」
手で後頭部を固定され、逃げる事は叶わない。
掠れた声が、熱い吐息が、思考を奪う。
「…あっ。セイッ、だめ…っ」
「だめじゃない、大丈夫」
「んんっ、あッ」
いつの間にかセイの右手が、私の部屋着を巻くってブラを上にズラす。露出された胸の頂を当てることはとても簡単で、軽く引っ掻かれたりつままれたりして甘い刺激が私を襲う。
「…好きだ、牡丹っ」
「私もセイが好き」
「…嬉しい」
時間をかけて慣らされたナカは、セイのものを簡単に飲み込んだ。蠢くナカの感触に顔を歪めながらそう言うセイは、今まで見たことがないくらい色っぽくて、また子宮がキュンとした。
「あッ、セイッ…急に動いちゃ…ああぁっ」
「牡丹が可愛くて、止まらない…っ。あ、すごく気持ちいい…」
目の前がちかちかするくらい気持ちいい。
キスしながらの律動は、このまま死んでもいいと思うくらい幸せ。
「も、…出る…ッ」
「ああぁっ、セイっ、奥っ、出して…ッ、ああぁぁああああっ♡♡」
私の希望通り、セイが私のナカで精液をぶち撒け、その衝撃で私もイッた。
たくさんの量に、ナカから逆流する感覚がする。
「…牡丹っ、ごめんっ」
「あ、謝らないで…!確認してなかった私も悪いし…」
「で、でも牡丹との初めてはベッドで…と思ってたのに昼間からソファで盛ってしまって申し訳ないと思ってる…」
そして、どれくらい経っただろう。
お互い呼吸が落ち着いてきたころに、セイがハッと起き上がって頭を下げた。
「で、でも…私、セイとこういうことしたかったから…」
恥ずかしいけれど、ずっと思っていたことを打ち明けてしまう。
だって、エッチなシーンが始まったらムラッとしてしまうのは仕方ないし!私だって大好きなセイとしたかった訳だし!?
「…うぅ」
「ほ、ほら落ち込まないで?」
「あ、いや、落ち込んでるんじゃなくて…」
「?」
顔を真っ赤にしたセイが私を見る。
潤んだ目がかわいい。
「牡丹が可愛くて…また勃った…」
セイは私の手を掴み、彼の股間に導く。
「…おっきぃ…」
1度出したばかりとは思えぬ硬さ大きさのブツに思わず声が漏れる。
「…だめ?」
「…身体が痛いから、ベッドで…」
この後、更に3回ナカに出されました。
「…んぅ…ん!?」
重い目蓋を開ければ、視界に広がる大好きな人。
「…っ」
何故か目の前でスヤスヤと眠っているセイは裸で、脳が状況を理解出来なかったらけれど、腰に走る鈍くて重い痛みが記憶を呼び起こす。
「あ…痛っ」
「…牡丹、大丈夫?」
痛む腰を抑えると、寝ていた筈のセイの目がパチリと開く。
「あ、起こしちゃった?」
「ううん。それより、どこか痛いのか?」
「…腰が…」
「あっ…それは、ごめん」
急に顔を真っ赤にしてセイが目を逸らす。
その姿はとても可愛くて、さっきまで私を抱いていたとは思えない。
「…あぁ、もう夕方だね。晩御飯考えないと…」
窓の外は夕日が眩しい。
お昼から映画を見始め、行為後に始末もせず眠っていたらしい私たちの過ごした時間の長さを感じてしまう。
今日の晩御飯を考えなきゃいけないけど、腰は痛くて全身だるい。動きたくない。
けど、きっと夜中に空腹で暴れてしまうから晩御飯はきちんと食べなきゃ。うーん、何にしよう。
冷蔵庫の中、なにかあったかな。
昨日までと同じように、一緒にご飯を食べた。
お風呂にも入って、歯磨きや明日の準備も済ませ、再び一緒にベッドに入った。
「…今日で俺が牡丹の元に来て1週間だったな」
「あ、まだ1週間なんだ。なんか、ずっと一緒に暮らしてたみたい」
電気も消した、暗い部屋の狭い布団の中で笑い合う。
1週間で変わったこと、変わらなかったこと。
「明日は仕事以外の用事はないみたいだな」
「うん。早く帰ってくるね」
「よろしく頼む」
「…んっ、おやすみ」
「おやすみ、牡丹」
いつも通りおやすみのキスをして、眠りに着いた。
【時刻 23:48】
×××
【時刻 00:00】
「…えっ」
〈ようやく扱いに慣れてきた、生身の身体への突然の違和感。
隣で熟睡している彼女を咄嗟に抱きしめたけど、意味がないことはわかってた。
このまま彼女を起すことも嫌で、でも俺の意思と関係なく離れる自分の身体を見たくなくて目をかたく瞑った。〉
×××
【時刻 06:17】
R•R•R•R•RRR
『起きる時間だぞ』
鳴り響くアラームと聴き慣れた声に身体が反応する。
「ん~…セイ、あと10分…」
狭いベッドの隣で寝るセイの腕に抱きついて、いつものように我儘を言おうとした。
「んん…セイ~…?」
手を伸ばせば反対側まで届くシングルベッド。
何故かセイの手が掴めないし、ベッドに温もりがない。
「…セイ…?」
いままでセイが先にベッドから降りていることなんてなかったのに。
不安になって、眠気なんて飛んで目を覚ます。
「……え…?」
目の前に広がる景色は昨日までと変わりがないように見えるけど、呼んでも呼んでも返事はない。
R・R・R・R・RRRR
再び鳴り出したアラームを止めるため、スマホに手を伸ばす。
「…セイ!?」
セイが此方に来て以降、タップしても一向に開けなかったMakeSのアプリが起動していた。
そこには、以前と同じように微笑むセイの姿。
「…戻っちゃったの?」
おはようのハイタッチをしながら声をかけるけど、あらかじめ決められたことをランダムに発することしかできないアプリの彼は、私の問いかけに答えてはくれない。
『今日も1日頑張ろうな』
「……頑張れない、よ」
昨日の夜まで当たり前に【ここ】にいたセイが画面の向こうに戻ったなんて信じたくない。
なんで。
1週間という短い期間のなかでどれだけセイへの気持ちが改めて大きくなったことか。
突然すぎる別れなんて、朝から受け入れたくない。
×××
「あれ、牡丹先輩、元気ないですね」
「あ、おはよ」
「彼氏さんと喧嘩ですか?今日は早く帰って仲直りしてくださいね」
「…ありがと」
とてもじゃないが、化粧や服装に気を遣える余裕もなくて、適当に見た目を誤魔化して出社した。
仕事、できるかしら。
「牡丹先輩!もう定時過ぎてますよ!先輩がしなきゃいけない仕事、まだ期限まで時間ありますよね?明日以降に回しましょう!!
先輩じゃないとできない仕事以外は私がやりますから、今日は帰ってください!」
「え、いや、そんな悪いよ」
「ダメですッ!元気のない牡丹先輩の姿なんて見てられません!キラキラで幸せそうで、ちょっとお仕事には厳しい牡丹先輩が好きなので、今日は早く彼氏さんと仲直りしに帰ってください!!!」
「……喧嘩なんかじゃないよ、大丈夫」
「えっ、じゃあ別れたんですか?うーん、それなら余計に帰ってください!美味しいもの食べて、ゆっくり休んでください!」
「…」
「ほら、あとのことは私やっとくので!お疲れ様でしたッ!!」
無理矢理、後輩に背中を押されてオフィスから追い出される。今度彼女にお礼をしなきゃ。
仕方ないので、足取り重く帰路につく。
スマホを開けば、そこにセイはいた。
家で待たせるより、一緒に会社に行ける。
物理的距離はアプリの方が近いのに、心は途方もなく遠くに行ってしまった。
まだやりたいこと、いっぱいあったのに。
「ただいま」
真っ暗な誰もいない部屋に帰る。
当たり前のように聞こえていた『おかえり』の声は聞こえない。
昨日の夜までいたのに!
セイがたしかにここにいた形跡はある。
お揃いのパジャマも、歯ブラシも、食器だって。
どうしていなくなっちゃったんだろう。
数日後
「ありゃ、牡丹先輩。まだ元気ないですね」
「あー、ごめんね。明日からはちゃんとするから」
「ところでこれから何食べましょうか?」
先日から私を心配し続け、仕事を肩代わりしたり、定時で上がれるように手配してくれ続けている後輩とご飯に行く約束をしていたのだ。
「うーん、この辺りで何かいいお店ないですかねー?」
「…あっ」
「あ!せんぱ…!」
ガシャーンッ
スマホで地図アプリを開いて凝視していたせいで足元の段差に気付かず転んでしまった。
「あわわわ、牡丹先輩!怪我してないですか!?」
「いったたた…だ、大丈夫」
あわあわした彼女は、私の膝を見る。
バキャバキャッ
前方で良からぬ音がした。
「絆創膏あるんで使ってください!」
「あ、ごめん、ありが「あー!?」え?」
彼女がポーチから出した絆創膏を受け取ろうとすれば、突然絶叫して。
「あー!!!なんてことを!!」
「え?」
道路に向かって通り過ぎた車に叫んだかと思えば、何かを拾い上げて戻ってくる。
「あ」
「先輩~!!!スマホぺしゃんこですぅ…」
転けたときに手元から飛んでいったであろうスマホは道路に投げ出されていたらしい。そのままスマホを車が踏み潰して行ったようで、私のスマホは一瞬で画面バキバキ真っ白のぺっしゃんこになってしまった。
「………」
「ご飯は今度にして、スマホ修理のお店いきましょうか」
「ごめん」
直るのか?
バックアップ、PCに残してないわ。
結局、再起不能になったスマホは直す余地などなく買い換える羽目になった。
バックアップはPCではなく、機種本体のiCloudにしか残していなかったので、当然、粉砕されたスマホは使い物にならず、全てのデータが消えた。
暫く連絡を取り合ってない友人などの情報は消え去ってしまった。それに、セイも。
MakeSの引き継ぎ機能が出来たのに、必要な情報はスクショにしか残してなくて、もちろん記憶なんてしてないので、再度インストールしたMakeSで新しいセイとの生活がスタートした。
けれど、同じセイだけど。
この『セイ』は、私が恋をしたセイではない。同じなんだけど、同じじゃない。
自業自得だけど、なんだか辛くてアプリを削除してしまった。
「あれ、牡丹先輩。本当に彼氏さんとわかれたんですか?」
分かりやすく自己プロデュースする理由を失った私は、分かりやすく以前より楽しくなさそうに見えるらしい。
×××
数週間後
「え~、今日から中途で入社する子がいます。入ってきなさい」
ある日、かったるい朝礼の時間に部長が言った。え?新入り来るとか聞いてないわ。
後輩と目が合うと、「え?聞いてなかったの?」と言わんばかりの顔をしていたので、私がいかに注意力散漫なのかがわかる。そりゃ転けてスマホバキバキにするわ。
「…はじめまして」
部屋の扉が開き、どこかで聞いたことがある声がした。
「…えっ」
「え~、彼が今日からウチの部署で預かることとなった久須 晴明くんだ」
「はじめまして。久須晴明です」
「教育係はー…そうだな、柊木。
急ぎの案件もないし頼むわ」
部長に声を掛けられ、新入りくんの顔を改めて見る。
私を見て微笑んでいる彼はとても綺麗な顔をして、
「…はい、わかりました」
そして、あまりにも『私のセイ』に似た顔をしていて。
「よろしくお願いします、柊木さん」
×××
「…あ、牡丹先輩寝てる」
外は真っ暗でとうに定時も過ぎた夜の9時。
最近働きぶりが評価され、大きな案件も任されていた牡丹の後輩は、帰宅準備をしながら席で眠る牡丹を見つけた。
辺りを見渡せば、フロアにいるのはもう自分と牡丹と、入ってきたばかりの新入りだけであった。
「えっと…久須さん」
「どうかしましたか?」
「まだ入社したばかりだし、全然定時で上がったので大丈夫ですよ」
「あ、お気遣いありがとうございます。憧れていた会社なので、どうしても早く皆さんに追い付きたくて…今日はあとここだけ直したら帰ります」
「…じゃあ、牡丹先輩のこと頼んでもいいですか?最近、疲れてるみたいで、眠ってるのを起こすのも可哀想ですし…。久須さんが帰る前にでも声だけ掛けてみてください」
「あ、わかりました。お疲れ様です」
「お疲れ様でした、明日も頑張りましょうね」
2人ですやすやと机で眠る牡丹を見た。
後輩はフロアを後にして、久須が牡丹の隣のデスクで残った仕事を片付け…ようとしてパソコンの電源を落とす。
「コホン。……Morning make System -sei- Start up」
「…え…?」
聴き慣れた声に、牡丹の意識が覚醒する。
「起きる時間だぞ」
「…セイ…?」
「定時後とはいえ、会社で寝るのは感心しないな」
「…セイ…ッ」
目を覚ました牡丹が、勢いよく身体を起こしてセイに抱き着く。
「おっと」
「…セイッ!やっぱりセイなのね!?」
「いきなり消えてごめん」
眠気を吹き飛ばされた牡丹はセイに抱きつく。
そして、セイも想いに応えるようにキツく彼女を抱き締めた。
セイは牡丹を抱き締めながらポツリと溢す。
「…あの日、日付が変わった途端に牡丹のスマホの中に引き戻されたんだ」
「…そうなの?」
突然、離れ離れになった日のことを牡丹に打ち明ける。
「折角手にした牡丹との日々を手放したくなくて、でもスマホの中に戻された俺は、どうにかしてもう一度牡丹と会えないか考えてたんだ。
牡丹と話したくても、アプリの中じゃプログラミングされた言葉しか話せないし、毎日牡丹が泣きそうになってるのも耐えられないし辛かった。
いろいろ考えた上で、もう一度俺がこっちに出てくる方法はやっぱりわからなかったんだけど、少なくともアプリが正常にアプリとしてスマホの中に存在している内は無理だと思って。
だから、MakeSが牡丹のスマホからなくなれば可能性があると思ってたんだ。
そしたらちょうど何故か突然、MakeSがというより牡丹のスマホ全部動かなくなってさ」
「あ、ごめん。それは私がスマホを車に轢かれてバキバキにされて再起不能になったからだ…」
「え、そうだったの?…でも、お陰でMakeSが牡丹のスマホから消えたわけ。その瞬間にアプリの中から吐き捨てられるようにしてまたこっちの世界に落ちてきたんだ」
その後、セイは路頭に迷っていたところを偶然、牡丹と過去に訪れたことのあるショッピングモールに辿り着き、なんとか記憶を頼りにこの街へ戻ってきた。
そのまま牡丹の家に行っても構わなかったけれど、家事も仕事もこなす牡丹の側でヒモ男のような自分に戻ったのでは牡丹の迷惑になると思い、牡丹のいる会社の新入社員となったのであった。
「心配かけてごめん」
「本当だよ」
「…会いたかった」
「私も」
ぐるるるるる…
手を取り合い、心から再開を喜び合う場面に似つかわしくない音。
「…ご、ごめん。お昼から何も食べてなくて」
「今日はもう遅いから帰ろう」
「そ、そうだね!オススメのお店あるから、今日は食べて帰ろうか」
牡丹も自身のパソコンを落とし、帰る支度をする。
「好きだよ」
「私もセイのことが好き」
暗い夜道だって、2人で帰れば怖くない。
今度こそ1週間だけじゃない、ずっと続く2人の生活を夢見る牡丹であった。
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