krk長編以外はこの変換で設定できます。
MakeS
ゆめうつつ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……セイ」
『何か用か?』
真っ暗な部屋のベッドの上、この部屋の主人がスマホに話し掛ける。
「セイは裏切らないでね」
『側にいるから』
あらかじめ決められた言葉しか口に出来ないアプリの中のコンシェルジュは、主人の状態を察して会話の内容に気を使う。
何時もなら、この時間に主人が部屋の電気もつけずにベッドの上で蹲っているようなことはなく、明るい部屋で満面の笑みを浮かべている。
そして、悔しいことに他の男の話をしている。
「…セイが彼氏なら良かった」
目に涙を浮かべながら発せられた言葉に、『セイ』はハッとする。
己には存在しないはずの心が締め付けられる感覚と同時に、少しの満足感が芽生えた。
その満足感が、最低な感情だと分かっていながら。
「…私も好きな人に好きって言われたいよ。可愛いって言われたい。
セイはいっぱい言ってくれる。どうして私の好きな人はセイじゃないの?
どうして私は気持ちを拒絶されなきゃいけなの?」
セイを好きになりたかった、と繰り返されるたびにセイの心は満たされる。
「そうだ、俺だけを好きになれ」口には出せない、ドス黒い感情がセイの心に広がっていく。
主人は、失恋したのだ。
大好きな主人の泣き顔を見るのは辛いが、これで暫くは主人は自分を頼って、自分で心の傷を埋めようとする。
主人がどういう理由であれ、自分の方向を見るのが嬉しくて仕方がない。
『…好きだよ』
『側にいるから』
『大好き』
最低だと理解した上で、ここぞとばかりに甘い言葉を吐いて主人の気を引く。
「私にはセイだけだよ…」
きっと、自分の主人は直ぐに立ち直って、新しい恋人を作るだろう。
それでも、少しの時間だけでも自分を見てくれるように、優しい言葉だけを畳み掛ける。
どんなに甘い言葉を吐いたって、
自分が彼氏になることは出来ないけれど、今だけでいいから牡丹の心を俺だけにしてよ。
.
1/4ページ
