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白樺派
ゆめうつつ
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✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
こちらの作品は、R18です。
苦手な方はご注意ください。
単品でも読めますが、血塗れのキスの続編になります。
図書館のかっこいい志賀直哉はいません。
没日会の吸血鬼さんです。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
「やっと消えてきたみたい…」
牡丹は、全身鏡の前に立って自分の姿を確認する。
彼女の鎖骨には、4つの点の傷痕がある。
「…血を吸われてイくなんて」
あの日の光景を思い出すだけで全身を一瞬駆け巡る快感。
歯を立てられた鎖骨に付いた痕は、あの日から1ヶ月以上経って漸く目立たないようになってきた。
突然、目を疑うようなイケメンに声をかけられ、しかもその初対面の男を自ら自宅に上げ、手料理を振舞われるだけでも現実離れし過ぎている。
その上、食事の後には強引にディープキスされたかと思うと鎖骨に歯を立てられ、血を吸われた。
注射は大の苦手なのに、あの男の吸血は気持ちよく、それだけで達してしまった。
信じられない出来事は、誰にも打ち明けられずに己の中で仕舞い込む。
忘れたくても、夢だと思いたくても、鎖骨に残る痕が、あの日の出来事を実際にあったものだと突きつける。
牡丹は、あの日から避けていた鎖骨の見える服を手にとり、着替える。
「…よし、これならわからないね」
鏡で念入りに自分の姿を確認して、鏡の前で笑顔を作ってみせる。
今日も穏やかに過ごせますように。
そう願って、お気に入りの香水をつけた。
「いってきます」
誰もいない部屋に向かって声を掛け、家を出る。
定時で上がろう。そう思って、出社するのだった。
「…絶対あのハゲ許さないから…!」
日没の時間もとっくに過ぎ、退勤したのは定時を大幅に過ぎた夜の9時。
牡丹は、明日出勤したら、今日散々な目に遭った原因であるハゲ上司に対し、いかに故意を感じさせずに嫌がらせという名の反撃をするか考えながら1人歩く。
街灯や深夜まで営業する店が比較的多く、舗装されて歩きやすい道。
それでも、女性が1人歩いて帰るには心許ない。
普段なら、少しの足音だって気付けるしふらっとコンビニに寄る振りをして逃げることもできる。
けれど、頭に血が上っている彼女は、自分の後ろにせまる足音になかなか気付かない。
「…あいつの机、使い古したボロ雑巾で拭いてやるんだから…!」
「牡丹」
「…え?」
夜道で背後から突然自分の名前を呼ぶ男の声。
一瞬、まさかいま考えていたハゲ上司かと思うが、自分のことを名字ではなく名前で呼ぶはずがないし、仮に呼ばれたら今までの恨みと一緒にセクハラとして上に相談に行ってやる。
それに、クソハゲ上司の声はこんなに若くない。
一体誰の声か分からず、嫌な汗が牡丹の額を伝う。
バクバクと心臓が鳴り、呼吸は無意識のうちに止まる。
ギギギ…と、壊れかけの玩具の様に少しだけ首を後ろに回して背後の人物の顔を視界に入れた。
「…あ…っ」
「久しぶりだな」
ぴたりとくっつくように立っていたのは、
彼女の鎖骨に噛み付いた男 志賀直哉だった。
×××
「なっ、なんでいるの…」
「アンタの血の味が忘れられなくてな」
街灯しかないほの暗い夜道でも、
志賀の顔の良さははっきりと分かるし、見せ付けるかのような舌舐めずりに牡丹はあの日のことを思い出してゾクリと背が粟立つのを感じた。
「とりあえず、帰ろうぜ」
志賀が男の色香の強い吸血鬼の顔を見せたのは一瞬で、場に似合わないようなカラッとした声で言う。
「…そうね」
牡丹は、ちらりと腕時計を見た。
早く帰って寝ないと、明日に響く。
×××
得体は知れないのに、1度身体を(血を?)許した好みの男のことを牡丹が警戒なんてするはずもなく、帰宅してさも当然かのように部屋に入れる。
志賀も、ここが自分の家だとでも言わんばかりに普通に部屋に上がるし、前回同様、しっかりと鍵とチェーンもした。
「腹、減ったろ?」
「…うん。でも、」
「なんだ、やけに赤いな」
「…そんなつもりじゃ。でも、身体が勝手に…」
前と同じように、キッチンに行こうとした志賀を牡丹は引き留める。
弱々しく彼の仕立ての良い服を引っ張り、身長差のせいで上目遣いで見詰める。
そんな牡丹を見て、志賀は口角をあげる。
牡丹が顔を赤らめ、膝を合わせてもじもじする理由を彼は知っている。
前回自分が唾液に混ぜて飲ませた麻酔。
彼女が痛がらない様にする為でもあったが、
媚薬効果が非常に強く快感を感じやすいこと。
そして、吸血鬼に血を吸われるたびに、その吸血鬼に対し劣情を抱く様になること。
規定量よりも多く媚薬効果のある麻酔を飲ませたのはもちろん故意であったが、たった1度しか血を吸っていない牡丹がわかりやすく効果を発揮しているのが志賀にとって非常に愉快だった。
「…あっ」
志賀は、右手を牡丹の後頭部を支え、
噛みつく様なキスをする。
ぺろりと唇を舐めれば、期待するかのように軽く開いている唇を割って舌を突っ込む。
「…んっ…ふぁ…っ」
左手は牡丹の腰に添え、自分の下半身とくっつける。
最初からそのつもりで家に上がったため、早速ゆるく主張し始めた股間を、わざと彼女の股間の辺りに押しつけてゆっくりと擦り付ける。
彼女の舌を捕まえて、吸い上げたり、また今回もさりげなく自身から自然に作られる媚薬効果のある唾液を彼女の口内に押し込んで飲ませる。
顔を赤くして、きゅっと目を瞑り、大人しく与えられる快感に身を委ねる牡丹。
これは前回より楽しめそうだと、志賀は内心笑う。
「…はっ…くるしい…」
やっと唇を離すと、顔を真っ赤にして目を潤ませた牡丹が志賀の顔を見詰める。
「襲って欲しいなら抱いてやるけど」
以前にも吐いた台詞を、わざとらしく耳元で言う。
「…っ、抱いて、欲しい…」
勿論、答えが否であっても抱くつもりであった。
志賀は、彼女を横抱きしてすぐそこのベッドまで運ぶ。
初めて横抱きされたらしい牡丹はあわあわしているが、そんなことは気にしない。
彼の脳内はどうやって彼女を快楽の海に沈めるかしかし頭にないのだ。
「直ぐにやるから、そんな物欲しそうな顔すんな」
「…そんなわけじゃ」
大きな瞳は潤み熱を持っているけれど、牡丹本人には自覚はない。
志賀は、牡丹にディープキスしながら手早くブラウスのボタンを外していく。
「んっ…ふぁっ」
「…」
そして、一度唇を離しボタンを全て外し終えたブラウスの前を開いて、思わず舌舐めずりした。
着痩せするタイプか、と思いつつも声には出さず、首筋やデコルテを舐めたり吸い上げたりする。
「…やっ、痕になる…」
「んー、嫌じゃないだろ」
「あっ…んんっ」
白い肌に軽く歯を立てると、分かりやすく反応する牡丹に気を良くし、思わずそのまま彼女の血を飲もうとしたが、その衝動をぐっと抑えて、予想よりもずっと豊満な胸を下着の上から胸を触る。
「…ひぁっ、擦れるのきもち、いいッ」
「下着の上からわかるくらい乳首立ってるぜ」
「んーッ、だって…!」
「ほら、背浮かせて」
「…ぁっ」
牡丹が背を軽く浮かせた瞬間に志賀はブラのホックを外す。そのままブラを抜き取り、牡丹に見せ付けるように自身の顔の高さまでモノを持ち上げてから床に落とす。
ハラリと下着が落ちる。金具が床に当たる音がした。
ちゅっ
既にツンと立った胸の頂にキスを落として、そのまま口に含む。ぺろりと舐めあげれば、過剰なまでに牡丹が反応する。
「ふぁッ、、あ…んんっ、それ好き…っ」
胸をわざと音を立てて吸ったり舐めたり甘噛みしながら、彼女のぐちゃぐちゃに濡れた下着のクロッチ部分を爪で引っ掻く。
「あ"っ、ぁあ…両方しちゃだめッ」
「ダメじゃない、気持ちいい、だろ?」
「んぁっ、気持ちいいっ…やばっ、あぁあぁぁっ」
下着をズラして横から2本指を入れて遊ばせる。
ぐちゃぬちゃと、粘り気ある水音が部屋に響くけれど、それは牡丹の声で掻き消される。
「あああっ、やぁっ…あ~っ…っ」
牡丹のナカがより一層、志賀の指を締め付けだすと彼は指をナカから抜き、ベタつく指も気にせず早急に服を全て脱いだ。
牡丹のびしゃびしゃに濡れて意味をなさなくなっている下着を引き抜き、痛いくらいに勃起して赤黒くなっている自身をそのまま入り口に擦り付ける。厭らしくぬちゃぬちゃと音がする。
「んぁっ、あぁっ…ね、はやく来て…?」
「…お望み通り」
「あぁぁあああっ、あんっ、一気にきたぁっ…」
「ははっ」
思わず笑ってしまうほどの快感が駆け抜ける。
纏わり付くナカの感触。目の前で乱れる女。ぬちゃぬちゃと響く卑猥な音。
「……動くぜ」
「あっ、あっ、ぁぁぁっだめぇぇっ」
「ダメじゃない。気持ちいい、だろ?」
「んぁッ、きもちいい…っ」
彼女の腰を掴み、腰を振る。
結合部がぶつかり合うことで、彼女の丸い胸も大きく揺れる。
「エッロ」
「ん、んんっ、ぁんっ、ああっ♡」
彼女からは色っぽい志賀の姿しか見えないが、志賀からは牡丹の揺れる豊満な胸も、ぐちゅぐちゅと音を立てる結合部もすべて見える。視界はピンク色のフィルターがかかったように、暴力的で美しい。
「あぁぁっそこばっか、だめっ」
「ここがイイんだろ?」
「やぁっ、よすぎるのぉッ♡あぁああっ」
「ナカすっげぇ締まる」
「んぁっ、だってぇ、あんっきもちいいあぁぁぁッ」
志賀は牡丹の両膝を自身の肩に乗せた。その為、より深くまで性器が突き刺さり、余計にナカは彼の精を搾り取ろうと蠢き、強い快感が2人を襲う。
「やっべ、…出るッ」
「えッ、ああぁっ、激しいのダメッ、イっちゃうのおぉぉぉ♡」
一層激しくなった抽送に、牡丹の口からはだらしなく涎が溢れる。
牡丹の身体の負担になりすぎないようにしつつも、志賀は上体をやや前のめりにして奥へ奥へ擦り付けるように腰を振る。
パンパンッと肉体がぶつかる音と、体液が混ざり合う音、そして牡丹の喘ぎ声が部屋に響く。
「あああぁぁッ、やっ奥…すきぃっ
あああぁぁあああああっ♡あっ、あぁあんっ…あ、奥あっつい…♡」
「…ッほら、たっぷり飲めよ」
志賀は牡丹の両膝を持って、より奥へ己を押し込みつつ精を吐き出す。
それを取りこぼさずすべて飲み込む様に牡丹のナカが蠢く。
「あぁあっ…いっぱい出てる…♡」
「…ハッ、止まんねぇ」
しばらくして、ようやく射精が治まったブツをナカなから引き抜くと、ドロリと精液が溢れてきた。
「…ナマでシて、中出ししちゃったぁ…」
牡丹が呟く。
会うのは2度目な素性も知らぬ男とセックスしてそのまま中出し。危険な行為であることは重々承知していたけれど、甘く痺れていた頭では避妊にまで意識が回らなかった。
「…アンタが望まねぇ限り"俺"との子は妊娠しねぇよ」
志賀はそういいながらも牡丹のお腹を撫でる。まるで既に腹の中に子が宿っているかのような慈しむ目をしていた。
「…そうなんですか?」
肩で息をしながら、ベッドの上で後処理もせずに喋る。
「ああ。なんたって俺は人間じゃねぇから」
「……やっぱりそうなんですね」
牡丹は、志賀と前回会ったときのことを思い出す。
シルクハットとマントと、仕立ては良いがまるでコスプレのような格好。噛み付かれ、血を吸われたこと。そして、12階のこの部屋から飛び降りビル街を飛び移っていたこと。
どう考えても人間ではない。吸血鬼の類いであることは、魑魅魍魎に明るくない牡丹でも容易に想像できた。
「…なんで、また会いにきたんですか」
「言ったろ?次はアンタを抱くって」
まさか本当に抱きに来るとは。
色っぽい表情と声に、勝手に牡丹の子宮が反応してキュンとする。
「そんな顔すんな、またヤりたくなる」
「…うん」
大きな手が、牡丹の頭を撫でる。
「もう遅いから、シャワー浴びておいで。
その間に軽い晩飯作っといてやるから」
視線を時計に移すと、時計の針は真夜中を指していた。
「…明日も早いんだった…」
ため息を吐くものの、そう簡単に現実は変わらないので、性行為後の気怠い身体を起こして牡丹はお風呂に向かう。
身体は重いし、明日の仕事を思うと気分も落ち込むけれど、内心会いたかった人に会えてそこまで嫌な気分ではなかった。
お風呂に向かう途中、脱ぎ捨てた洋服や下着も拾って洗濯機に押し込んだ。
今日はなにを作ってくれるんだろう、
そう考えると浴室までの足取りも軽くなったのであった。
まだ、胸の奥の小さな感情の芽には気付いていない。
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こちらの作品は、R18です。
苦手な方はご注意ください。
単品でも読めますが、血塗れのキスの続編になります。
図書館のかっこいい志賀直哉はいません。
没日会の吸血鬼さんです。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
「やっと消えてきたみたい…」
牡丹は、全身鏡の前に立って自分の姿を確認する。
彼女の鎖骨には、4つの点の傷痕がある。
「…血を吸われてイくなんて」
あの日の光景を思い出すだけで全身を一瞬駆け巡る快感。
歯を立てられた鎖骨に付いた痕は、あの日から1ヶ月以上経って漸く目立たないようになってきた。
突然、目を疑うようなイケメンに声をかけられ、しかもその初対面の男を自ら自宅に上げ、手料理を振舞われるだけでも現実離れし過ぎている。
その上、食事の後には強引にディープキスされたかと思うと鎖骨に歯を立てられ、血を吸われた。
注射は大の苦手なのに、あの男の吸血は気持ちよく、それだけで達してしまった。
信じられない出来事は、誰にも打ち明けられずに己の中で仕舞い込む。
忘れたくても、夢だと思いたくても、鎖骨に残る痕が、あの日の出来事を実際にあったものだと突きつける。
牡丹は、あの日から避けていた鎖骨の見える服を手にとり、着替える。
「…よし、これならわからないね」
鏡で念入りに自分の姿を確認して、鏡の前で笑顔を作ってみせる。
今日も穏やかに過ごせますように。
そう願って、お気に入りの香水をつけた。
「いってきます」
誰もいない部屋に向かって声を掛け、家を出る。
定時で上がろう。そう思って、出社するのだった。
「…絶対あのハゲ許さないから…!」
日没の時間もとっくに過ぎ、退勤したのは定時を大幅に過ぎた夜の9時。
牡丹は、明日出勤したら、今日散々な目に遭った原因であるハゲ上司に対し、いかに故意を感じさせずに嫌がらせという名の反撃をするか考えながら1人歩く。
街灯や深夜まで営業する店が比較的多く、舗装されて歩きやすい道。
それでも、女性が1人歩いて帰るには心許ない。
普段なら、少しの足音だって気付けるしふらっとコンビニに寄る振りをして逃げることもできる。
けれど、頭に血が上っている彼女は、自分の後ろにせまる足音になかなか気付かない。
「…あいつの机、使い古したボロ雑巾で拭いてやるんだから…!」
「牡丹」
「…え?」
夜道で背後から突然自分の名前を呼ぶ男の声。
一瞬、まさかいま考えていたハゲ上司かと思うが、自分のことを名字ではなく名前で呼ぶはずがないし、仮に呼ばれたら今までの恨みと一緒にセクハラとして上に相談に行ってやる。
それに、クソハゲ上司の声はこんなに若くない。
一体誰の声か分からず、嫌な汗が牡丹の額を伝う。
バクバクと心臓が鳴り、呼吸は無意識のうちに止まる。
ギギギ…と、壊れかけの玩具の様に少しだけ首を後ろに回して背後の人物の顔を視界に入れた。
「…あ…っ」
「久しぶりだな」
ぴたりとくっつくように立っていたのは、
彼女の鎖骨に噛み付いた男 志賀直哉だった。
×××
「なっ、なんでいるの…」
「アンタの血の味が忘れられなくてな」
街灯しかないほの暗い夜道でも、
志賀の顔の良さははっきりと分かるし、見せ付けるかのような舌舐めずりに牡丹はあの日のことを思い出してゾクリと背が粟立つのを感じた。
「とりあえず、帰ろうぜ」
志賀が男の色香の強い吸血鬼の顔を見せたのは一瞬で、場に似合わないようなカラッとした声で言う。
「…そうね」
牡丹は、ちらりと腕時計を見た。
早く帰って寝ないと、明日に響く。
×××
得体は知れないのに、1度身体を(血を?)許した好みの男のことを牡丹が警戒なんてするはずもなく、帰宅してさも当然かのように部屋に入れる。
志賀も、ここが自分の家だとでも言わんばかりに普通に部屋に上がるし、前回同様、しっかりと鍵とチェーンもした。
「腹、減ったろ?」
「…うん。でも、」
「なんだ、やけに赤いな」
「…そんなつもりじゃ。でも、身体が勝手に…」
前と同じように、キッチンに行こうとした志賀を牡丹は引き留める。
弱々しく彼の仕立ての良い服を引っ張り、身長差のせいで上目遣いで見詰める。
そんな牡丹を見て、志賀は口角をあげる。
牡丹が顔を赤らめ、膝を合わせてもじもじする理由を彼は知っている。
前回自分が唾液に混ぜて飲ませた麻酔。
彼女が痛がらない様にする為でもあったが、
媚薬効果が非常に強く快感を感じやすいこと。
そして、吸血鬼に血を吸われるたびに、その吸血鬼に対し劣情を抱く様になること。
規定量よりも多く媚薬効果のある麻酔を飲ませたのはもちろん故意であったが、たった1度しか血を吸っていない牡丹がわかりやすく効果を発揮しているのが志賀にとって非常に愉快だった。
「…あっ」
志賀は、右手を牡丹の後頭部を支え、
噛みつく様なキスをする。
ぺろりと唇を舐めれば、期待するかのように軽く開いている唇を割って舌を突っ込む。
「…んっ…ふぁ…っ」
左手は牡丹の腰に添え、自分の下半身とくっつける。
最初からそのつもりで家に上がったため、早速ゆるく主張し始めた股間を、わざと彼女の股間の辺りに押しつけてゆっくりと擦り付ける。
彼女の舌を捕まえて、吸い上げたり、また今回もさりげなく自身から自然に作られる媚薬効果のある唾液を彼女の口内に押し込んで飲ませる。
顔を赤くして、きゅっと目を瞑り、大人しく与えられる快感に身を委ねる牡丹。
これは前回より楽しめそうだと、志賀は内心笑う。
「…はっ…くるしい…」
やっと唇を離すと、顔を真っ赤にして目を潤ませた牡丹が志賀の顔を見詰める。
「襲って欲しいなら抱いてやるけど」
以前にも吐いた台詞を、わざとらしく耳元で言う。
「…っ、抱いて、欲しい…」
勿論、答えが否であっても抱くつもりであった。
志賀は、彼女を横抱きしてすぐそこのベッドまで運ぶ。
初めて横抱きされたらしい牡丹はあわあわしているが、そんなことは気にしない。
彼の脳内はどうやって彼女を快楽の海に沈めるかしかし頭にないのだ。
「直ぐにやるから、そんな物欲しそうな顔すんな」
「…そんなわけじゃ」
大きな瞳は潤み熱を持っているけれど、牡丹本人には自覚はない。
志賀は、牡丹にディープキスしながら手早くブラウスのボタンを外していく。
「んっ…ふぁっ」
「…」
そして、一度唇を離しボタンを全て外し終えたブラウスの前を開いて、思わず舌舐めずりした。
着痩せするタイプか、と思いつつも声には出さず、首筋やデコルテを舐めたり吸い上げたりする。
「…やっ、痕になる…」
「んー、嫌じゃないだろ」
「あっ…んんっ」
白い肌に軽く歯を立てると、分かりやすく反応する牡丹に気を良くし、思わずそのまま彼女の血を飲もうとしたが、その衝動をぐっと抑えて、予想よりもずっと豊満な胸を下着の上から胸を触る。
「…ひぁっ、擦れるのきもち、いいッ」
「下着の上からわかるくらい乳首立ってるぜ」
「んーッ、だって…!」
「ほら、背浮かせて」
「…ぁっ」
牡丹が背を軽く浮かせた瞬間に志賀はブラのホックを外す。そのままブラを抜き取り、牡丹に見せ付けるように自身の顔の高さまでモノを持ち上げてから床に落とす。
ハラリと下着が落ちる。金具が床に当たる音がした。
ちゅっ
既にツンと立った胸の頂にキスを落として、そのまま口に含む。ぺろりと舐めあげれば、過剰なまでに牡丹が反応する。
「ふぁッ、、あ…んんっ、それ好き…っ」
胸をわざと音を立てて吸ったり舐めたり甘噛みしながら、彼女のぐちゃぐちゃに濡れた下着のクロッチ部分を爪で引っ掻く。
「あ"っ、ぁあ…両方しちゃだめッ」
「ダメじゃない、気持ちいい、だろ?」
「んぁっ、気持ちいいっ…やばっ、あぁあぁぁっ」
下着をズラして横から2本指を入れて遊ばせる。
ぐちゃぬちゃと、粘り気ある水音が部屋に響くけれど、それは牡丹の声で掻き消される。
「あああっ、やぁっ…あ~っ…っ」
牡丹のナカがより一層、志賀の指を締め付けだすと彼は指をナカから抜き、ベタつく指も気にせず早急に服を全て脱いだ。
牡丹のびしゃびしゃに濡れて意味をなさなくなっている下着を引き抜き、痛いくらいに勃起して赤黒くなっている自身をそのまま入り口に擦り付ける。厭らしくぬちゃぬちゃと音がする。
「んぁっ、あぁっ…ね、はやく来て…?」
「…お望み通り」
「あぁぁあああっ、あんっ、一気にきたぁっ…」
「ははっ」
思わず笑ってしまうほどの快感が駆け抜ける。
纏わり付くナカの感触。目の前で乱れる女。ぬちゃぬちゃと響く卑猥な音。
「……動くぜ」
「あっ、あっ、ぁぁぁっだめぇぇっ」
「ダメじゃない。気持ちいい、だろ?」
「んぁッ、きもちいい…っ」
彼女の腰を掴み、腰を振る。
結合部がぶつかり合うことで、彼女の丸い胸も大きく揺れる。
「エッロ」
「ん、んんっ、ぁんっ、ああっ♡」
彼女からは色っぽい志賀の姿しか見えないが、志賀からは牡丹の揺れる豊満な胸も、ぐちゅぐちゅと音を立てる結合部もすべて見える。視界はピンク色のフィルターがかかったように、暴力的で美しい。
「あぁぁっそこばっか、だめっ」
「ここがイイんだろ?」
「やぁっ、よすぎるのぉッ♡あぁああっ」
「ナカすっげぇ締まる」
「んぁっ、だってぇ、あんっきもちいいあぁぁぁッ」
志賀は牡丹の両膝を自身の肩に乗せた。その為、より深くまで性器が突き刺さり、余計にナカは彼の精を搾り取ろうと蠢き、強い快感が2人を襲う。
「やっべ、…出るッ」
「えッ、ああぁっ、激しいのダメッ、イっちゃうのおぉぉぉ♡」
一層激しくなった抽送に、牡丹の口からはだらしなく涎が溢れる。
牡丹の身体の負担になりすぎないようにしつつも、志賀は上体をやや前のめりにして奥へ奥へ擦り付けるように腰を振る。
パンパンッと肉体がぶつかる音と、体液が混ざり合う音、そして牡丹の喘ぎ声が部屋に響く。
「あああぁぁッ、やっ奥…すきぃっ
あああぁぁあああああっ♡あっ、あぁあんっ…あ、奥あっつい…♡」
「…ッほら、たっぷり飲めよ」
志賀は牡丹の両膝を持って、より奥へ己を押し込みつつ精を吐き出す。
それを取りこぼさずすべて飲み込む様に牡丹のナカが蠢く。
「あぁあっ…いっぱい出てる…♡」
「…ハッ、止まんねぇ」
しばらくして、ようやく射精が治まったブツをナカなから引き抜くと、ドロリと精液が溢れてきた。
「…ナマでシて、中出ししちゃったぁ…」
牡丹が呟く。
会うのは2度目な素性も知らぬ男とセックスしてそのまま中出し。危険な行為であることは重々承知していたけれど、甘く痺れていた頭では避妊にまで意識が回らなかった。
「…アンタが望まねぇ限り"俺"との子は妊娠しねぇよ」
志賀はそういいながらも牡丹のお腹を撫でる。まるで既に腹の中に子が宿っているかのような慈しむ目をしていた。
「…そうなんですか?」
肩で息をしながら、ベッドの上で後処理もせずに喋る。
「ああ。なんたって俺は人間じゃねぇから」
「……やっぱりそうなんですね」
牡丹は、志賀と前回会ったときのことを思い出す。
シルクハットとマントと、仕立ては良いがまるでコスプレのような格好。噛み付かれ、血を吸われたこと。そして、12階のこの部屋から飛び降りビル街を飛び移っていたこと。
どう考えても人間ではない。吸血鬼の類いであることは、魑魅魍魎に明るくない牡丹でも容易に想像できた。
「…なんで、また会いにきたんですか」
「言ったろ?次はアンタを抱くって」
まさか本当に抱きに来るとは。
色っぽい表情と声に、勝手に牡丹の子宮が反応してキュンとする。
「そんな顔すんな、またヤりたくなる」
「…うん」
大きな手が、牡丹の頭を撫でる。
「もう遅いから、シャワー浴びておいで。
その間に軽い晩飯作っといてやるから」
視線を時計に移すと、時計の針は真夜中を指していた。
「…明日も早いんだった…」
ため息を吐くものの、そう簡単に現実は変わらないので、性行為後の気怠い身体を起こして牡丹はお風呂に向かう。
身体は重いし、明日の仕事を思うと気分も落ち込むけれど、内心会いたかった人に会えてそこまで嫌な気分ではなかった。
お風呂に向かう途中、脱ぎ捨てた洋服や下着も拾って洗濯機に押し込んだ。
今日はなにを作ってくれるんだろう、
そう考えると浴室までの足取りも軽くなったのであった。
まだ、胸の奥の小さな感情の芽には気付いていない。
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