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いろいろ
ゆめうつつ
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【中原中也】
今日も壺を持って散策に出かける。
私が会いたくてたまらない中原さんは、運良く中庭のベンチに腰掛けていた。
「なかは…」
「何、あれはな、空に吊るした銀紙じゃよ
こう、ボール紙をきって、それに銀紙を張る、
それを網か何かで、空に吊るし上げる、するとそれが夜になって、空の奥であのように光るのじゃ」
空を眺めながら呟く中原さん。
お酒でぐでんぐでんに酔っている印象が強いけれど、彼は繊細で綺麗な詩を詠む。
私は声を掛けることは出来ず、中原さんの紡ぐ詩を聞きながら、ゆっくりと彼に近付いていく。
彼の後ろで、彼の詩を独り占めしてしまう。
「…遠いには正に遠いが、そりゃ吊るし上げる時網を途方ものう長うしたからのことじゃ」
そして、彼の声に聞き入っていると、ついに詩は終わってしまった。
「ほら、感想聞かせろよ」
「!?」
中原さんがニヤリとして振り返る。
「居るのはバレバレなんだよ」
「中原さんの詩、どれも好きです」
「そうかい」
「私が初めて好きになった詩も、初めて買った詩集も、中原さんの物です」
そんな言葉に彼は気をよくし、
彼は私を誘って朝まで2人でお酒を呑みながら詩について語らった。
「うえぇ、2日酔い………」
翌日、助手の徳田さんに怒られた。
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【徳田秋声】
「へえ、こんなのあるんだ…」
私は、偶然インターネットで見つけたお酒を注文した。
×××
「届くの早かったな〜」
数日後、頼んでいた物が図書館に届いた。
「どうしようかな、泉さんや室生さんも呼んでもいいけど…」
届いた物を手に取りラベルを見ながら考える。金沢三文豪を呼ぶか、自然弓の面々を呼ぶか。
「…いや、辞めておこう」
これは、私と彼だけで頂いてしまおう。
受け取った物を自室に置いてから司書室に戻り、今日の助手に話しかける。
「徳田さん」
「どうしたんだい」
「今日の夜、空いてますか?」
「え、ああ、暇だけど」
「じゃあ、お風呂を済またら食堂に来てくださいね」
「?ああ、わかった」
助手である徳田さんに声を掛け、再び業務に戻る。
×××
早めに仕事を切り上げ、夕飯とお風呂を済ませる。自室に戻って例のブツを取り、食堂に向かう。
「あ、徳田さん。早かったですね」
「まあね。で、どうしたんだい、急に」
私は徳田さんの目の前に、手に持っていた物を置く。
「石川県オリジナルリンゴである『秋星』を使ったお酒を手に入れたので、一緒に呑みましょう!」
「……しゅう、せい……?」
「はい!秋星です!徳田秋声にちなんで名付けられた石川県産のリンゴがあるんです。
そのリンゴを使ったお酒です」
驚いた表情の徳田さんの前に、グラスを2つ置く。やっぱり最初の一口はストレートでしょ!
グラスにお酒を注ぎ、徳田さんに渡す。
「はい、呑みますよー!乾杯!」
「か、乾杯」
ドキドキしながらお酒を口に含む。
「わ、美味しいですね…飲みやすい」
「本当だ。リンゴの香りが広がって美味しい」
「バニラアイスに掛けても美味しそうですね…アイスあるかな」
「それにしても、僕の名前から名付けたリンゴがあるなんてね」
ストレートやバニラアイス掛けなど様々な方法で少しずつ飲み、ついでに大切に保管していた上等のワインやウイスキーなんかも栓を開けてしまう。
簡単なおつまみも作って、2人でお酒を楽しむ。
だいぶ酔いが回ってきたころに、徳田さんがとても嬉しそうにそう言った。
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【島崎藤村】
「あれ、島崎先生。どうしたんですか、そんな所で」
ある日、図書館外に用事がありエントランスまで来たら、島崎先生が1人で空を見上げていた。
「ああ、司書さん。空を、見ていたんだ。
…ところでもう夜だけど、これから用事?」
「はい。明日の昼に会合があるので、今から向かうんです。今日はホテルを取っていて、そちらで休みます」
「そっか…。帰って来たら、取材、させてね」
島崎先生は、血色のない顔に影が出来るくらいに長い睫毛に囲まれた、エメラルドグリーンに輝く瞳を細めて笑う。
「見て、星が綺麗だよ」
島崎先生に促されて、私も空を見上げる。
「わあ…」
都心にはない図書館。
今まで知らなかったが、空は満天の星空。
「あ、流星」
「本当だ」
一瞬、キラッと星が流れて落ちるのが見えた。
島崎先生はエントランスから1歩も出ず、対照的に私は1歩2歩と前へ出る。
「…いってらっしゃい」
「行ってきます。早く帰って来ますね」
「門にたち出でたゞひとり
人待ち顔のさみしさに…」
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【中原中也】
今日も壺を持って散策に出かける。
私が会いたくてたまらない中原さんは、運良く中庭のベンチに腰掛けていた。
「なかは…」
「何、あれはな、空に吊るした銀紙じゃよ
こう、ボール紙をきって、それに銀紙を張る、
それを網か何かで、空に吊るし上げる、するとそれが夜になって、空の奥であのように光るのじゃ」
空を眺めながら呟く中原さん。
お酒でぐでんぐでんに酔っている印象が強いけれど、彼は繊細で綺麗な詩を詠む。
私は声を掛けることは出来ず、中原さんの紡ぐ詩を聞きながら、ゆっくりと彼に近付いていく。
彼の後ろで、彼の詩を独り占めしてしまう。
「…遠いには正に遠いが、そりゃ吊るし上げる時網を途方ものう長うしたからのことじゃ」
そして、彼の声に聞き入っていると、ついに詩は終わってしまった。
「ほら、感想聞かせろよ」
「!?」
中原さんがニヤリとして振り返る。
「居るのはバレバレなんだよ」
「中原さんの詩、どれも好きです」
「そうかい」
「私が初めて好きになった詩も、初めて買った詩集も、中原さんの物です」
そんな言葉に彼は気をよくし、
彼は私を誘って朝まで2人でお酒を呑みながら詩について語らった。
「うえぇ、2日酔い………」
翌日、助手の徳田さんに怒られた。
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【徳田秋声】
「へえ、こんなのあるんだ…」
私は、偶然インターネットで見つけたお酒を注文した。
×××
「届くの早かったな〜」
数日後、頼んでいた物が図書館に届いた。
「どうしようかな、泉さんや室生さんも呼んでもいいけど…」
届いた物を手に取りラベルを見ながら考える。金沢三文豪を呼ぶか、自然弓の面々を呼ぶか。
「…いや、辞めておこう」
これは、私と彼だけで頂いてしまおう。
受け取った物を自室に置いてから司書室に戻り、今日の助手に話しかける。
「徳田さん」
「どうしたんだい」
「今日の夜、空いてますか?」
「え、ああ、暇だけど」
「じゃあ、お風呂を済またら食堂に来てくださいね」
「?ああ、わかった」
助手である徳田さんに声を掛け、再び業務に戻る。
×××
早めに仕事を切り上げ、夕飯とお風呂を済ませる。自室に戻って例のブツを取り、食堂に向かう。
「あ、徳田さん。早かったですね」
「まあね。で、どうしたんだい、急に」
私は徳田さんの目の前に、手に持っていた物を置く。
「石川県オリジナルリンゴである『秋星』を使ったお酒を手に入れたので、一緒に呑みましょう!」
「……しゅう、せい……?」
「はい!秋星です!徳田秋声にちなんで名付けられた石川県産のリンゴがあるんです。
そのリンゴを使ったお酒です」
驚いた表情の徳田さんの前に、グラスを2つ置く。やっぱり最初の一口はストレートでしょ!
グラスにお酒を注ぎ、徳田さんに渡す。
「はい、呑みますよー!乾杯!」
「か、乾杯」
ドキドキしながらお酒を口に含む。
「わ、美味しいですね…飲みやすい」
「本当だ。リンゴの香りが広がって美味しい」
「バニラアイスに掛けても美味しそうですね…アイスあるかな」
「それにしても、僕の名前から名付けたリンゴがあるなんてね」
ストレートやバニラアイス掛けなど様々な方法で少しずつ飲み、ついでに大切に保管していた上等のワインやウイスキーなんかも栓を開けてしまう。
簡単なおつまみも作って、2人でお酒を楽しむ。
だいぶ酔いが回ってきたころに、徳田さんがとても嬉しそうにそう言った。
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【島崎藤村】
「あれ、島崎先生。どうしたんですか、そんな所で」
ある日、図書館外に用事がありエントランスまで来たら、島崎先生が1人で空を見上げていた。
「ああ、司書さん。空を、見ていたんだ。
…ところでもう夜だけど、これから用事?」
「はい。明日の昼に会合があるので、今から向かうんです。今日はホテルを取っていて、そちらで休みます」
「そっか…。帰って来たら、取材、させてね」
島崎先生は、血色のない顔に影が出来るくらいに長い睫毛に囲まれた、エメラルドグリーンに輝く瞳を細めて笑う。
「見て、星が綺麗だよ」
島崎先生に促されて、私も空を見上げる。
「わあ…」
都心にはない図書館。
今まで知らなかったが、空は満天の星空。
「あ、流星」
「本当だ」
一瞬、キラッと星が流れて落ちるのが見えた。
島崎先生はエントランスから1歩も出ず、対照的に私は1歩2歩と前へ出る。
「…いってらっしゃい」
「行ってきます。早く帰って来ますね」
「門にたち出でたゞひとり
人待ち顔のさみしさに…」
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