四軒茶屋の路地裏にある喫茶店ルブラン。
そこでは、一人の少女がお皿を洗ったりしている。カウンター席には、マスターのような人が腰を掛けている。

お客さんは、コーヒーを飲みながらテレビを見てのんびりしている。

すると、カランカランと音を立てて扉が開く。

扉の開いた方を見た少女は、声をかける。

少女「いらっしゃいませ。」

声をかけた先にいたのは、制服を着た青年だった。

それを見て、マスターである男性は青年に声をかけた。

マスター「あっ、そうか。今日だったな」

すると、お客さんは

客「ごちそうさん、お代ここに置いとくよ。」

マスター「まいど。」

客はテーブルにおいて店を出て行った。

マスター「コーヒー、一杯で4時間かよ。」

テーブルの食器とお代を取りに来た少女は苦笑した。

マスター「お前が、来栖暁？」

来栖暁と呼ばれた青年は、頷き言った。

暁「世話になりたい。」

マスター「ふうん。佐倉惣治郎だ。お前を一年間預かることになってる。どんな悪ガキが来るかと思ったら、お前とはねぇ…まぁ、ついてこい」

惣治郎は、そう言うと暁を連れて二階へ上がっていった。

少しすると、惣治郎が降りてきた。

惣治郎「夢、あとは色々頼めるか？」

夢と呼ばれた少女は、頷き微笑んだ。

「うん、大丈夫。任せて、惣治郎さんはもう上がってください。明日、彼を学校に連れて行かなきゃなんでしょ？」

そう言うと、惣治郎は苦笑しながらありがとなと言って店を出た。

惣治郎が出てから、することの無くなった夢は、カウンター席で本を読んでいた。

すると、暁が降りてきた。

暁「あの、君。」

夢は、ハッとして彼の方を見た。

「あっ、えっと…来栖くんだよね？」

そう問うと、暁は頷いた。

「えっと…私は、冬咲 夢って言います。よろしくね？」

夢がそう言いながら微笑んだ。

暁「あぁ、よろしく。」

二人は挨拶をし終えたあと沈黙してしまった。

「あっ、そうだ。夕飯まだでしょ？惣治郎さんに任されてるから。夕飯、食べない？」

夢は、暁をカウンター席に座るように促した。

暁「冬咲さんは、帰らなくていいの？」

そう、問う暁にカレーをよそっていた夢は言った。

「うん、大丈夫。私、すぐ近くだから。このルブランのほぼ真裏なの。だから、いいの。」

そう言い、カレーを彼の前に置いた。

暁「あっ、ありがとう。いただきます。」

そう言って、暁はカレーを食べ始めた。

数分たち、カレーを食べ終えた暁と夢は連絡先を交換し少し話していた。

「前科持ち…かぁ。来栖くんは、そんな人じゃないよ。優しい人…私、来栖くんの味方だからね」

そう、微笑むと彼もつられて微笑んだ。

暁「そろそろ、帰ったほうがいい。暗いし」

そう言うと、夢はあっ、と言って扉の前へ

「えっと…来栖くん。あとで、連絡してもいいかな？」

そう、恥ずかしそうに言うと暁は頷いた。

「ありがとう。じゃあ、月曜に！」

そう言って、彼女は家へと帰って行った。





2人の出会いは珈琲の香りに包まれていた。