「ルビウス君、こんにちは」
「おお、リディアか。今日は弁当持参か？」
「うん。大きくなりたいの」
「そうか。成果は出ちょるか？」
「ううん、まだ」

ルビウス君はあたしの横にどっかりと腰掛けると、「俺もええか」とバスケットに手を伸ばす。あたしはそれを彼の方に押して、いいよの気持ちを示した。

「ゆっくりでいい。そのうちでかくなれる」

バスケットから取り出したリンゴをかじりながら、ルビウス君は言う。

「どうかなあ」
「小ちゃいまんまのやつはおらん。いつかそのうちでかくなれる」

ルビウス君は大きな声で笑って、「俺も随分待っちょるが、ウサギには出会えんしな」とウインクした。あたしはその言葉になんとなく励まされて、「頑張るね」と言った。

「それに、実はな」
「実は？」
「その、言いにくいけどな、実はおふくろが巨人でな。でっかいのはそのせいだ」
「じゃあ、ルビウス君は巨人なの？」
「いやいや、俺は半巨人。半分は人間さ」
「そうなの？すごいね」
「すごかぁない」
「だって、どっちもなんでしょ？」
「どっちも？」
「魔法使いと、巨人の」
「まあ、そうとも言えんこたぁない」
「あたしは分かんないんだ」
「親が？」
「うん」
「そうかあ」

ルビウス君はうんうん唸ると、はっとした顔をして、「占い学の先生に聞いたらええ！リディアは三年生だから、誰か友達が取っとるはずだ！」とあたしの肩を掴んだ。あたしは名案にうきうきしてしまう。

「そっか！考えたこともなかったよ、ありがとう、ルビウス君！」
「なーに、お役に立てたなら幸いっちゅうことだ！」

いいことを聞いてしまった。あたしは誰が占い学を取っていたか、必死で思い出していた。