女教皇
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「あれ?」
「どうしたの?」
「なんかつっかえたの」
薬草学の教室でのできごと。隣に座っているブリアナがあたしの言葉に首をかしげる。反対隣のキャシーは「何か入っているんじゃない?」とあたしが座っている机の引き出しを漁りだした。ほらね、と取り出したのは一冊の本。
「あら、忘れ物か」
「そうみたい」
あたしはなんとなくその本を受け取った。持ち主に届けるのががこの次の時間同じ席に座った人の責任なような気がしたのだ。キャシーもきっと、なんとなくそうあるべきって思ったのだろう。なんの疑問も持たずあたしが差し出した手にその本を乗せた。
その瞬間、目の前が暗転した。
あたしは、本屋さんにいた。見慣れた、動く気配のないおとなしい本たち。ここはきっと魔法使い向けではない方の本屋さんなのだ。あたしはきょろきょろ周りを見渡す。何も行動を起こさない本たちに、なにも警戒せずそれを手に取る人々にわくわくしてしまう。いいのかな、大丈夫なのかな。好奇心に勝てなくて、ついつい手近にあった本を持ち上げた。本はなんの抵抗もなくあたしにされるがままになっている。すごいや。ホントになにも起こらないんだ。
「それが気に入ったの?」
派手な、それこそ普通の人は着ないような色の服を着た女の人が声をかける。あたしは慌ててそれを棚に戻す。違うのママ、触ってみたくなっちゃったの。ごめんなさい。女の人は微笑んで、買わないなら触っちゃ駄目よ、と言った。あたしは頷く。
またきょろきょろ本を見ていると、ふと一冊の画集が目に入った。思わず手に取る。植物図鑑のようだった。ようだ、っていうのはつまり、載っている植物が全部写真ではなく絵だったから。でも、とても細かいところまで描いてあったので、そのまま図鑑にできそうなくらいだった。すごいなぁ。あたしはどんどんページをめくる。この人はきっと植物が大好きなんだ。その気持ちが本を通して伝わってくるようで、あたしは心に温かいものが流れてくるのを感じながらページをめくる。さっきの、派手な女の人がもう一度同じ問いかけをした。あたしは今度は大きく頷いた。
瞬きの直後、ブリアナがあたしの目の前で手を振っているのに気づいた。あたしは手を振り返しながら、さっき流れ込んできた記憶について考えた。この本の持ち主の人は、きっとこの本が大切なんだな。無くしたら悲しい気持ちなんじゃないかしら。今頃探し回ってないかな。授業に集中できてなくて、先生に叱られてしまうかも。
なんといっても、ママに買ってもらった大切な本なんだから。
あたしは「おーい、大丈夫ー?」と声をかけてくれるブリアナにもう一度手を振って、ミスタ・ロバートソンにこの授業の前はどのクラスが授業を受けていたか聞きに行く。グリフィンドールとレイブンクローだそうだ。
あたしはわくわくした気持ちで授業を受けた。これが終わったらこの本の持ち主を探しに行くのだ!
「どうしたの?」
「なんかつっかえたの」
薬草学の教室でのできごと。隣に座っているブリアナがあたしの言葉に首をかしげる。反対隣のキャシーは「何か入っているんじゃない?」とあたしが座っている机の引き出しを漁りだした。ほらね、と取り出したのは一冊の本。
「あら、忘れ物か」
「そうみたい」
あたしはなんとなくその本を受け取った。持ち主に届けるのががこの次の時間同じ席に座った人の責任なような気がしたのだ。キャシーもきっと、なんとなくそうあるべきって思ったのだろう。なんの疑問も持たずあたしが差し出した手にその本を乗せた。
その瞬間、目の前が暗転した。
あたしは、本屋さんにいた。見慣れた、動く気配のないおとなしい本たち。ここはきっと魔法使い向けではない方の本屋さんなのだ。あたしはきょろきょろ周りを見渡す。何も行動を起こさない本たちに、なにも警戒せずそれを手に取る人々にわくわくしてしまう。いいのかな、大丈夫なのかな。好奇心に勝てなくて、ついつい手近にあった本を持ち上げた。本はなんの抵抗もなくあたしにされるがままになっている。すごいや。ホントになにも起こらないんだ。
「それが気に入ったの?」
派手な、それこそ普通の人は着ないような色の服を着た女の人が声をかける。あたしは慌ててそれを棚に戻す。違うのママ、触ってみたくなっちゃったの。ごめんなさい。女の人は微笑んで、買わないなら触っちゃ駄目よ、と言った。あたしは頷く。
またきょろきょろ本を見ていると、ふと一冊の画集が目に入った。思わず手に取る。植物図鑑のようだった。ようだ、っていうのはつまり、載っている植物が全部写真ではなく絵だったから。でも、とても細かいところまで描いてあったので、そのまま図鑑にできそうなくらいだった。すごいなぁ。あたしはどんどんページをめくる。この人はきっと植物が大好きなんだ。その気持ちが本を通して伝わってくるようで、あたしは心に温かいものが流れてくるのを感じながらページをめくる。さっきの、派手な女の人がもう一度同じ問いかけをした。あたしは今度は大きく頷いた。
瞬きの直後、ブリアナがあたしの目の前で手を振っているのに気づいた。あたしは手を振り返しながら、さっき流れ込んできた記憶について考えた。この本の持ち主の人は、きっとこの本が大切なんだな。無くしたら悲しい気持ちなんじゃないかしら。今頃探し回ってないかな。授業に集中できてなくて、先生に叱られてしまうかも。
なんといっても、ママに買ってもらった大切な本なんだから。
あたしは「おーい、大丈夫ー?」と声をかけてくれるブリアナにもう一度手を振って、ミスタ・ロバートソンにこの授業の前はどのクラスが授業を受けていたか聞きに行く。グリフィンドールとレイブンクローだそうだ。
あたしはわくわくした気持ちで授業を受けた。これが終わったらこの本の持ち主を探しに行くのだ!