吊るされた男
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リドル君との出会いはとても殺伐としていたように思う。その頃のあたしはまだ白馬に乗った王子様を信じてるような可愛い女の子だったから、その頃からハンサムの頭角を現していた――つまり見た目で言えば最高の王子様だった――リドル君の言動は私を傷付けた。
「リドル君、怪我してる」
「だから何?」
「ミセス・コールの所に行かないと」
「嫌だ」
「でも、放っておくとバイ菌が入ってそれはそれはひどい事になるってミセス・コールが」
おろおろとしていたあたしに対して、リドル君は短く「煩い」とだけいった。冷たい目とお口だった。これ以上何か言えば酷い目に合うぞ、と、無言で圧力を掛けてきたリドル君に対して、私はどうする事も出来ずに立ち尽くす。しかし、それさえ邪魔らしい。あたしは睨まれる。リドル君に嫌われると原因不明の酷い目に合うのは鈍臭いあたしでも知っていたので、あたしのおろおろはよりひどくなっていった。
あたしは愚鈍だと馬鹿にされる女の子で、リドル君は気味が悪いと避けられる男の子だった。
「あっちに行け」
「駄目」
「何で」
「ええと」
なんでだっけ。あたしは一瞬迷ったけど、すぐに思い出す。そうだ、用事があったんだ。
「ウサギのぬいぐるみ、返してほしくて」
「あれは、レナが僕を馬鹿にするから!」
「うん、知ってる」
そう言うと、リドル君は目を丸くした。私は慌てて「レナ、泣いてたから」と言ったけど、それは彼にとっていいニュースじゃなかったようで。彼はキッと目を吊り上げて「僕が悪いって言うのか」と怒った声を出した。私は慌てて首を振る。
「違うよ。リドル君が怒るの仕方がないよ。あたしだって馬鹿にされたら悲しいもん」
「お前は…のろいから」
「えっ」
突然ひどい事を言われてしまったあたしは、思わず俯いた。悲しくて涙が溢れてきそうになるけど、今泣くのは嫌だったのでぐっと手の平で両目を抑えた。
「泣くなよ」
「…泣いてない」
「何だよ」
リドル君が歩み寄ってくるのを感じたので、慌てて手を離して泣いてない事をアピールしようとした。でも、その前にリドル君の血が滲んだ膝小僧が目に入ってしまって、あたしは思わず「痛そう」と口に出す。
「痛くない」
「本当?」
あたしはしゃがんで彼の怪我をまじまし観察する。すると、リドル君はたじろいで、じり、と後ろに下がった。
「本当にミセス・コールの所へは行かないの?」
「行かない」
「そっか」
あたしは頷いて、リドル君の膝小僧に片付けした。
「うわっ?!」
「おまじない。こうするとすぐに治るんだって、ママが」
「……なんだよっ!」
リドル君はそれだけ言って走り去ってしまった。あたしは驚いて、ただその背中を見送った。
「リドル君、怪我してる」
「だから何?」
「ミセス・コールの所に行かないと」
「嫌だ」
「でも、放っておくとバイ菌が入ってそれはそれはひどい事になるってミセス・コールが」
おろおろとしていたあたしに対して、リドル君は短く「煩い」とだけいった。冷たい目とお口だった。これ以上何か言えば酷い目に合うぞ、と、無言で圧力を掛けてきたリドル君に対して、私はどうする事も出来ずに立ち尽くす。しかし、それさえ邪魔らしい。あたしは睨まれる。リドル君に嫌われると原因不明の酷い目に合うのは鈍臭いあたしでも知っていたので、あたしのおろおろはよりひどくなっていった。
あたしは愚鈍だと馬鹿にされる女の子で、リドル君は気味が悪いと避けられる男の子だった。
「あっちに行け」
「駄目」
「何で」
「ええと」
なんでだっけ。あたしは一瞬迷ったけど、すぐに思い出す。そうだ、用事があったんだ。
「ウサギのぬいぐるみ、返してほしくて」
「あれは、レナが僕を馬鹿にするから!」
「うん、知ってる」
そう言うと、リドル君は目を丸くした。私は慌てて「レナ、泣いてたから」と言ったけど、それは彼にとっていいニュースじゃなかったようで。彼はキッと目を吊り上げて「僕が悪いって言うのか」と怒った声を出した。私は慌てて首を振る。
「違うよ。リドル君が怒るの仕方がないよ。あたしだって馬鹿にされたら悲しいもん」
「お前は…のろいから」
「えっ」
突然ひどい事を言われてしまったあたしは、思わず俯いた。悲しくて涙が溢れてきそうになるけど、今泣くのは嫌だったのでぐっと手の平で両目を抑えた。
「泣くなよ」
「…泣いてない」
「何だよ」
リドル君が歩み寄ってくるのを感じたので、慌てて手を離して泣いてない事をアピールしようとした。でも、その前にリドル君の血が滲んだ膝小僧が目に入ってしまって、あたしは思わず「痛そう」と口に出す。
「痛くない」
「本当?」
あたしはしゃがんで彼の怪我をまじまし観察する。すると、リドル君はたじろいで、じり、と後ろに下がった。
「本当にミセス・コールの所へは行かないの?」
「行かない」
「そっか」
あたしは頷いて、リドル君の膝小僧に片付けした。
「うわっ?!」
「おまじない。こうするとすぐに治るんだって、ママが」
「……なんだよっ!」
リドル君はそれだけ言って走り去ってしまった。あたしは驚いて、ただその背中を見送った。