愚者
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きっと魔法使いは物語に出てくるのと同じ、あたしたちと違う残酷な生き物なんだ。
だって生きたムカデをそのまま鍋になんて、ひどすぎる!
「リディア、大丈夫?」
「も、むり……」
心配してくれるルーシーの手にはもう魔法薬の完成品が握られていたので、あたしは彼女はムカデを鍋に入れられたのだとわかった。ルーシーも魔法使いの一人らしい。
「目を瞑って入れるといいよー」
「そもそも生きたムカデを掴むのがキツイんだよね、わかるよリディア」
ブリアナとキャシーは両親の片方が普通の人間だから、ルーシーと違ってあたしの気持ちを理解できるそうだ。ただ、二人とも半分魔法使いな訳で、やっぱりちゃんと魔法薬を作り上げている。
あんまりだ。
あたしはうごうごとガラス皿の中を動き回るムカデを眺める。規則正しく動く脚がすごく気持ち悪い。
ああでもこのムカデにも家族がいるんだきっと。あたしは本当の家族は知らないけど、もしかしたらこのムカデの子どもは今頃「おかあさんはどんな気持ちであたしをおいていってしまったんだろう」って思ってるかも。
なんてことだ。逃がしてあげなきゃ。
あたしはそっとお皿を傾けた。机に触れたお皿のふちからそろりと這い出るムカデを見送った。あたしの成績は気にせず、子どもと元気でね。
「あ、逃げたよ」
なんてことだ。さっそくブリアナに捕まるなんて。
「ブリアナ、そのまま入れたげて」
「わかったー!」
「あー!!」
ぽちゃん、じゅうう。
ムカデが煮える音がした。
しんと静まる教室の中、恐る恐る鍋を覗き見ると、ムカデは小さく丸まっていてかわいそうになったが、みるみるうちに色を変えていく中身に感動してしまう自分もいて、あたしは複雑な気持ちがした。
「どうしたね、ミス・ローリング?」
「ムカデが……鍋の中に……」
「あぁ……早く慣れるといいな」
あたしと先生の会話から少し遅れて、皆の笑い声。あたしの悲鳴はあたしが思ったよりもずっと大きかったみたいだ。ちょっと恥ずかしい。
あたしは仕方がなくムカデが溶けてなくなった鍋をじっと見つめた。
だって生きたムカデをそのまま鍋になんて、ひどすぎる!
「リディア、大丈夫?」
「も、むり……」
心配してくれるルーシーの手にはもう魔法薬の完成品が握られていたので、あたしは彼女はムカデを鍋に入れられたのだとわかった。ルーシーも魔法使いの一人らしい。
「目を瞑って入れるといいよー」
「そもそも生きたムカデを掴むのがキツイんだよね、わかるよリディア」
ブリアナとキャシーは両親の片方が普通の人間だから、ルーシーと違ってあたしの気持ちを理解できるそうだ。ただ、二人とも半分魔法使いな訳で、やっぱりちゃんと魔法薬を作り上げている。
あんまりだ。
あたしはうごうごとガラス皿の中を動き回るムカデを眺める。規則正しく動く脚がすごく気持ち悪い。
ああでもこのムカデにも家族がいるんだきっと。あたしは本当の家族は知らないけど、もしかしたらこのムカデの子どもは今頃「おかあさんはどんな気持ちであたしをおいていってしまったんだろう」って思ってるかも。
なんてことだ。逃がしてあげなきゃ。
あたしはそっとお皿を傾けた。机に触れたお皿のふちからそろりと這い出るムカデを見送った。あたしの成績は気にせず、子どもと元気でね。
「あ、逃げたよ」
なんてことだ。さっそくブリアナに捕まるなんて。
「ブリアナ、そのまま入れたげて」
「わかったー!」
「あー!!」
ぽちゃん、じゅうう。
ムカデが煮える音がした。
しんと静まる教室の中、恐る恐る鍋を覗き見ると、ムカデは小さく丸まっていてかわいそうになったが、みるみるうちに色を変えていく中身に感動してしまう自分もいて、あたしは複雑な気持ちがした。
「どうしたね、ミス・ローリング?」
「ムカデが……鍋の中に……」
「あぁ……早く慣れるといいな」
あたしと先生の会話から少し遅れて、皆の笑い声。あたしの悲鳴はあたしが思ったよりもずっと大きかったみたいだ。ちょっと恥ずかしい。
あたしは仕方がなくムカデが溶けてなくなった鍋をじっと見つめた。