魔術師
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
思わず立ち尽くす。あたしが縦に三人くらい並んでも通れちゃう様な大きなドアをくぐれば、そこはキラキラ輝くローソクが浮かぶ広い部屋。奥のテーブルに腰かけている人も四つ並んだ長いテーブルで騒ぎ立てている人も皆が皆、あたしがついさっき汽車の中で着替えたばかりの真っ黒なローブと同じのを着ているのを見て、胸が高鳴る。
ああ、あたしは今、魔法使いの世界にいるんだ。
リドル君を見ると、きっとあたしも同じ表情をしているのだろう、彼も気色ばんだ頬を緊張で少しだけ強ばらせてこちらを見た。二人で小さく頷いて、あたし達は手を繋ぐ。
「さあ新たなる魔法使いの皆様、どうぞ中へ」
ちょっと気取った様子の、聞き覚えのある声。顔を上げるとそれは案の定ミスタ・ダンブルドアで、あたしは嬉しくなった。手を振ろうとしたけど、リドル君に中へと引っ張られてそれはかなわなかった。それでも気付いてくれたミスタ・ダンブルドアがあたしにウインクしてくれたから、いいんだけど。
「リドル君、リドル君」
「……ああ」
凄いね、なんて言う必要もなく伝わったみたいで、彼は頷いた。中に入って初めて気付いたけど、天井には空が広がっていたのだ。
「君達はいつも新しい発見があるようで何よりだね」
「あ、アブラクサス君。後ろにいたならもっと早くに声をかけてくれれば良かったのに」
「お前か。後ろにいたならひっそりと息を潜めていないフリをしていてくれて良かったんだが」
「相変わらずだね、君達ってさ」
「そうかなぁ?」
アブラクサス君は大げさに肩を竦める。リドル君はそれを見て大きな舌打ちをして、そっぽを向いた。リドル君ってなんで彼に対してこんなに失礼なんだろう。
一番前のテーブルで立ち上がる人物。堅苦しい挨拶の言葉を語る彼に目を向ける。言葉によれば、彼はアーマンド・ディベット校長先生らしい。なるほど、確かにテーブルの真ん中で偉そうだ。
長い挨拶の後、彼はテーブルに置いてあったとんがり帽子を取り上げた。
「皆どうやって組分けをするのか大いに気になっていることでしょう。なに、難しい試練は何もありません。我々は昔より全てをこの組分け帽子に任せております。この組分け帽子こそが――」
また長い話になるなぁ。そう思ったのはあたし達だけではなかったらしい。なんという事だろう。制止の言葉を掛けたのはまさかの帽子だった。この世界の帽子は生き物なのか。
難しい世界だ。
「アーマンドの言う通り!何も難しい事はない、この私に総て委ねてくれ。君達が七年間過ごすのにぴったりの寮を決めよう。さぁ――」
歌い出した帽子にひたすら驚いていたあたしは、手をぎゅっと握られて我にかえる。
「リドル君?」
「何だ」
「どうしたの?」
「は?」
「え?」
「お前がどうしたんだ」
「だって、リドル君が手を握ってきたから」
「手?ずっと握ってたじゃないか」
「うん?そうじゃなくてね……」
「アーロン・リー。前へ」
女の先生が一年生の名前を呼んだので、あたし達の話はうやむやになった。
ああ、あたしは今、魔法使いの世界にいるんだ。
リドル君を見ると、きっとあたしも同じ表情をしているのだろう、彼も気色ばんだ頬を緊張で少しだけ強ばらせてこちらを見た。二人で小さく頷いて、あたし達は手を繋ぐ。
「さあ新たなる魔法使いの皆様、どうぞ中へ」
ちょっと気取った様子の、聞き覚えのある声。顔を上げるとそれは案の定ミスタ・ダンブルドアで、あたしは嬉しくなった。手を振ろうとしたけど、リドル君に中へと引っ張られてそれはかなわなかった。それでも気付いてくれたミスタ・ダンブルドアがあたしにウインクしてくれたから、いいんだけど。
「リドル君、リドル君」
「……ああ」
凄いね、なんて言う必要もなく伝わったみたいで、彼は頷いた。中に入って初めて気付いたけど、天井には空が広がっていたのだ。
「君達はいつも新しい発見があるようで何よりだね」
「あ、アブラクサス君。後ろにいたならもっと早くに声をかけてくれれば良かったのに」
「お前か。後ろにいたならひっそりと息を潜めていないフリをしていてくれて良かったんだが」
「相変わらずだね、君達ってさ」
「そうかなぁ?」
アブラクサス君は大げさに肩を竦める。リドル君はそれを見て大きな舌打ちをして、そっぽを向いた。リドル君ってなんで彼に対してこんなに失礼なんだろう。
一番前のテーブルで立ち上がる人物。堅苦しい挨拶の言葉を語る彼に目を向ける。言葉によれば、彼はアーマンド・ディベット校長先生らしい。なるほど、確かにテーブルの真ん中で偉そうだ。
長い挨拶の後、彼はテーブルに置いてあったとんがり帽子を取り上げた。
「皆どうやって組分けをするのか大いに気になっていることでしょう。なに、難しい試練は何もありません。我々は昔より全てをこの組分け帽子に任せております。この組分け帽子こそが――」
また長い話になるなぁ。そう思ったのはあたし達だけではなかったらしい。なんという事だろう。制止の言葉を掛けたのはまさかの帽子だった。この世界の帽子は生き物なのか。
難しい世界だ。
「アーマンドの言う通り!何も難しい事はない、この私に総て委ねてくれ。君達が七年間過ごすのにぴったりの寮を決めよう。さぁ――」
歌い出した帽子にひたすら驚いていたあたしは、手をぎゅっと握られて我にかえる。
「リドル君?」
「何だ」
「どうしたの?」
「は?」
「え?」
「お前がどうしたんだ」
「だって、リドル君が手を握ってきたから」
「手?ずっと握ってたじゃないか」
「うん?そうじゃなくてね……」
「アーロン・リー。前へ」
女の先生が一年生の名前を呼んだので、あたし達の話はうやむやになった。