運命の輪
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「それで、その後は?」
レナの問いかけに、あたしは頷いて続きを話す。
「その後は、アブラクサス君のパパとママがアブラクサス君を迎えに来たの。リドル君は凄く二人の事睨んでたんだけど、二人は全然気にしなくってね、にこにこ笑いながらあたし達の教科書だからどうぞって、教科書くれた。あと、このお菓子も二人がくれたんだよ」
「……なーんか、変な家族ね」
「アブラクサス君は物知りでいい人だよ?」
「リディアは人をシンライし過ぎなのよ」
いつか騙されても知らないわよ!って、レナはまた一つ百味ビーンズを口に含む。途端に顔をしかめ、何この味って吐き出した。
「そもそも魔法使いになれるなんて言われて信じちゃうし!……そりゃあ、アンタの大好きなリドル君なら確かに怪しげな魔法とか使えそうだけど、リディアなんて魔法どころか私がいないとぼけぼけで何も出来ないじゃないの!」
「レナ、ヒドイよ」
あたしは悲しい気分になったので、とりあえず一粒百味ビーンズを口に入れる。じゃがいも味なんて作らなくていいのに。味を紛らわそうともう一つ口に入れたら、それはバター味だった。なんて事だ、じゃがバター味になるなんて。
「とにかく、リディアはもっと人を疑って頂戴!」
「うーん」
皆いい人だと思うよ?と言ったらおでこを小突かれてしまった。リドル君やストラスもそうだけど、レナも中々手が出るのが早い。
「私は貴女が心配」
「心配?」
「えぇ、心配よ。トムも前に来たおじいさんもマルフォイ一家も何考えてるかわかんないもの。時々あのフクロウも何か企んでるみたいに見えるし」
「ね、レナ、皆いい人なんだよ?ホントに。それに、あたしはレナの事も心配」
「私が?」
「うん」
「どうして」
レナは百味ビーンズを二三個口に入れて、複雑な顔をして問うた。きっと色々混ざっちゃったんだろう。これからホグワーツに行っても百味ビーンズを買うのはやめておこう。
「ねぇ、リディア?」
「あ、ごめん」
「もう。自分が言い始めたんでしょ?」
「うん。えぇと、あたしが心配なのはね、レナが寂しくないかって事」
「寂しい?リディアがいなくて?」
「うん」
「そんな訳無いでしょ?いい?離ればなれになるのはね、ここにいる子供のシュクメイなの。私達はいつかここを離れて家族を作って幸せになるんだから」
「ね、レナ。あたしはベニーが行っちゃった時も寂しかったよ。きっとベニーも寂しかったと思う。隣にいたハズの人がいなくなるのが寂しくない人なんていないから」
だから、あたしはレナが心配。そう言ったら、レナは笑った。いつも通りに優しく、ちょっと気取った様子で笑って、「夏休みには帰ってくるって、貴女自分で言ったわ」って言った。
「貴女ぼけぼけだけど、嘘はつかないでしょ?寂しくなんかないわ」
レナはあたしの両頬にキスをして、また笑った。あたしはなんだかとても悲しくなって、ついに泣いてしまった。
「ね、レナ。夏休みは魔法のお土産買って帰ってくるからね。待っててね」
めそめそ泣いているあたしの頭を、レナの温かい手が優しく撫でた。