運命の輪
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そろそろ疲れてきたあたしたちは、口数も少なくダイアゴン横丁を歩いていた。後は本を買えばいいだけなんだけど、これから一番重いのが増えると思うとユーウツだ。
「あ」
「あ?」
あたしが立ち止まると、リドル君も立ち止まる。そして、ストラスと一緒に私が見ている方を見た。
「おや、下らないマルフォイ家がお揃いで」
「おーい!アブラクサスくーん!」
「な、ちょ、やめろ!」
慌ててあたしを止めようとするリドル君には申し訳無いけれど、アブラクサス君はこっちを見て、お父さんとお母さんの方を見て、三人でこっちにやって来た。
「さっきぶりだね、アブラクサス君」
「ふむ……彼らかね、お前がさっき話していたのは?」
「うん、パパ」
「成る程……君達、名前は?」
「リディア・ローリングです。……えと、こっちはリドル君で、こっちがストラス」
だんまりを決め込んでそっぽを向くリドル君の代わりに、あたしはそう言った。ストラスもきっと後ろを向いているのだろう、上の方にしっぽが見える。
「ほう、リディア・ローリング」
ミスタ・マルフォイは目を細めてリドル君を見る。あたしは二人の間に怖い空気が漂うのを感じてリドル君の方に逃げた。
「トム・マールヴォロ・リドル」
しばらくして、リドル君はそう言った。すると、ミスタ・マルフォイとミセス・マルフォイがびっくりした顔をして、すぐに笑顔を見せた。
「マールヴォロ?」
ストラスが鳴く。リドル君はまただんまりを決めこんだけど、ミスタ・マルフォイの方は勝手が違った。
「これはこれは。愚息が失礼。マールヴォロ家とは代々懇意にさせて戴いていてね。まさか君にここで会えるとは思っていなかったもので」
「待て、僕の父を知っているのか!?」
「ふむ……その事についてはまた追々。私達は少し本屋に用事があるのだけれど、その間アブラクサスがカフェにいると聞かなくてね。どうだろう、少しアブラクサスに付き合ってやってはくれないだろうか?」
ミスタ・マルフォイがそう言って笑い掛ける。あたしとリドル君は顔を見合わせた。
「勿論、お金の心配はしないでくれたまえ。息子の我が儘に付き合って貰うのだから」
笑顔のミスタ・マルフォイと、ミセス・マルフォイに何か小さな声で言われてしきりに頷くアブラクサス君。ストラスが私の頭の上で足踏みしていて、リドル君は手で口を覆ってカフェに行くか真剣に悩んでいる。異様な雰囲気だった。
未来で大人のあたしは、これが全ての始まりだと言う事になるのだけれど。
「……行こう」
リドル君がそう言うと、マルフォイ夫妻の顔がパァと輝いた。ミスタ・マルフォイは「それは良かった」と頷いて、杖を一振り。あたしとリドル君の鍋を消してしまった。前にミスタ・ダンブルドアに同じ様な事をされたばっかりなのに声を出して驚いてしまったあたしとは逆に、リドル君は平然としてそれを見ていた。
「さ、そこのカフェにしましょうか」
ミセス・マルフォイがあたしの背中を押すので、あたしは慌ててリドル君の手を掴む。離ればなれにされちゃ敵わないから。
すぐに隣に並んでくれるリドル君に安心して、あたしはミセス・マルフォイにされるがままになった。