戦車
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「ホグワーツでは、魔法を使うことを教えるだけでなく、それを制御することも教える。君達は――きっと意図せずしてだと思うが――我々の学校では教えることも許すこともないやり方で、自分の力を使ってきた。魔法力に溺れてしまう者は、君が初めてでもないし最後でもない。しかし、覚えておきなさい。ホグワーツでは生徒を退学させることができるし、魔法省は――そう、魔法省というものがあるのだ。――法を破る者をもっとも厳しく罰する。新たに魔法使いとなる者は、魔法界に入るにあたって、我らの法律に従う事を受け入れねばならない」
「はい、先生」
「はい、ミスタ・ダンブルドア」
リドル君は少し悩んで、それをミスタ・ダンブルドアに告げる。
「僕等はお金を持っていません」
「それはたやすく解決出来る」
ミスタ・ダンブルドアは皮の巾着をポケットから取り出し、あたしにくれた。あたしはお礼を言いながらも興味津々で中を覗こうとしたが、すぐリドル君に取られた。
「ホグワーツには、教科書や制服を買うのに援助の必要な者の為の資金がある。君等は呪文の本などいくつかを、古本で買わなければならないかもしれん。それでも――」
「呪文の本はどこで買いますか?」
リドル君は金貨を調べながら聞いた。あたしも気になって巾着から一枚取り出し、眺めた。分厚くて、とても綺麗だ。
「ダイアゴン横丁で。ここに君達の教科書や教材のリストがある。――あぁリディア、リストを見るのはいいが金貨を巾着に戻してからにしなさい――どこに何があるか探すのを、私が手伝おう」
「ありがとうございます!」
「一緒に来るんですか?」
「いかにも。きみがもし――」
「あなたは必要ない」
一瞬、あたしもミスタ・ダンブルドアも言葉を失う。
「……え、リドル君、やめようよ、迷子になっちゃうよ」
「リディアはな。僕は自分ひとりでやるのに慣れている。いつでもひとりでロンドンを歩いてるんだ。そのダイアゴン横丁とかいう所にはどうやって行くんだ?――先生?」
ミスタ・ダンブルドアは顎を軽く撫で、「リディアには優秀な護衛が二人もついているようだから」と呟くと、丁寧に地図を描いて示した。ところで優秀な護衛って、リドル君と誰だろう。誰か付いてくるのかな。
「周りのマグル――魔法族ではない者の事だが――その者たちには見えなくとも、君には見える筈だ。バーテンのトムを訪ねなさい――君と同じ名前だから覚えやすいだろう――」
その言葉を聞いて、リドル君は顔を引きつらせた。
「トムという名前が嫌いなのかね?」
「トムっていう人はたくさんいる」
リドル君は立て続けに質問した。
「僕の父さんは魔法使いだったの?その人もトム・リドルだったって、みんなが教えてくれた」
「残念ながら、私は知らない」
「母さんは魔法が使えた筈がない。使えたら、死ななかったはずだ。父さんの方に違いない。それで――」
「ミスタ・ダンブルドア」
あたしはリドル君の言葉を遮った。リドル君には怒られるだろうけど、どうしても知りたい事があった。
「あたしのママは魔法使い?パパは?あたしはどうして捨てられだの?」
あたしの問いに、彼は悪戯っ子の様な微笑みを見せた。キラキラ光る瞳にあたしは言葉を失う。
「もちろんその答えを私は知っているが、敢えてこう答えよう。知るべき事は知るべき時に知る事が世界を愉快なものにするのだ」
後、目上の者への敬意は忘れてはならん、リディア。敬語だよ。彼は笑った。