悪魔
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ミセス・コールが遠足に行く事を提案したのは、ベニーが養子に貰われていった次の週の事だった。リドル君はずっと同室で過ごしてきた私とレナが意気消沈してしまって、泣いている子の話を聞く役と皆をまとめる役が役立たずになったからだ。アイツは自分の利益になる事しかしないサイテーの奴だって言ってる。リドル君の考えすぎる所はいけないと思う。せっかくの遠足なんだから素直に楽しみにすればいいのに。
「そもそも、意気消沈してる時にそんな事言わないで欲しいよね」
「……アナタって最近トムと仲良しね」
レナが気味悪そうに言った。近付かないでって言われたから別の部屋に行こうとしたら、「冗談よ!」って言われた。でもあの目は絶対に本気だったと思う。
「でも、彼の言うことは的を射ていると思うわ。確かにはたから見ればそうなるわ」
でも、実際は逆。いつも明るいベニーがいなくなって皆が意気消沈してるせいでそう見えるだけなのよ。私は寂しいけど別に意気消沈してなんかないわ。だってベニーに家族ができるのは幸せな事よ?きっと今ごろクリームたっぷりのケーキを食べているんだと思うの。そうレナは演説した。でも、あたしはやっぱり寂しい。きっと今ごろベニーも寂しがってる筈だ。クローゼットの奥から灰色のセーターを取り出して眺めているかも。
「それに、素直に遠足を楽しみにすればいいっていうアナタの意見にも賛成」
「そう?」
「だってここから出るなんて久しぶりだわ」
「そうだね」
あたしが微笑むと、レナはウインクを返してくれた。しかし、彼女はすぐに険しい表情になって言った。
「リディア、気をつけなさいよ?」
「……何を?」
「トムの事よ!いい?絶対に目を合わせちゃダメ。呪われちゃうわ!」
レナはしっかりものだ。でも時々間違った事をいう。だってリドル君とはもう何回も目を合わせているけどあたしはまだ死んでないからだ。
「とにかく、気をつけて付き合いなさいよ」
レナの間違った忠告に、それでも「はーい」と返事を返してやれば、彼女は満足そうに笑った。